【松浦勝人】三代目J SOUL BROTHERSは僕にとって弟分であり、後輩であり、友人。全員可愛い

自ら道を切り開く三代目J SOUL BROTHERS

三代目J SOUL BROTHERSが今年結成10周年を迎える。早いものだと思う。三代目は結成当時からコアなファンを摑んでいたけど、幅広い層に名前が知られるようになったのは、「R.Y.U.S.E.I.」のヒットから。最初の数年は苦労をしていて、高校の後輩でもあり、所属事務所を率いるHIROとも「三代目はLDHで、一番売れなければいけないアーティスト」という話をしていた記憶がある。

それで、仕事が終わって飲んでいたりすると、三代目のメンバーをよく呼んでいた。さすがに全員が揃うということはないけど、時間の空いているメンバーがやってきて、僕たちと一緒に食事をし、お酒を飲む。

その習慣は、HIROの時代に始まっている。彼はZOOで成功した後、しばらく苦労していた時期がある。その頃に、僕が飲んでいるところにやってきて、業界関係者がいると、ひとりで『Choo Choo TRAIN』を踊る。どんな狭い場所でも踊る。そうやって、チャンスを摑もうと努力していた。

HIROがEXILEで成功し、LDHを創立すると、さすがに忙しくなって、そういう時間もつくれなくなった。そこで、HIROが下の世代を僕のところに派遣したのだと思う。二代目のメンバーは、僕がよく行くレストランに毎日のように来ていた。それはHIROが「松浦さんに張りつけ」と言っていたんじゃないかと思う。僕のそばにいれば、業界の人が誰かしらいるから、そこでチャンスをつくれということだ。その二代目のNAOTOと(小林)直己が中心となって三代目が結成されたので、今度は三代目のメンバーが来るようになった。

といっても、僕が何か特別なことをするわけじゃない。仕事の話をしたことはない。業界関係者が一緒にいる時に、歌ってもらうぐらい。あとはただひたすら可愛がる。可愛がるといっても、たまたまその時身につけていたモノをあげるとか、(山下)健二郎は釣りが趣味というから一緒に釣りに行くとか、誕生日だといえば、一緒に洋服を買いに行って、プレゼントするということ。

ちょうど三代目が忙しくなる前の時期で、僕も時間にまだ余裕のある時期だった。だから、年がら年中一緒に飲んでいた。7人全員の連絡先も知っているし、僕にとっては一番距離が近いアーティストグループかもしれない。

NAOTOと直己は二代目の頃からよく知っていた。今市(隆二)は、もともとエイベックス・アーティストアカデミーで、レッスンを受けていたけど、エイベックスには男性グループをつくるという発想があまりなかった。今なら十分通用すると思うけど、当時はまだ今市をソロとして売りだすのはなかなか難しいということもあって、エイベックスにいるよりはLDHに行ったほうがいいという話になり、オーディションを受けて、三代目のメンバーになった。

三代目のなかでもよく来るのが岩ちゃん(岩田剛典)。三代目のメンバーは全員ちゃんとしているけど、そのなかでも岩ちゃんは飛び抜けてちゃんとしている。誘っても、仕事があったりして断ってくることもある。それは当然で、こっちはただの飲み会。向こうは仕事なんだから、断ってくれていい。こっちは酔っているから誘ったことすら忘れていたりする。でも、岩ちゃんは、その断り方がちゃんとしている。数行ではなく、丁寧に返事を書いてくる。理由をきちんと添えて「せっかく誘っていただいたのに、本当に申し訳ございません」みたいに書いてくる。ただの飲み会なんだから、そこまで謝る必要ないよと思うぐらいちゃんとしている。しかも、「少し時間が空いたので、うかがってもいいですか?」と言ってくるのも岩ちゃん。偉いと思うよね。今ではもう忙しくて時間をつくるのも大変だと思うし、若いから、少しでも時間が空いたら自分で遊びたいと思うのが当たり前。その時間を割いてやってくる。

僕らが盛り上がって、場がめちゃくちゃな感じになっても、岩ちゃんはいつも礼儀正しい。彼が僕のことをどう見ているのかはわからないけど、嫌いだったり、鬱陶しかったら、自分から来たりはしないと思う。そうやって、何かと理由をつけて会いに来てくれるというのは、やはりこちらも嬉しくなる。

7人のメンバー全員が可愛い。弟分であり、後輩であり、友人である不思議な関係。エイベックス所属のアーティストになると、食事をしたり、一緒にお酒を飲んだりすることはあっても、やっぱり仕事の話をしてしまう。三代目とは仕事の話はいっさいしない。

エイベックスのアーティストが僕の子供にあたるのだとすると、三代目は孫にあたるのかもしれない。子供は教育をしなければならない、将来のことを考えてあげなくてはならない、成長できる環境を用意してあげなければならない。でも、三代目に、それをするのはHIROの役目。僕はただ一緒に遊んで、三代目のメンバーが喜ぶことをしてあげていればいいという気楽さがある。

三代目が成功して、みんな忙しくなってしまって、最近は気軽に呼ぶわけにもいかなくなってきた。今年10周年を迎える、メンバー全員が将来どうするべきかということを真剣に考えている。各メンバーが三代目というグループのなかで、自分がどういうポジションにいて、世間からどう見られているかをわかっていて、それで自分はどうすべきかということを考え、いろいろなことに挑戦している。

直己なんかは、殺陣にも真剣に取り組んでいて、時代劇ドラマ『医師 問題無ノ介』で共演した杉 良太郎さんがすごく褒めていた。

じゃあ、三代目は忙しいから、下の世代の誰かと思っても、なかなか思いつかない。飲んでいて、酔いが回ってきて、誰かを呼びたいとなった時に思いつくのが三代目だし、呼んだら来てくれるのも三代目。三代目のファンの方からは叱られそうだけど、彼らはそうやって自分の道を切り開いてきた。

Text=牧野武文 Photograph=有高唯之

松浦勝人
松浦勝人
エイベックス代表取締役会長。1964年神奈川県生まれ。日本大学在学中に貸しレコード店の店長としてビジネスを始め、以降、輸入レコードの卸売り、レコードメーカー、アニメやデジタル関連事業などエンタメに関わるさまざまなジャンルに事業を拡大し続ける。
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