香川照之が語る昆虫への偏愛「虫はホントにすごい!」

「小さいからって虫たちをバカにしてはいけない。人間より昆虫たちのほうがずっと偉大です」と語るのは、カマキリ先生こと俳優の香川照之さん。子供の頃から無類の昆虫好きで、毎日虫を眺めて暮らしていたという香川さんが、昆虫への飽くなき偏愛を語る。


ほとばしる昆虫愛

NHK Eテレの『香川照之の昆虫すごいぜ!』が今熱い。教育番組と甘く見てはいけない。こんなに面白い番組があったのかと、驚くに違いない。その理由がこの人、俳優の香川照之さんだ。自ら監修したカマキリの着ぐるみに身を包み、恐るべき早業で捕虫網(ほちゅうあみ)を振り、捕まえたオニヤンマやクマバチへの愛を熱く語る姿には、誰もが引きこまれる。おかげで昨年は捕虫網の売り上げが増えたとも言われている。単なる出演者ではない。そもそも「Eテレで昆虫番組をやりたい」という、民放のあるバラエティでの香川氏自身の発言から生まれたのだ。 「オンエアの翌日に、NHKのプロデューサーから連絡が来ました。お願いしますって(笑)」

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さらに、オファーは続き、今夏開催の特別展『昆虫』のサポーターに就任。その広がりは、深い昆虫愛が呼び起こした。もともと子供の頃から無類の昆虫好き。最初に好きになったのはカマキリで、小学生の頃は庭で放し飼いにしていた。

「庭のあちこちに、 5匹くらい放ってました。カマキリの雌はあまり飛ばない。縄張りで待ち伏せする体質なんです。学校帰りに捕ってきたバッタをそのカマキリの近くに置いて、狩りの様子とか、どんな風に食べるのかとか、ずっと見てました。そこにあった肉体がカジカジ囓(かじ)られてなくなっちゃうんですよ。カマキリにとっては食事で、お腹いっぱいになるわけだけど。 勝者と敗者の間に生じるその圧倒的な差に衝撃を受けました。 生きているモノが一瞬にしてなくなっていく。もし魂というものがあるならば、どの瞬間にふわっと消えていくのかなとかそんなことも考えていました。あと面白いのが交尾。カマキリの雌は交尾の後に、雄を食べるっていうでしょ。ところがね、実際に雄を雌の側におくと......」 

昆虫の話を始めると止まらなくなる。その熱量が視聴者に伝わるんですねえと言うと、顔をほころばせた。

「芝居でやってるわけじゃないんです(笑)。ほんとに虫はすごいんですよ。人間は生物の頂点に君臨してるって思っているけど、実は違う。地球のバランスを保ってるのは虫たちなんです。 人間はそのバランスを崩すだけの存在なのに、虫が小さいからってバカにしてるでしょう。それがおかしい。そういう思い上がった姿勢を糺(ただ)すために、僕はあの番組をやってるようなもんです(笑)。この夏は皆さんも外に出て、虫を見てください。太陽の光とともに生きている虫たちの偉大さが、必ずわかります」

Teruyuki Kagawa
1965年東京都生まれ。ドラマ『半沢直樹』『小さな巨人』『99.9〜刑事専門弁護士〜』など出演作多数。映画、舞台でも多くの話題作に出演する。昆虫だけではなく、 ボクシングにも詳しく公式戦の解説を務めたことも。


特別展『昆虫』
場所:国立科学博物館
期間:7月13日(金)〜10月8日(月・祝) 
http://www.konchuten.jp/


Text=石川拓治 Photograph=片桐史郎 Styling=藤井享子 Hair & Make-up=中嶋竜司