【独占取材】新工場は総工費8億円!? 激戦を勝ち抜くラーメンAFURI中村比呂人の次なる一手

流行り廃りの激しいラーメン業界にあって、創業から20年目を迎えてもなおファンを増やし続け、人気店としての地位を不動のものにしている「AFURI(アフリ)」。常にチャレンジングな思考回路で、経営を牽引する代表取締役、中村比呂人が、このたび総工費8億円に及ぶ新工場建設という新たな一手に出た! その情熱と、経営戦略をゲーテWEBが独占取材で追った。


徹底的にこだわり抜いた新工場が完成!

ラーメン店「AFURI」は、今や東京を中心に国内に16店舗、そして、アメリカ・オレゴン・ポートランド、ポルトガル・リスボン、シンガポール、カリフォルニア・パロアルト(シリコンバレー)、カナダ・バンクーバー、香港など次々と海外展開も果たし、その名を世界に轟かせている。

昨年末、 昨年末、神奈川県清川村に完成した新工場「セントラルキッチン」

代表取締役の中村比呂人が、AFURIのべースになった「ZUND-BAR(ズンド バー)」を神奈川県厚木・阿夫利山の麓にオープンしたのは2001年。そこから今年で20年目。AFURIは、ラーメン店の武骨な雰囲気を覆すミニマルな店づくりに加え、クオリティの高い味が評判を呼び、 今なお売り上げは右肩上がりだ。

昨年末には、厚木に新たなる工場が完成。これまでは、 「ZUND-BAR」に併設されていたセントラルキッチンと呼ばれる工場でスープやタレをすべて作って各店舗に配送していたが、会社の拡大が進んだことによって手狭に。昨年末に、ZUND-BAR近郊の阿夫利山の麓に新たなるセントラルキッチンが完成した。 

代表取締役の中村が製造機器にこだわるのはもちろん、外観内観含めて細部の細部までこだわった設計となっている。

最高の味を求めるために徹底的にこだわり抜いて選定した製造機器、加えて、外観はモノクロで統一され、ラーメン店の工場とはとても思えないようなスタイリッシュな雰囲気が漂う。そこには一切の無駄がない。デザインの、細部の細部までこだわり抜いた理由を、中村はこう説明した。

「この工場でもこだわっていないものは一つもない。あまりにもこだわり過ぎて、総工費は当初の額を大幅に上回り、8億円に達してしまいました。この決断は、目先の効率や利益率だけを見れば、一般的な一手ではないと思います。でも、どこまでいってもわれわれはラーメン専門店。われわれの価値は味にある。それを作る場所は会社にとっても命そのもの。だからこそ、妥協は一切したくなかったんです」

中村の現在の愛車はメルセデス・ベンツのゲレンデ。その独特の感性はライフスタイルにも表れている。

玄関や廊下には白のLEDライトで効果的なライティングを施し、どこか近未来のような空間を演出。 工場内部には、1日1万杯分のスープを製造できる大釜や急速冷却機、製麺機などを新たにオーダーメイドで導入。工場2階の1室にはAFURIの店舗と同じような「仮想店舗」が作られ、そこでは、完成したばかりのラーメンをスタッフが食することができる。

「美味しいラーメンを作ることはもちろん、スタッフが誇りに思えるような場所にしたかった。24時間のうちの3分の1という大きな時間をスタッフの皆はここで過ごすことになる。だからこそ、ラーメンを製造する機器はもちろん、廊下、手すり、壁の色、ダクトの位置、フェンスの高さ、受水槽、砂利の色、屋根など、何から何までこだわりました。そうした、こだわりがラーメンの味にも投影されると思うのです」

現在国内で16店舗を展開しているが、この新たなるセントラルキッチンの誕生によって今後は30〜60店舗まで拡大が可能となる。海外展開も今後、ポートランドにさらに2店舗、ロサンゼルス、バンコクなど向こう3年で世界に17店舗をオープン予定だ。

「AFURIに関わるみんながハッピーになれる場所にしたい。より高みにいくために、ラーメンを基盤としつつ、それ以外のことにもチャレンジしていきたい」

リスクを承知で常にアグレッシブな経営に挑む中村。

次なる一手は何だろうか。あくまでもラーメン店のオーナーとして、誰もが想像しないような新たな世界を見せてくれるはずだ。

柚子塩らーめん/阿夫利山の湧水ならではの淡麗スープの旨みが際立つAFURIの代表メニュー。炙りチャーシューの香ばしさと柚子の風味がアクセントに。¥1080 


Hiroto Nakamura
1975年神奈川県生まれ。大学時代は司法書士を目指すも、ものづくりを一生の仕事にしようと方向転換。テレビ番組のADや飲食店勤務を経て、2001年「ZUND-BAR」立ち上げに携わる。現在は「AFURI」代表取締役として国内16店、海外4店を展開。


Text=鈴木悟(ゲーテWEB編集部)  Photograph=山下亮一