【独占インタビュー】ラグビー2年連続世界最優秀選手・ボーデン·バレットが語る王者の宿命

100年以上の歴史のなかで8割近い勝率を誇るラグビーNZ代表「オールブラックス」。 現在、その常勝軍団を牽引するのが、司令塔のSOを務めるボーデン・バレットだ。チームのパートナーウォッチ、チューダーの日本上陸とともに来日した男の顔は、王者の誇りに満ちていた。


オールブラックスの名前と伝統を保護しなければならない

「カ・マテ! カ・マテ!(私は死ぬ! 死ぬ!)、カ・オラ! カ・オラ!(私は生きる! 生きる!)」

試合前のピッチ上。オールブラックスは全員で陣形を組み、冒頭のフレーズを叫び、踊る。戦士の集団が敵に闘いを挑む際に踊る「ハカ」と呼ばれる民族儀式だ。決戦を前にした23人による「死」をも覚悟した強烈な魂の叫びは観客のみならず、敵を圧倒し、その瞬間に「勝負は決した」と論ずる評論家もいる。

その中心にいるのが、27歳の司令塔、ボーデン・バレット。SOとしてチームを支える彼は、「ハカは国の歴史と文化であり、我々にとっては闘いへのマインドセット」と熱弁をふるう。そこには、黒衣軍団に所属する者としての矜持が詰まっていた。

オールブラックスは100年以上の歴史のなかで8割近い勝率を誇り、ここ10年、世界ランク1位の座を譲り渡していない。そんな最強王者の宿命とは何か。

「一度オールブラックスになったら一生オールブラックス。365日。ジャージを着た時だけではなく、休日に家族といる時も。ニュージーランドはもちろん、世界からも尊敬されているチームなので、その名前と伝統を保護しなければならない」

バレットにとっては、来年日本で開催されるW杯は自身2度目の大舞台だ。前回大会は、伝説のSO、ダン・カーターがチームの司令塔を務めて連覇を果たしたが、そのW杯を最後に代表引退。その後は、バレットがSOを引き継ぎ、翌年から2年連続で世界最優秀選手に選出。’19年W杯は紛れもなく、チームの中心メンバーとして、3連覇を狙うことになる。

「もちろん目標は優勝。準備さえしっかりすれば、試合をエキサイティングなものにできます」

バレットが愛用する「TUDOR BLACK BAY GMT」。ブランドの象徴的シリーズの「ブラックベイ」の新作。自社製ムーブメントを積んだGMTモデルで、そのGMT針にはスクエア型の「スノーフレーク」針が採用され、独特の存在感を放っている。自動巻き、SSケース、径41mm。¥380,000(日本ロレックス TEL 03-3216-5671)

昨秋、オールブラックスはスイスの時計ブランド「チューダー」と長期パートナー契約を結び、全員が日常的に使用。チームの休みは週1度で、試合や練習以外でもミーティングや取材などで多忙の日々を送る。そのため、「チューダーは伝統的なデザインを纏っているから、つけていて楽しい。試合と練習の時以外は常につけている」と、準備を怠らない男の生活に欠かせないツールとなっている。

王者の宿命とは、「死」を覚悟し、勝利という「生」を摑むために常に「準備」を怠らないこと。黒衣軍団が"常勝"であり続けられる要因は、チームの共通認識として、その強烈な使命を持っているからなのだ。


Beauden Barrett
1991年ニュージーランド生まれ。マッシー大学を卒業後の2011年から世界最高峰リーグのスーパーラグビー、ハリケーンズ(NZ)に所属し、活躍。’12年にNZ代表入りを果たし、’15年W杯はWTB、FBで6試合に出場し、チームの連覇に貢献した。’16、’17年と2 年連続で世界最優秀選手に選出されたラグビー界のスーパースター。


WHAT´S ALL BLACKS?
1903年の初のテストマッチ以来、昨年までの566試合で勝率77.21%を誇る最強チーム。上下黒のジャージを纏まとうことから「オールブラックス」と呼ばれる。W杯は初回の’87年、2011年、’15年と3度優勝。’03年から導入の世界ランクは8割以上もの期間で1位に君臨。今回来日中にはオーストラリア代表「ワラビーズ」との定期戦『ブレディスローカップ』第3戦で37-20、続く日本代表との親善試合でも69-31と勝利。試合前に国の先住民、マオリ族伝統の「ハカ」を踊る。これは1888年、マオリの代表チーム「ニュージーランド・ネイティブズ」が披露したことが起源とされる。


WHAT´S TUDOR?
かつては「チュードル」という呼び名で販売されてきた「チューダー」。今年10月に、ブランド名の発祥である、イギリスで15~16世紀に絶対王政を確立した「チューダー朝」にあやかり、正式な呼び名で日本に再上陸を果たした。


Text=鈴木 悟(編集部)  Photograph=淺田 創