長友佑都はなぜ30歳を超えてもなお、自分自身をアップデートし続けることができるのか?

サッカー日本代表の長友佑都(トルコ・ガラタサライSK)が、6月5日に行われたキリンチャレンジ杯、トリニダード・トバゴ戦でフル出場を果たし、代表キャップ数を歴代3位の「117」とした。30歳を超えてもなお、世界のトップレベルで活躍し、自分自身をアップデートし続ける男のモチベーションを保つ秘訣とは? 


今の自分では世界一にはなれない

トルコ1部リーグ2連覇を達成し、日本に帰国したばかりの5月29日の「ターキッシュ エアラインズ」新CM発表会見。トルコ現地でも絶大なる人気を誇り、同社のブランドアンバサダーとして、まさに両国の架け橋となっている長友は、これまでも幾度となく聞かれているであろう司会者からの「今後の目標は?」という質問に対し、平然とした表情でこう答えた。

「W杯、そして(欧州)チャンピオンズリーグの優勝。世界一になることですね」

そして、こう一言付け加えた。

「今の自分ではなれないので、努力して叶えたい」

30歳を超えてもなお、日本代表不動のサイドバックとして活躍し続ける"世界の長友"が明治大学サッカー部時代には控え選手として応援団の太鼓たたきをしていたことは、あまりにも有名なエピソード。当時は、誰も今の長友の姿を想像していなかったことは容易に想像できるだけに、いまだにそこかしこで言い続けている「世界一が目標」という言葉を聞いても、決して実現不可能ではないような気がするのである。

ただ単に大きな目標を掲げるだけなら、誰しもができる。長友は「世界一」と言った後に必ずといっていいほど「今の自分ではなれない」と現実を直視し、目標を実現するために「努力して叶えたい」と発言するのである。誰よりも高い地点にターゲットを定めつつ、ありのままの自分を受け入れ、地道に努力する。その論法こそが、どんな素晴らしい栄光を手にしてもモチベーションを下げることなく、自らをアップデートし続けられる要因なのだろう。

イタリアの名面インテルから、トルコの名門ガラタサライへと移籍して2年目。先月の優勝が懸かったバシャクシェヒルとの大一番で、かねてより目指していた別の目標も達成した。

「プロになってからの夢が子供を抱いて入場することだった。それを叶えられたんです。しかも、首位対決で勝たないと優勝できないという場面で一緒に入場できて、優勝できた。それは、本当にうれしかったですね。子供ができて責任感がよりいっそう大きくなったので、それがパワーになりました」

Licensed by Getty Images

イタリアで過ごした7年間よりも、現在家族とともに暮らすトルコの方が「居心地がいい」と言う。

「とにかく温かく、愛がある。それに親日国なので、日本人に対してもいい印象を抱いてくれている。僕のトレーナーや家族が、日本人だとわかったら、ただでごはんを食べさせてくれたらしい(笑)。治安もいいし、強くおすすめします」

トルコが日本人にとって住みよい国であることは間違いないが、"過去"の栄光にすがらず"今"を大切に生きているからこそ、ポジティブな要素が常に見えてくるのではないだろうか。

新CM発表会での長友(中央)。右はターキッシュ エアラインズ セールス&マーケティング上級副社長ケレム・サルプ、左はコーポレートコミュニケーション上級副社長セダ・カルヨンジュ

日本代表では、世界が注目する18歳・久保建英との"共演"にも注目だ。

「彼とは昔からトレーニングを何度も一緒にやっていて、すごい能力だなと感じていますし、こんなに早く日本代表に入るとは思っていなかった。彼からいろいろとサッカーを教えてもらいたいな。彼から吸収したい」

誰もが「無理だろう」と思うような大きな目標でも、一歩一歩着実に前進すればたどり着ける可能性がある。それを誰よりも熟知しているからこそ、若い新たな力も決して"脅威"ではなく自らの"吸収"として、とらえられるのである。


Text=鈴木 悟(ゲーテWEB編集部)