メディアアーティスト・真鍋大度 稀有な才能を支える右腕

天性によるものか、それとも壮絶な努力の結果か。突出した才能で世を圧倒する才人に寄り添い、併走する右腕の才覚に迫った。

ライゾマティクス
世界が注目する感性を見守る秘書を超えた盟友

RHIZOMATIKS
左/メディアアーティスト
真鍋大度
1976年東京生まれ。Perfumeや嵐、ビョークなどのコンサート演出で注目を集める。リオ五輪の演出には、世界が絶賛した。

右/ライゾマティクス 取締役
千葉秀憲
1975年茨城県生まれ。クリエーターのサポート業務全般を担当。「今後は次世代のスターが生まれる環境をつくっていきたい」

<COMPANY DATA>
2006年、東京理科大学の同級生だった真鍋大度氏、千葉秀憲氏、齋藤精一氏の3人で設立。最新のデジタルテクノロジーを駆使したアーティストたちのコンサートや舞台の演出が、世界的に高い評価を受けている。


リオ五輪の閉会式の演出を担当した真鍋大度氏を支える

 彼の手にかかると、地面や空間、時には人間そのものまで、美しい光や映像を映し出すメディアへと変化する。多くのアーティストの演出を手がけ、リオ五輪の閉会式では東京五輪をアピールする「フラッグハンドオーバーセレモニー」のチーフ・テクニカル・ディレクターを担当。世界が今、最も注目するメディアアーティスト真鍋大度(まなべだいと)氏が「友人であり運命共同体」と称するのが、2006年、ともにライゾマティクスを設立した千葉秀憲(ちばひでのり)氏だ。

ふたりは20年来の付き合い。意見が対立すると、「千葉が折れてくれます(笑)」と真鍋氏。

「僕は"つくる仕事"に集中したいので、クッション役として千葉がいてくれることが凄くありがたい。彼も元はエンジニアだから、つくる側の事情やメンタリティーがわかるんです。それに千葉は雰囲気づくりの天才。制作の現場でも貴重な存在です」

リオ五輪閉会式フラッグハンドオーバーセレモニーでの光の演出に世界が絶賛。

 確かに、千葉氏の穏やかな口調に触れると、この人となら本音で仕事ができる、という安堵感が生まれてくる。

「僕の仕事は、クリエーターを支えるあらゆる業務。制作スケジュールの管理から予算交渉、そして総務や銀行のキャッシュフローまで何でもこなします。最終的には、真鍋のファンなんでしょうね。彼の仕事を一番近くで見守りつつ次の仕事をサポートすることに、悦びを感じているんです」

 ライゾマティクスが"今"を演出できるのは、常に未来を見据えた技術開発などの投資を行ってきたからでもある。

現場で仕事に集中する真鍋氏を見守りながら、外部スタッフとのパイプ役に徹する千葉氏。

「真鍋はとにかく実証主義で、いろいろ試して学ぶタイプ。とんでもない努力家です。だから、僕は彼が作品づくりに集中できるように、環境を整えてやりたいんです」

 天才を支える秘訣とは?

「よかれと思っても隠し事をしないこと。すべての情報を共有していれば、解決方法は意外に早く見つかるものです」

 高度な知識を要する最先端のクリエーター集団で、才能を信じて伸ばす右腕の名言だ。

「どんな時も僕は笑顔でみんなを安心させたい」(千葉氏) 真鍋氏が野村萬斎氏と1月にタッグを組む「FORM」のリハーサルで。千葉氏の存在は"貴重な安心感"。


技を引きだす超絶ツール

いつどこでも作品をチェックしたり、クライアントにプレゼンをできるよう、千葉氏のバッグにはさまざまなモバイルギアが詰め込まれている。

【左】最近購入したお気に入りのイヤホン。 【右】充電の速度重視で選んだモバイルバッテリー。
【左】モバイルWi-Fi。 【右】過去の作品データが入ったハードディスク。
【左】マックブック。 【右】iPhone。


Text=川上康介 Photograph=西村祐介

*本記事の内容は16年12月取材のものに基づきます。価格、商品の有無などは時期により異なりますので予めご了承下さい。14年4月以降の記事では原則、税抜き価格を掲載しています。(14年3月以前は原則、税込み価格)