本田圭佑「今なにをすべきか、立ち止まったことで見えてくるものもある」

本田圭佑は、言葉を使うことで、自らをインスパイアし、世界にサプライズを起こす。その脳にはどんな言葉=「本田思考。」が隠されているのだろうか。

危機を乗り越えるには開き直り、前を向くしかない

まずは新型コロナウイルスによって、現在も病床でつらい思いをされていらっしゃる方々にお見舞いを申し上げます。

2月に日本を発ち、ブラジルへとやってきた。その頃すでに中国での新型コロナウイルスが話題にはなっていたが、わずか1ヵ月の間に日本でこれほどまでに感染が広がるとは思ってもみなかった。

多くの小中高校が休校となり、イベントが自粛され、スポーツ界でも大会や試合の中止、延期、無観客開催が相次いでいることは、リアルタイムにブラジルにも伝わってくる。僕が経営に携わっているサッカースクールも休校を決断した。もちろん経済的なダメージは大きい。それでも生徒たちの健康とビジネスを秤にかけるわけにはいかない。

選抜高校野球の球児をはじめ、目標に向かって厳しい練習を重ねてきたアスリートたちはつらい思いをしているだろう。その気持ちはわかる。それでも今は前を向いてほしい。健康にまさるスポーツはない。自分が健康であることに感謝し、開き直って新しい目標に向かっていくしかない。

もちろんこのウイルスの影響はスポーツ界に限らない。明確な対処法、治療法が見つかっていないため、先行きの見えない不安を抱えている人も多いだろう。自粛ムードのなか経済的な危機に直面している人も少なくないはずだ。

でも立ち止まっていても仕方がない。ただ立ち止まっていても答えは出ない。今どうすべきか、なにをすべきか、答えを求めて考えなければならない。僕は専門家ではないが、いずれ治療法なりワクチンが確立され、終息に向かうとポジティブに仮定し、その時のための準備を続けるしかないだろう。

僕は大事な試合の前は、なるべく具体的に本番をイメージすることで、不安や緊張をなくすようにしている。ふだんの練習から自分にプレッシャーを与え、本番同様にプレイするのも僕なりのメンタルトレーニングだ。この新型コロナウイルスの影響で否応なく動きを止められている人たちは、この機にさらにパワーアップした自分になるために、今なにをすべきか具体的に考えてみてはどうだろう。立ち止まったことで見えてくるものもあるはずだ。

3月に入り、ブラジルでのデビュー戦を楽しみにしていたが、あいにくインフルエンザにかかってしまい、10日の試合に出場することができなかった(ついでに新型コロナウイルスの検査もしてもらったが陰性だった)。それでも僕はまったく悲観していない。体調が戻ったらなにをして、試合でどんなプレイをするか、考えただけで気持ちが前向きになる。

逆境を乗り越えるには、開き直るしかない。日本という国は、僕が知る限りでもこれまでたくさんの危機を乗り越えてきた。その力を僕は信じている。

だから敢えて言う。今こそ開き直り、そして前を向こう!

Composition=川上康介 Photograph=©HONDA ESTILO

本田圭佑
本田圭佑
1986年大阪府生まれ。J リーグ名古屋グランパスエイトでプロデビュー。W杯に3大会連続で出場し、全大会でアシストと得点を記録。2020年2月、ブラジル1部ボタフォゴに入団。カンボジア代表の監督も兼務する。
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