ギタリスト ジミー・ペイジ ゲーテ100号記念企画 特別インタビュー

2012年に『ゲーテ』に「Rock On!」という言葉を贈ったロック史上最高峰のギタリスト、ジミー・ペイジ。生まれ変わったレッド・ツェッペリンの音源を手に来日し、取材に応じた。リマスターのテーマは「Honesty」。

ライブな“一発録り”だから、音楽が物語を描く。に応じた。

 世界的ギタリストで、1970年代のロックバンド、レッド・ツェッペリンのサウンドクリエイターとして活躍したジミー・ペイジが『ゲーテ』に初登場! だが、実は接点はあった。
 創刊7周年記念を迎えた2013年4月号より1年間、『ゲーテ』の表紙には「Rock On!」というロゴが印刷されていた。これは、ジミーが本誌編集長に贈った言葉だった。
 前年の2012年10月、ジミーはツェッペリンのライブドキュメント映画『祭典の日(奇跡のライヴ)』のプロモーションで来日していた。その時催されたパーティーで、編集長が持参した『聖なる館』のLPジャケットに、力強く書いたメッセージがこの「Rock On!」だったのだ。
「激しく生きろ!」
「突っ走れ!」
 そんな意味を持つ言葉である。
 そして2014年4月、1年半ぶりに来日したジミーが『ゲーテ』のインタビューに応じた。

Still Resonating!!
「己の魂を鳴り響かせろ」──御歳70にしてこの現役感。そして音に対して強烈なプロフェッショナリズムを貫くジミーが今年、ゲーテに特別に贈ってくれた言葉はこれだった。

『最終楽章(コーダ)』はエモーショナルな気持ちに。

 レッド・ツェッペリンのメンバーは、ジミー・ペイジ(ギター)、ロバート・プラント(ボーカル)、ジョン・ポール・ジョーンズ(ベース)、ジョン・ボーナム(ドラムス)。4人とも世界最高峰の音楽家だ。彼らのオリジナルアルバム9枚の売り上げ総数は3億枚! ロックバンドとしては、ビートルズに次いで世界歴代2位である。
 ジミーの今回の来日目的はバンド初期3作品のプロモーション。リマスタリングされ、未発表のアウトテイクが追加になり、6月4日に再発売される(詳細は下記参照)。リマスターの作業はジミー自身の手で行われた。
「1969年、レッド・ツェッペリンの最初のアルバムをリリースした時の僕は24歳です。若かったけれど、70年の自分の人生において、ものすごく大切な時期でした。今ふりかえっても、音楽と真剣に向き合う自分しか思いだせないほどです」
 リマスター音源のどの演奏も、歌も、ラウドで生々しい。
「'70年代初期は今のようなデジタルのレコーディング機材はありません。ワンフレーズごとに音を録ってつなげる技術もありません。いつもバンドメンバー4人がスタジオに集まって、コンサートの時と同じように頭から演奏し、録音しました。だから生々しい音なのです。ギターソロも、その時のバンド全体のパフォーマンスから生まれます。ボーカリストのロバート・プラントも一曲を一気に歌い上げる。演奏や歌を途中でカットしないから、音楽に流れが生まれ、物語になるのです」
 一曲を通しでレコーディングする、いわゆる“一発録り”には高い演奏技術が必要だ。
「一発録りでは二度と同じ演奏を行うことはできません。ものすごい力量と集中が求められました。だから、ツェッペリンに限らず'60年代から'70年代に実績を上げたバンドは技術が高い。そして、一発録りの音だから生まれるものがある。それは“Honesty”。誠実さです。目には見えないけれど、音からはっきりと感じてもらえるはずです。僕は、バンドメンバー4人の音楽への誠実さ、情熱、光と影、それらすべてを忠実に蘇(よみがえ)らせるリマスターを行いたかったのです」

Led Zeppelin 1969 bw3 courtesy of Atlantic Records

 このプロジェクトは最初の3作品だけではなく、オリジナル9作すべての作業を終えている。
「長い長い作業でした。というのも、改めて昔のアルバムを聴き、アウトテイクをセレクトする過程で、あまりにも多くのことを思い出してしまったからです。特に『最終楽章(コーダ)』はエモーショナルになりすぎて、作業に集中することにものすごく苦しみました」
『最終楽章(コーダ)』はバンドの音の土台を支える世界的なロックドラマー、ジョン・ボーナムの追悼アルバムである。ジョンは極度の愛妻家で、ツアーのたびにホームシックになり、飛行機恐怖症でもあった。その克服のためにアルコールへの依存度が年々増した。そして1980年9月、飲酒で嘔吐した物がのどに詰まり窒息死する。
「ボンゾ(ジョンの愛称)抜きのレッド・ツェッペリンの継続はありえなかった」
 同年12月にバンドは声明を出し、解散した。
「ドラムは音に何の加工もしない生楽器です。ボンゾが演奏した音を聴くと、今も彼のアタックからマイクの位置まで生々しくわかります。彼を超える演奏ができるドラマーはいなかったし、今も現れていません。ボンゾはこの世を去ったけれど、今回のリマスターではまるですぐ目の前に彼がいるかのような音を体験できるはずです」
 オリジナル全9作品のリマスターを終えたジミーだが、いよいよギタリストとしての活動を再開するという。
「ツェッペリンの音を聴いていたら、演奏したくてむずむずしてきました。どういうスタイルになるかはまだ言えないけれど、楽しみにしていてほしい」
 70歳を迎え、世界最高峰のギタリストが再スタートをきる。

「Rock On!」だ

Jimmy Page
ギタリスト、音楽プロデューサー。1944年英ミドルセックス州出身。'65年デビュー。'66年ヤードバーズに参加。'68年レッド・ツェッペリンを結成する。全世界で通算3億枚のアルバムを売る。'80年同バンド活動停止後はハニー・ドリッパーズ、ザ・ファーム、カヴァーディル・ペイジ、ペイジ・プラントなどでも活動。

Photograph=Ross Halfin/Post Production: Kazuyo Horie

*本記事の内容は14年5月1日取材のものに基づきます。価格、商品の有無などは時期により異なりますので予めご了承下さい。14年4月以降の記事では原則、税抜き価格を掲載しています。(14年3月以前は原則、税込み価格)