1300年で達成したのはわずかふたり! 想像を絶する荒行・大峯千日回峰行とは?

壮絶な荒行・大峯千日回峰行を満行下塩沼亮潤大阿闍梨の護摩祈祷には、心を浄化する不思議な力があった。


大阿闍梨の護摩で心を清める

護摩堂に響く太鼓の音と読経の声。その場にいると心が浄化されるような感覚を味わうことができる。そんな厳かな雰囲気のなか、護摩木を火炉に投げ入れていくのが、仙台・慈眼寺の塩沼亮潤大阿闍梨だ。

塩沼氏は、1300年間で達成したのはわずかふたりという過酷な修行・大峯千日回峰行を満行。慈眼寺にて行われる護摩祈祷と法話には、全国からさまざまな思いを抱えた著名な起業家や著名人もやってくるという。

参詣者の願いが書かれた護摩木を炎へ投じる塩沼氏。護摩は原則として、毎月第1、3日曜日に行われる。

年齢や職業、境遇を問わず、人間は誰しも悩みや苦しみに襲われ、絶望的な気分になることがある。そんな時、どうやってその困難から立ち直ればいいのだろうか。

「大事なのは、意志。感情は意志で抑えることができます。心の針がマイナスの方向に傾いた時は、意志の力でその針をプラスの方向に強引に動かす。そんなことできないと思いますか?最初は難しくても、それを習慣とし、練習を積んでいけば、必ずできるようになります」

凛々しさと柔和さが同居した空気を纏う塩沼氏。その言葉のひとつひとつには、聞く者の心を解きほぐし、そっと背中を教えてくれるような不思議な力が宿っている。

塩沼大阿闍梨が満行した「大峯千日回峰行」「四無行」とは

大峯千日回峰行
標高1719mの険しい山道を1日48km、千日間歩き続ける修行。一度行に入ると途中で絶対にやめることのできない厳しい掟があり、行の期間は毎年5月3日から9月3日までとし、満行には9年の歳月を要する。

四無行
9日間にわたり食べず、飲まず、寝ず、横にならずを続ける修行。ただ座っているだけではなく、行の間は20万遍の真言を唱え続けなければならない。生きて成就する確率は50%ともいわれ、生き葬式を行い、縁のある人たちと別れを告げてから行に入る。


Ryojun Shionuma
1968年宮城県生まれ。'99年に大峯千日回峰行を、2000年には四無行を満行。大阿闍梨の称号を得て'03年、仙台市秋保に慈眼寺を開山した。


Text=岩崎尚美 Photograph=永井浩