【川栄李奈】AKB48から女優へ「このままでは悔いが残りすぎて死ねない」

昨年から今年にかけて、連続ドラマに出ずっぱり。今年出演の映画は5本、うち1本は初主演映画で、CM出演も10本に及ぶ。AKB48卒業後の川栄李奈の活躍は、まさに八面六臂と言っていい。最新作の見所と女優という仕事への想いを語ってもらった。


当初から女優になりたいと思っていたわけではない

出演最新作は、東野圭吾原作の『人魚の眠る家』。ある事故から意識不明になった娘の命の選択を迫られる母親を描いた作品だ。

「この作品で描かれる問いには答えがないですよね。例えば自分の家族がこうなった場合、きっと私も“死んだ”とは思えないと思うんです。だから主人公の気持ちがわかるし、本当に苦しいなと思いました」

娘が「生きていること」を証明したい――エスカレートしてゆく母親のそんな思いを、実現しようとする科学者・星野(坂口健太郎)。川栄演じる真緒は、その恋人で、残酷な状況下におかれる一家と星野のやりとりを、観客と同じ目線で見つめる役どころだ。

「結婚を約束した恋人が徐々に変わってゆく。のめりこんでいる研究の真実を見て、両親に会う約束もドタキャンされて、それでも待っている真緒の心の広さに驚かされました。私だったら、信じられない! ふざけんな! と思いますが……でも本当に好きなら、自分も待っちゃうのかなあ(笑)」

映画、ドラマ、舞台を3本4本と掛け持てば、役どころは異なるものばかり。それでも「パニックにならないし、現場に行けば自然と切り替わるのが自分の強み」とも語る。AKB時代に起用した監督、犬童一心曰く「憑依型の女優」だが、当初から女優になりたいと思っていたわけではない。

「そもそもダンスや歌には苦手意識があり、“でもやらなきゃ”という感覚でしたし、前日の夜に翌日のスケジュールが来るような切羽詰まった状況で、“別にどうにでもなれ”と日々をやり過ごしていたところがあって。“自分は何をやってるんだろう”と思うようになって。もし明日死ぬことになっても、これじゃあ悔いが残りすぎて絶対に死にきれない。自分が本当にやりたいことは何なのか、と自問自答を繰り返し、そこで出た答えがお芝居でした。自分の好きなお芝居だったら、どれだけ忙しくても、楽しくやっていけるんじゃないかと」

現在は舞台やドラマの撮影に忙しい。大スター、大女優、ベテランだらけの現場に、緊張と興奮を覚えながらも、心はあくまで冷静だ。

「目標ってないんですよね、本当に。どなたとご一緒したいというより、ご縁を大事にしたいし、それがまた次につながるよう頑張るだけで。今はお芝居をしながら日々を送れているのが嬉しいし、すごくありがたい」


Rina Kawaei
1995年神奈川県生まれ。女優。映画、ドラマ、CMに引っ張りだこ。来年はNHKの大河ドラマにも出演。最新出演映画『人魚の眠る家』は11月16日より、公開。


『人魚の眠る家』 
離婚寸前の夫婦に届いた、娘の水難事故の知らせ。意識不明の娘を前に夫婦が下した決断が、家族の運命を狂わせていく。豪華キャストが贈る、心震える感動作。
原作:東野圭吾
監督:堤幸彦
脚本:篠﨑絵里子
出演:篠原涼子、西島秀俊、坂口健太郎、川栄李奈、田中泯、松坂慶子ほか
配給:松竹
11月16日(金)より全国公開予定


Text=渥美志保 Photograph=井出眞諭 Stylist=武久真理江 Hair &Make-up=遠藤真稀子 (UM)