【W杯インタビュー】川島永嗣 「ワールドカップという特別な時間」

日本代表の絶対的守護神、川島永嗣。現状維持に満足せず、厳しい環境下で常に進化を繰り返してきた川島にとって、自身3度目となる今回のワールドカップには特別な思いがあった。


変化や進化をためらっていたら、世界では勝てない

サッカー界における4年に1度のビッグイベント、W杯がついに開幕する。日本代表の守護神、川島永嗣は現在35歳。3度目のW杯出場だ。

岡田武史、ザッケローニ、アギーレ、そしてハリルホジッチと、歴代の日本代表監督たちは川島をスタメンで起用し続け、もちろん西野監督のもとでも順当に代表に選ばれた。しかし、川島自身はそれに驕った様子もなく、いたって謙虚に話す。

「やっぱり、何歳になっても、どれだけ経験を積んでも日本代表に選ばれたら純粋に嬉しいし、W杯に出場したいと思います。だからこそ、目の前のトレーニングで精一杯ハードワークをする必要があるし、次の試合で最高のパフォーマンスを見せなきゃいけない。自分にとって3度目のW杯は、その先にしかないと思っていますから」

“今”にすべての力を注ぎこむ。それが、’10年南アフリカW杯以降の8年間、ほとんどの試合で日本代表のゴールを守ってきた男の気概だ。

川島がそんな思いを抱く背景には、彼自身が直面した苦い経験がある。

‘15年夏、川島は所属クラブを失い、約半年間の“浪人生活”を強いられた。当然ながら、日本代表のメンバーリストから川島の名前が消えた。

「この世界では何が起きるかわからないということですよね。今この瞬間だってそう。パフォーマンスが悪ければ直前で外れるかもしれないし、ケガする可能性だってゼロじゃない。でも、だからこそ、今の自分がやれることを全力でやるしかない」

川島にとって4年ごとのW杯は、それぞれが直線で結ばれているように見えて、実はそうではない。’10年の南アフリカ大会は、守備的な戦術に傾注して結果を残した。だからといってもちろん、今回も同じことが通用するわけではない。また、グループステージ初戦で対戦するコロンビアには、’14年ブラジル大会で完敗している。あの悔しさは今でも胸に刻まれているが、今大会の再戦を「リベンジ」と位置づけるのも違う気がする。

チーム最年長である川島は、その闘志あふれるプレイでチームを支えている。

「昔の自分がそうだったように、W杯の舞台に立つ僕の姿を見て、思わず走りだしたくなっちゃう子がいたらすごく嬉しいですよね。ものすごく多くの人が注目するW杯で、自分の進化を結果で示したい。それが、今の自分にできることなんじゃないかな」

アスリートにとって、時間は有限だ。しかし、だからこそ特別なものでもあるそんな時間を手に入れた責任を全うするためにも、川島は、変化と進化を繰り返す。

Eiji Kawashima
1983年埼玉県生まれ。川崎フロンターレなどで活躍し、高い評価を受ける。2010年にベルギー1部リーグの「リールセSK」に移籍。現在はフランス1部リーグの「FCメス」に所属する。

Text=細江克弥 Photograph=峯岸進治 Styling=武内雅英(CODE)

※時計ムック本「はじめての高級腕時計 by YOUNG GOETHE」より