まるでジャングルなDMM.comのオフィスに潜入! ~熱狂オフィス探訪 vol.1~

世の中にはさまざまなオフィスがあるが、究極のオフィスとはどのようなものなのだろうか。創造力を生む工夫、居心地のいい環境、仕事がしたくなる仕掛け……。「ゲーテ」はそんな理想のオフィスを求めてさまざまな企業を取材し、連載形式で紹介していく。第1回に訪れたのはDMM.com。2017年に移転した六本木の新オフィスは、主に世界中が注目するウルトラテクノロジスト集団、チームラボがデザイン。会議室へと続く道を、光り輝く動物たちが駆け回る。まるでテーマパークのようなオフィスだ。


ワクワクを生みだす、クリエイティブオフィス

DMMグループは、昨年3月、本社を恵比寿ガーデンプレイスから六本木グランドタワーに移転し、タワーの23〜27階部分には約2000人の社員が働いている。そんなDMMグループの新オフィスをグローバルバイヤー、ヨアン・ガンシュさんにオフィスを案内してもらった。

エントランスには椅子はなく、スタンディングのテーブルが置かれている。

24Fのエントランスからして、普通のオフィスとはまるで様子が違う。壁や床の至る所に植物が植えられており、その数なんと256種類。毎日水やりをして管理をしているそうだ。

ガラスに映る映像は、流れ落ちる滝。しかもプロジェクターではなく液晶フィルムを使ったディスプレイ。人が近づくと頭上にあるセンサーが反応し、滝がその人物を避けるように流れるという遊び心のある仕掛けも用意されている。

立っているのはヨアンさん。

エントランスに向かって右側にある、会議室へと続く廊下へ。会議室はアルファベットの文字数に合わせて全26室。「Anteater(アリクイ)」「Bear(熊)」「Cheetah(チーター)」など、それぞれ異なる動物の名前が部屋に付けられている。

廊下に足を踏み入れると黒い壁面にデジタルの動物が映しだされ、来客を会議室まで案内してくれる仕組みだ。

薄暗く、植物が生い茂った通路を光り輝く動物たちと一緒に歩いていると、まるでジャングルを探検しているような気持ちになってくる。

数ある会議室のなかでも、最も特徴的だったのが「Lion」。

Lionは畳敷きなので、すごく落ち着きます。全然会議室らしくありませんよね(笑)」とヨアンさん。

続いて案内されたのは「Nihonkamoshika」。一番広い会議室で、大きな窓の外には東京タワーやレインボーブリッジを望む。取材時は昼間だったが、さぞかし夜景もきれいだろう。

26の会議室のなかでも最も広く、開放感は格別。

各会議室にはタブレットが置いてあり、ドリンクメニューをオーダーできるようになっている。また、テーブルや椅子もすべての部屋で異なったものを使用しているというこだわりよう。

一度、廊下を戻り、今度はエントランス左側のオープンスペースへ。こちらは面接や社員同士のミーティングを行うエリアだが、チームラボではなくCPO設計という別会社がデザインを手がけたそう。

窓沿いにはガラス張りの個室が並び、スペースの中央にはテーブルと椅子が島をつくって配置されている。照明にしても椅子にしてもひとつひとつ違った装飾。ここでもタブレットから飲み物のオーダーをするシステムが採用されていた。

さらにオープンスペースを奥に進むと、フリースペースエリアへ。

主に社員が休憩、リラックスするための空間だが、記者会見や外部に向けたイベントをこのエリアで行うこともあるという。

イベントなどでも使われるフリースペースエリア。

続いては、27階のワークエリアへ。主にマーケティング部と営業部がここで働いている。ワークエリアで最も特徴的なのはデスクだ。普通の企業だと、社員ごとに個別のデスクが割り当てられるが、このオフィスではデスクの境目がなく、ひとつながりになっている。それをすべて合わせた全長は、なんと1キロもあるという


ひと通りオフィスを見学させてもらったところで、ここまで案内してくれたヨアンさんに、話を聞いた。

—―他社と比べても、DMM.comのオフィスは極めて斬新です。どのようなコンセプトでオフィスをつくったのですか?

ヨアン「DMMグループの会社PLANETSで代表取締役を務める野本巧が、チームラボさんと何か面白いオフィスを作れないかということで構想しました。構想から完成までは約1年ぐらいですかね。とてもスピード感がありました。これまでのオフィスとは完全に違うものを作りたい、ということで設計したんです」

――フリースペースエリアは非常に広くて開放感があり、奥には大きなクッションもいくつか置いてあって、気分をリフレッシュするには最適だと感じました。ヨアンさんはよくフリースペースは活用するのでしょうか?

ヨアン「私は基本的にほとんどデスクにおらず、フリースペースで仕事をしていることが多いんです。フリースペースエリアの魅力は、いろんな人が入れ替わり立ち替わり訪れるので、社員同士でコミュニケーションが取れること。同じ会社に勤めていても、所属の階が違うとなかなか会えない人も多いじゃないですか。でも、フリースペースエリアはこの階しかないので、気分転換したい人はここに集まってきます」

――では、新たな出会いなども生まれるわけですね。

ヨアン「はい。ある日、私がフリースペースエリアで、フランス語で電話をしていたことがあったのですが、近くに座っていた社員が「ヨアンさん、フランス語話せるんですか?」と話しかけてきました。たまたまフランス語を話せる人を探していたそうで。そこから仕事に発展しました。まさに、偶然ですよね(笑)」

会議室「Nihonkamoshika」にて、ヨアンさんにお話しを伺った。

――ワークエリアのデスクには区切りがなく、ひとつにつながっていました。これにはどんな意図があるのですか?

ヨアン:「普通のオフィスみたいにデスクが整然と並んでいるだけでは、あまりワクワクしないじゃないですか。ワークエリアのデスクは入りくんでいるので、例えばトイレに行く時なんかは少し遠回りをしなくてはいけない。でもそこで自然と社員同士でコミュニケーションが生まれるし、〝全員がつながっている“という意識が持てるんです」

――DMM.comのような、斬新なオフィス環境によるメリットはなんだとお考えですか?

ヨアン「弊社は常に新しいサービスを開発しています。会議ごとにまったく違う環境・雰囲気だと、アイディアも出てきやすいでしょう? それに、お客様にとっても、ここは一度訪れたら忘れられない空間になっているはず。『またこのオフィスに行きたい!』という気持ちにさせてくれるので、弊社に協力してくれるパートナーがどんどん増えていくというのも、メリットだと思っています」

――ヨアンさんにとって理想のオフィスとは、どのようなものでしょうか

ヨアン:「まさにここですね。オフィスに必要なものが全部が揃っていると思います。1日の中で最も多くの時間を過ごす場所はオフィス。人生の半分ぐらいを過ごす場所を、嫌な気分で過ごしたくないじゃないですか。真面目に仕事をしながらでも、気分が上がったり、アイデアが生まれるようなクリエイティブな環境で過ごしたい。だから私にとって、ここが理想のオフィスです」


Text=五月女菜穂 Photograph=矢野拓実


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