【小山薫堂×小池アミイゴ】羽田空港で見たあの言葉の意味は? 旅する日本語②「碧空」

今から飛行機に乗ろうと、羽田空港の出発チェックインロビーで頭上を見上げると、 壁面に巨大なアートギャラリーが広がっているのに気づくはず。それは、旅と日本語をテーマにした「旅する日本語」展。放送作家・脚本家の小山薫堂さんが耳慣れないけれど美しい日本語をもとに、旅にまつわる小さな物語を執筆し、 イラストレーターの小池アミイゴさんが絵画を描いたアートプロジェクトだ。このシリーズは、ふたりが作品に込めた想いを綴ったアナーザーストーリー全11集。


碧空

失恋した人生最悪の記念日、
その日はどしゃ降りの雨だった。
とにかくあの男から少しでも離れたくて
着の身着のままで羽田空港へ。
たまたま空席のあった
沖縄行きの飛行機に飛び乗り、
分厚い雨雲を抜けると
そこには青い空が広がっていた。
目の前の天気は悪くても
わたしの上にはいつも青空がある・・・
あてもない空旅から
わたしは勇気をもらった。

【へきくう】
青空。晴れ上がった美しい空。


Kundo's Another Story
確か、この作品を全11ある作品の中で一番最初に書いたような気がします。飛行機がぶ厚い雲の上にでると、窓の外には必ず青空が広がっています――それは、いつも自分が感じていること。

一見どんよりとした空だけど、この先に青空があるんだなと思うと、自分自身が非常に晴れやかな気持ちで過ごすことができます。僕が空の旅をするといつも思っていることを形にしました。


Amigo's Another Story
碧空という言葉の響きから、雲を突き抜けた凛々しさみたいなものを感じ、それを富士山で表現しました。この風景を見たのは、九州に向かう飛行機の窓から。それは僕にとって悲しい別れがあった時でした。

友人が亡くなったという知らせが届き、飛行機に乗って向かいました。自分よりも若い人だったので本当に悔しかった。でも、窓の外に富士山がスッと見えて、「あそこに富士山が立っているな」という、ただそれだけのことが、その人の生きて来た時を讃えてくれているようの思えたのです。


旅する日本語展 2018
国内線第1旅客ターミナル2階南北出発チェックインロビーにて「11」の日本語をテーマにした放送作家・脚本家の小山薫堂による旅の物語と、イラストレーターの小池アミイゴが色鮮やかな絵画を展示中(2019年の3月31日まで)。旅の物語と写真を全国から募集する「旅する日本語投稿キャンペーン」も、7月2日から開始予定。詳しくは公式HPまで。
https://event.tokyo-airport-bldg.co.jp/tabisuru/

Text=加藤久美子(ゲーテWEB編集部)


【対談】小山薫堂 × 小池アミイゴ


小山薫堂
小山薫堂
放送作家、脚本家。1964年熊本県生まれ。『料理の鉄人』など多くのTV番組を企画。脚本を手がけた映画『おくりびと』では、アカデミー賞外国語映画賞受賞。名レストランの経営手腕にも注目が集まる。
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