「セックスレスはどうすれば解消できる?」 ~夫婦の悩みはアドラー心理学で解決④

仕事に情熱を燃やし、持てる力を精一杯発揮しているという自負はある。けれど、家庭でのパフォーマンスはというと……、なんだかビミョー。世間でもてはやされている育メンやイケダンを目指して努力しているのに、妻からの評価は、いっこうに上がらない。そんなパパたちに贈るアドラー式「夫婦関係の改善策」。最終回は、「セックスレスは、どうすれば解消できる?」。


母親になった妻にはセックスレスの要素が満載

以前は熱く求め合ったふたりなのに、ここ数年はすっかりご無沙汰。そんな声もよく耳にする。セックスレスになったきっかけで多いのが、妻の妊娠。出産直後は妻の体調を気遣い、体調が戻ってからは子供の存在が気になってしまい、気がついたら早ン年。このまま“清い関係”を続けながら年老いていくのかと思うと、なんだか切ない。

「これまでお話してきたように、アドラー心理学は、丁寧なコミュニケーションを重要視しています。夫婦にとってセックスは、丁寧なコミュニケーションの最たるもの。愛のあるセックスをしていれば、これまで取り上げてきたような問題や悩みは起こらないといっても過言ではないくらいです」と、『アドラー式働き方改革 仕事も家庭も充実させたいパパのための本』『アドラー式子育て 家族を笑顔にしたいパパのための本』の著者である熊野英一さんも、夫婦間のセックスを推奨する。

この言葉に、「やっぱり、そうか!」と勇気づけられる一方、「でも、どうやって再開すればいいかわからない」という不安に駆られてしまい……。気分はすっかり“セカンド(サード?)童貞”だ。

「セックスレスになっている事情は、家庭によって違います。妻の体調や気分もあれば、時間的な問題や場所がネックになっていることもありますしね。そもそも女性は、出産したら、“母親”の意識が強くなってしまいがち。つまり、セックスレスになる要素は満載なんですよ」

罪悪感は、勇気をくじかれた人がつくりだす妄想

出産後、妻がセックスを遠ざける理由は、体調やホルモンによるメンタルの問題だけではない。「母親となった自分が、快楽としてのセックスをすること」という罪悪感や、「母になった自分なんて、女性として見られるはずがない」という思い込みもあるようだ。

「同様に、『母となった妻を自分の性愛の対象として見るのは、悪いことだ』という罪悪感を抱いている夫も少なくないでしょう。でも、それって真実でしょうか? 実は、間違った思い込みという可能性も高いと思います。自分の心理を疑ってみることは、とても大事なことなのです」

アドラー心理学の基本理論に、「人間は、自分流の主観的な意味づけをして、物事を把握する」という認知論があるという。

「人は、自分独自の色メガネを通してしか、物事を見ることができないという意味です。メガネをかけっぱなしだと、かけていることすら忘れがち。時には、メガネを外して、『これは自分の本当の気持ちなのだろうか?』と、自分自身に問いかけてみてください。『母親となった妻とセックスをするのは悪いこと』という罪悪感の裏には、『今の自分は、妻に愛されるような存在ではない』という自分への不信があるかもしれません。罪悪感は、勇気をくじかれた人がつくりだす妄想なのです」

お互いにOKを出し合うことで罪悪感は消える

罪悪感を打ち消すのに有効なのは、夫婦がお互いにたくさんのOKを出すこと。「ありのままの君・あなたでOK」「夫婦ふたりだけの時間を持ってもOK」「子作りを目的としないセックスをしてもOK」。それを重ねるうちに、自分自身を認められるようになり、妄想の罪悪感も消えていく。

「ここでも重要なのは、夫婦の話し合いです。『君とセックスしたい』という言葉を口にするのは、なかなか勇気がいるだろうと思います。断られたらカッコ悪いとか、プライドが傷つくという不安もあるでしょう。だけど、考えてみてください。妻にとっても、『もう君とは一生セックスしたくない』と言われるより、『君が魅力的だから、セックスしたい』と言われた方が、ずっと嬉しいと思いますよ。本当は、出産する前に、『体調が戻ったら、再開しようね』などと、話し合っておくのが理想ですが……。

今からでも決して遅くありません。ちょっと勇気を出して、妻に気持ちをぶつけてください。『いきなりセックスの話は無理!』と思ったら、もっと手前のなにげない会話で、素直に気持ちを伝え合うことから始めましょう。夫婦の絆を深める一番の特効薬は、“TIME TO TALK”ですよ」

Today’s Advice
時には色メガネを外し、自分の気持ちを疑ってみる


Eiichi Kumano
アドラー心理学に基づく「親と上司の勇気づけ」のプロフェッショナル。日本アドラー心理学会正会員。1972年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業し、メルセデス・ベンツ日本勤務の後、アメリカのインディアナ大学ケリー経営大学院に留学、MBAを取得。帰国後、保育サービス業などを経て、2007年、株式会社子育て支援を創業。著書に、『アドラー式働き方改革 仕事も家庭も充実させたいパパのための本』『アドラー式子育て 家族を笑顔にしたいパパのための本』(共に小学館クリエイティブ)などがある。
もっと悩みを解決したいなら、熊野英一さんの著書『アドラー式子育て 家族を笑顔にしたいパパのための本』(小学館クリエイティブ)をチェック。


Text=村上早苗 Photograph=鈴木克典