「それ、会社病ですよ。」ギャンブル中毒は本当に増えるのか現代のカジノを勘違いしてはいけない Vol.26


カジノ法案が話題になりましたが、否定的な声も数多く上がっていました。曰く、既存のギャンブル市場を脅かさないか。はたまた、ギャンブル中毒者を生み出さないか。
 カジノビジネスは大きく変わってきています。ラスベガスやシンガポールに象徴されますが、いわゆるギャンブルの収入は半分もありません。それよりもファミリーでショーを見てもらったり、ショッピングをしてもらったり、ビジネスカンファレンス会場として利用してもらうなど、カジノのみならず、総合エンタテインメントの場としてトータルで大きな収入を目指しているのです。
 ギャンブルも、全体の約2割でしかない富裕層が、約8割のお金を落としているといわれています。一般人がカジノに入り浸る、という雰囲気ではないのです。それを危険視するのなら、観光客以外の日本人からは高額の入場料を徴収する方法もあります。
 もとより世界の最先端のカジノ産業は、複雑なオペレーションが極めて精緻なノウハウで運営されている。ハイテクもふんだんに取り入れられた大装置産業です。まさに映画『オーシャンズ11』の世界なのです。
 お金の管理は極めて厳重かつ透明であり、そこに怪しい要素が入り込む余地は小さい。出入り業者も三代にわたって犯罪歴を調べられるともいわれています。そこまで厳しくコントロールし、成り立っているのが、今のカジノビジネスなのです。

もちろん、ラスベガスやシンガポールのような洗練された場になるかどうかは、やってみなければわからない。しかし日本には、B級的だったものをA級のビジネスに仕立て上げた前例がある。東京ディズニーリゾートです。既存の遊園地とはまったく違う次元の新しい場所をつくり上げてしまった。カジノビジネスも、A級に仕立て上げる素地はあると思います。
 しかし、だからこそ重要になるのが、「誰がやるか」です。洗練されたノウハウを持っているのは外資。日本の利益を外資に渡すのか、などと考えるのは無意味。カジノができる場所は、日本なのです。
 GDPはお金が使われるところで増える。雇用も納税も発生します。どこで行われるかが重要です。理想のカジノにするためにも、「誰がやるか」をこそシビアに見ていくべきでしょう。
 カジノに関しては、基本は海外のお金持ちを主要顧客にし、ラスベガスやシンガポールのような洗練されたモデルを目指すべきです。もし、そのコンセプトが崩れそうになってしまうなら、思い切って閉鎖する覚悟が必要です。そうでなければ、ギャンブル中毒者を生み出しかねません。
 こういう前提で取り組めば、既存のギャンブルへの影響は小さいでしょう。ユーザー層も遊ぶ場所も異なるから。既存のギャンブル市場は、カジノとは関係なく縮小傾向にある、ということに気づいておく必要があります。


Text=上阪 徹 Illustration=macchiro
*本記事の内容は14年9月取材のものに基づきます。価格、商品の有無などは時期により異なりますので予めご了承下さい。
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