「好きなことを仕事にしよう」という前澤友作の意見に批判が集まる国のさみしさ~ビジネスパーソンの言語学102

各界のトップランナーたちのコメントには、新時代をサバイブするヒントが隠れている。当コラムでは、ビジネスパーソンのための実践言語学講座と題して、注目の発言を独自に解釈していく。102回目、いざ開講!

「お金がないから好きなことができない? それなら、好きなことを仕事にしたらいいかも。好きなことできてお金ももらえて、一石二鳥」ーーーZOZO創業者の前澤友作氏がTwitterにて

ZOZO創業者でスタートトゥデイ社長の前澤友作氏がTwitterでつぶやいた言葉が物議を醸している。

「お金がないから好きなことができない? それなら、好きなことを仕事にしたらいいかも。 好きなことできてお金ももらえて、一石二鳥」

「車の運転が好きだからドライバーやる。人が好きだから接客業やる。釣りが好きだから釣具屋さんで働く。好きなことを仕事にすることってそんなに難しいことじゃないと思いますけど」

こういったTweetを自身を模したイラストとともに投稿すると、フォロワーからは批判の声が多く上がった。「簡単に言うなよ。好きな事が仕事に出来ないから今の仕事してんだよ」「好きな事は金にならない」「それができないからみんな苦労してるんじゃない」「これは、パンが無ければお菓子を食べろという発言と同じ」……。

前澤氏は、運転が好きならF1ドライバーを目指せと言っているわけではない。運転が好きならトラックでもタクシーでもいいから運転できる仕事を選べばいい。野球が好きで、プロ野球選手になれなくても、野球に関係する仕事なら無数にある。それを選ぶことで人生が楽しくなる。そういう当たり前のことを言っているだけだ。だが、その当たり前のことすら批判する人がいるのは、とても寂しいことだ。

こういった批判を受けて、前澤氏は次のようにTweetした。

「好きなことを仕事にするのって自分の中では当たり前だと思って生きてきたけど、そんな人一握りだとか、そんなことできるわけないとか、お金がないとできないとか、そんなレスをたくさん目にし、一度も就職したことのない自分の世間知らずさを痛感する朝」

フォロワーのなかにはこれから社会に出ていこうとする人も少なくないはずだ。そういった未来を担う人の目に「好きなことを仕事にする」ことを否定する意見はどう映るのだろうか。もちろん望まない仕事に就いている人もいるだろう。誰もが好きなことを仕事にできるわけではないだろうとは思う。それでも「好きなことを仕事にする」のを目指すこと自体は、否定されるべきことではない。

就職しなかったが大きな成功を収めた前澤氏より、就職して愚痴をこぼしているほうが世間を知っているのだろうか。そうは思わない。理想を追い求めることができなかったのなら、それができる社会を実現しようと考えるのが大人の責任ではないだろうか。


Text=星野三千雄