菊地英昭(EMMA)が独白! 空前の復活劇を経た"今"【THE YELLOW MONKEY】

人気絶頂のなかでの活動休止・解散を経て、2016年に“再集結”を果たした「ザ・イエロー・モンキー」。19年ぶりとなるオリジナルアルバム『9999』(フォーナイン)をリリースし、より円熟味を増した第二次黄金期を迎えている彼らの今に迫る独占インタビューを敢行! メンバーそれぞれが語った人生・仕事・音楽への想いを4日間連続でお届けする。


──EMMAさんは、音楽を「仕事」として考えている部分はありますか?

以前から感じることはありましたが、再集結してからは、好きなことをしてごはんを食べていけることの有り難みを感じていますね。だから、今は、ライヴにせよ、レコーディングにせよ、ひとつひとつのことを大切に考えるようになりました。昔は勢いだけで乗り越えようとしていた部分が大きかったし、先まで考える余裕すらなかったですからね。そこはかなりの変化じゃないかと思います。

──そのことでメンバーのみなさんとの関係にも変化はありましたか?
相手を敬う気持ちが強くなったというか。結成したばかりの頃の、なんでも言い合えた関係性に戻った気がします。活動を重ねると、暗黙の了解みたいな「何も言わなくてもわかるでしょ?」という空気が生まれて、それに自然と沿っていくところがあって。バンドの規模が大きくなればなるほど、そういう傾向がさらに強くなっていった。でも一度解散して、それぞれが好きなことを追求して再集結し、お互い培ってきたものを持ち込んでみると、異なる意見や感覚が出てきた。結果、何かあるとすぐに言えるような関係に戻ったんですよね。

──バンドのなかで、EMMAさんはどんな立ち位置なのでしょう?
4人のなかでは、自分が一番"自由人"な感じがする。わりと物事を俯瞰で見て、意見を言ったりとか。

──クールに状況を見つめていらっしゃるんですね。
気持ちのなかでは冷静じゃないんですけど、表面上はマイペースに見せるようにしているかもしれませんね。だから、すごく慌ただしい時に、違う風を吹かせたりすることができる。

──ライヴでもクールですよね。
自分は本来緊張しいで、人見知りの性格なんですよ(苦笑)。自分で自分を騙しながら、何とかやっているという感じで。いろいろ試していくうちに、その方法が自分にとって緊張を忘れる正攻法になったのかな。

──これまで多くのヒット曲を生んだことに対して、プレッシャーを感じることもあるのではないでしょうか?
もちろん、そういう気持ちはあります……。ただ、プレッシャーさえも楽しんでいる部分がありますね。「よし、やるぞ!」って気分になる。また、僕らにとってはまず「自分たちが楽しいもの」を作ることが前提なので。

──活動を続けていくなかで、音楽との向き合い方、楽しみ方に変化はありましたか?
昔はお金がなくて、機材もなかったし、練習できるスタジオもなかった。だから練習できることが楽しかったけど、今はたまたま恵まれた環境をいただいて、好きに音楽を鳴らせること自体が楽しくなってきましたね。だから、音楽は"仕事"という意識が高まっていると同時に、"趣味"という思いも強くなっているんです。レコーディングなんて、完全に趣味の領域ですし。ライヴに関しても、ステージに上がるまでは仕事を意識することはありますが、立つと完全に自分の世界に入っていき、気がつくと終わっていたということがほとんどです。お客さんの前で演奏するということだけで高揚するし。

──また、現在では多くのバンドやミュージシャンに影響を与える存在になっています。環境の変化を感じる部分はありますか?
バンドを離れたソロ活動では、関わる人がほぼ年下だったんですよね。彼らとコミュニケーションをとる時は、勉強になることが多いです。世代が違うと、音楽の聴き方や趣味も異なりますから。また、向こうも、僕がイエローモンキーのメンバーということもあってか、尊敬してくれる部分もある。だから、お互いの考えを尊重しつつ、持ちつ持たれつな関係でいるように心がけていますね。

リハーサルでは、スタッフと密にやり取りをするEMMAの姿が。奥でドラムを叩くのは、実の弟の菊地英二。(写真:伊藤美香子)

──具体的にどうやって、異なる世代や考えの人といい関係性を構築されるのでしょう?
僕は、人前にいる時は常に笑顔でいようと思っていて、その状態でいると徐々に心を開いてくれる人が多いですね。また、提示されたアイデアを頭ごなしに否定するのではなく、一度認めてあげるようにしています。それで何かあった時に「僕ならこうするけど?」ということをアドバイスするみたいな。何もしないで「ダメ」というのは、このバンドの活動においてもやめようと思っています。

──また、音楽も時代とともに変化しています。それとどう向き合っていこうと思っていますか?
現代のことに流されそうになることもありますが、まず自分たちが信じることをドーンと提示した方がいいのかなって。それを提示して、逆に時代が僕らを追いかける方がカッコいいじゃないですか。たとえ、今のムードと異なる音楽だったとしても、やがてそれが認められた方が、"勝ち"のような気がするんですよね。

──これからどんなバンドを目指していきたいですか?
今回のアルバム『9999』で、バンドの唯一無二感が表現できた気がする。そこを大切にしながらも、未来の可能性も見えてきたので、常に変化をしていきたいですね。4人で音を鳴らした瞬間に存在感を放てるような。みなさんに「イエローモンキーってひとつのジャンルだよね」と言っていただけるようになるのが理想ですね。

──最後に。EMMAさんにとって「仕事」とは?
本来、動物たちは生きるために食べる。その食べ物を確保するための行為が仕事なのではないかと思うのです。でも、人間はそれを複雑に考えている気がする。だから、やりたくないけど食べるために仕事をするという行為は、決して間違っていないと思う。今は仕事をすることすらもできない人がいる状況のなかで、自分は好きなことをしてごはんを食べられる状況にいることに、幸せを感じています。だからこれからも自分、そしてバンドを信じて活動をしたいと思いますね。


THE YELLOW MONKEY 独占インタビュー
吉井和哉 インタビュー
廣瀬洋一(HEESEY) インタビュー
菊地英二(ANNIE) インタビュー

ザ・イエロー・モンキー
メンバーは、吉井和哉(ボーカル&ギター/1966年生まれ)、廣瀬洋一(ベース/’63年生まれ)、菊地英昭(ギター/’64年生まれ)、菊地英二(ドラム/'67年生まれ)。’89年活動開始。'92年5月メジャー進出。その後「JAM」や「球根」など数多くのヒット曲を生み出し、圧倒的なライヴ動員数を誇る日本を代表するバンドになるものの、2001年の東京ドームでの公演終了後、活動を休止。'04年に解散を発表する。しかし'16年に“再集結”。同年には22万人を動員した全国アリーナツアーを敢行し、NHK紅白歌合戦へ初出場。’17年にはドキュメンタリー映画『オトトキ』の公開や、東京ドーム2デイズ公演などを経て、今年4月に19年ぶりとなるオリジナルアルバム『9999(フォーナイン)』(ワーナーミュージック)を発表。4月27日より全国ツアー「THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2019 -GRATEFUL SPOONFUL-」がスタート。http://theyellowmonkey.jp


Text=松永尚久 Photograph=柏田テツヲ