選挙対策? 自己顕示欲の塊? いま小池百合子都知事な理由~ビジネスパーソンの言語学92

最近、説明や謝罪時の、違和感のある言葉遣いが話題になりがちだ。当コラムでは、実際の発言を例にとり、公私の場で失敗しない言葉の用い方を考える。ビジネスパーソンのための実践言語学講座92、いざ開講!

「コロナウイルスとの闘いというのは始まったばかりでありまして、自粛疲れというのは、まだ早いというのは、現実だと思っていただきたい」ーーー感染者が200人を超えた4月17日の会見にて、小池百合子・東京都知事

毀誉褒貶、さまざまな意見がある。それでも多くの人が小池百合子・東京都知事の新型コロナウイルスへの対応を肯定的に思っていることは事実であろう。オリンピックの延期が決まるまでのモタモタした時期はともかく、それ以降に関しては少なくとも政府よりも強く、わかりやすいリーダーシップを発揮しているのは間違いない。東京都の1日に判明した感染者が200名を超えた4月17日の会見でも強い口調で都民に活動の自粛を訴えた。

「(自身の支持者がコロナウイルスによって亡くなったことについて)一言でいうと泣きました。悲しい。ご家族も火葬にも立ち会えないというコロナのいやらしさを非常に強く感じたところです。(中略)一人でもお亡くなりになる方を減らしていきたい。重篤、重症になる方を減らしていきたい。医療の崩壊を防いでいきたい。このことを改めて私自身深く思ったところでございます」

「週末、どうぞ皆さん、不要不急の外出は、お控えください。そして、実は、この日本において、また東京において、コロナウイルスとの闘いというのは始まったばかりでありまして、自粛疲れというのは、まだ早いというのは、現実だと思っていただきたい」

かつてニュースキャスターとして活躍した彼女は、自分の言葉や表情が画面を通して見る人たちにどのように伝わっていくかを熟知している。ときに自分の感情をあらわにしながら、強い目線で語りかける。そしてこう言い切るのだ。

「都民の命を守るというのが今、私の最大のミッションだとこのように思いながら、それがエネルギーになって、みなさんとともに、このコロナに打ち勝っていきたい」

きれいごとかもしれない。政府から見れば暴走かもしれない。7月に迫った選挙への対策だろうと言う声もある。自らテレビCMに出る彼女を見ると、そんなこともあるのだろうなとも感じる。でもこの未曾有の事態に待っていたのは、この力強いリーダーシップなのだ。正しいか、間違っているかは、すべてが終わってから検証すればいい。

Text=星野三千雄