【腕時計に傾倒する男たち③】競輪・自転車競技選手 渡辺一成の場合

情熱的な作り手によってカタチづくられ、命を吹きこまれ、時を刻みだす、 そんな高感度腕時計との出会いは必ずや人生を豊かにしてくれるだろう。 男が時計に心酔する理由にはロマンティックが溢れている。


「浮気をせずにひとつのブランドを追い続けるのが性に合っている」

「僕にとって、ゼニスはとても思い入れがあるブランドなんです」

そう語る競輪・自転車競技の渡辺一成選手が時計に興味を持ったのは、デビューして間もない10代まで遡る。

驚異の腿回りは63cm。この脚で数々のレ ースに勝利し、ゼニスを手にする。

「レースの副賞でもらった時計をつけるようになってから、自分で何本か買うようになり、8年前の結婚をきっかけに時計への意識が一気に変わりました。妻が婚約指輪の代わりに時計が欲しいと相談を持ちかけてきたのが、ゼニスとの出会いです」

勝負師の琴線に触れるゼニスのブレない姿勢

以来、渡辺さんはことあるたびにゼニスの時計を買い続けている。浮気はいっさいしない。

「これまでにゼニスは8本購入しています。手元にあるのは試合に勝った自分へのご褒美を含めた3本。あとの5本は、勝ち星を重ねるための験担ぎとして後輩にプレゼントしたもの」 

渡辺氏がゼニスに惹かれる理由についてたずねた。

「ゼニスは、クロノグラフに特化していたり、一本筋が通っているというか硬派な雰囲気がある。だから身につけると背筋が伸びますね。次は密かに、子供と水場で遊べるスポーツウォッチだったり、ドレッシーな金無垢を狙っています。競輪の世界は完全実力主義。ゼニスを手に入れるために勝負に勝って、妻を説得します(笑)」

左が渡辺氏のファーストゼニス。中央が2 年前に勝利 して手にしたオールブラックの「クロノマスター」。右が オープンデザインのレディスモデル。渡辺夫妻とゼニス との物語が始まった1 本。
Kazunari Watanabe
1983年生まれ。日本競輪学校を卒業後、2003年7 月、京王閣競輪場のレースでデビューし、初白星を飾る。以来、G1や数々の国際大会などの大舞台で競技の垣根を越えて活躍。東京オリンピックを目指している。


Text=戸叶庸之  Photograph=江藤義典