【エイベックス松浦勝人】「僕は、人が喜んでいる姿を見ることで快感を得るドS体質」


家もクルマもなんでも改造したくなる

何回、引っ越したかわからない。何軒、家を買い替えたかわからない。ただ、どの家も、内装を徹底的に改造してしまう。

今住んでいるところは、ヨーロッパ調みたいな内装で今ひとつ気に入らない。これを和テイストの内装に変えようと思った。賃貸マンションだから、退去する時に元に戻せば問題ないはずと思って、少し内装をいじってみたら、特に何も言われなかった。じゃあと思って、骨組みだけに戻して、ゼロから自分好みの内装にしようとしたら、あまりに大規模工事なものだから、さすがに管理会社で問題になってしまったらしい。結局、リフォームを中止して、今は復帰の工事をしている。

改造するのが大好きで、できあがるとすぐに飽きて、違う内装に変えたくなり、次の改装工事が始まる。住んでいる間、ずっと改装中。内装の工事だ、電気工事だ、家具の搬入だと、毎日何かの作業が行われている。

都内の住宅地に土地を買って家を建てた時は、地下にクラブスペースを作った。大音量で音楽を鳴らすので、防音のために地下20mまで掘削をして、そこに大量のコンクリートを流して防音壁を作る。工事の時は、ミキサー車が行列をつくって、近所の道路が渋滞したという。その騒ぎで、ご近所から、一軒家じゃなくて、マンションを建設しているのではないかという問い合わせもあったらしい。

何でもやりすぎてしまう。僕はお風呂があまり好きじゃない。お湯に浸かってじっとしていることができない。すぐにあれをしたい、これをしたいと身体が動いてしまう。温泉やジェットバスもさほど好きではない。

ただ、北海道で入った露天風呂は素晴らしかった。真冬の氷点下、雪が降っているなかで露天風呂に入る。顔は冷たくて髪の毛は凍る。でも、身体は暖かいのでいつまでも入っていられる。それが僕の理想のお風呂。だから、バスルームを改造するなら、まず巨大な冷蔵庫を作って、その中にバスタブを入れたい。どうせやるなら、そこまでやりたい。いつもそんな発想で家の改造をしてしまう。

改造が好きというのは子供の頃からだ。小学生の時は、ドイツ軍の戦車や、日本海軍の戦艦のプラモデルに熱中していた。組み立てることよりも塗装することが楽しかった。中学生になるとギターを始め、高校に入るとバイクに乗る。いつも、ギターの色を塗り替えたり、バイクのタンクを塗装したりしていた。

大学生になると、自動車の免許を取り、父親が中古車販売の会社をやっていたので、在庫の車を借りては改造していた。エンジンもいじったりしてみたけど、やっぱり見た目を変えるのが楽しい。塗装をやり直してカッコよくする。売り物の車を改造して、父親の会社に返すと、そういうのが好きな人がいて、けっこう売れる。それで次から次へと改造をしていった。

まだエイベックスが上場する前、小室哲哉さんとの仕事が始まったばかりの頃、小室さんがフェラーリに乗せてくれるという。助手席に僕を座らせて、小室さんが「松浦くんもフェラーリ乗りなよ」と言う。「まさか、フェラーリを買ってくれるの?」と期待したけど、残念ながら支払いは僕だった。それが僕の初めてのフェラーリ。それも納車されたら、すぐにエンジンを外して、オールペイント。

今でも、クルマを買ったら、とりあえずベタベタのシャコタンに改造する。坂道、段差はなかなか走りにくいクルマにしてしまう。これだけはもう治らない。

普通と同じではイヤ、目立ちたい。だから改造をする。でも、家は、遊びに来る人の居心地のよさを考えて改造する。

一時期、50平米もないワンルームに住んだことがあった。ひとりで住むにはちょうどいい広さだと思った。あらゆるものに手を伸ばすだけで届く。生活の場としてはこれぐらいの広さがちょうどいい。

今のところも、決して広いわけではない。それでもダイニングテーブルは大きなものを入れている。人が来た時に座れるように。人が来ることを前提に内装も家具も考えてしまう。

以前、6LDKぐらいあるところに住んでいたことがあった。部屋がたくさんあるので、毎日誰かが泊まりに来る。知り合いが毎日毎日、「今日泊まれますか?」って電話してくるから、面倒になって、空室ありなしの看板でも下げようかと思ったくらい、誰かが遊びに来る。そして朝まで飲む。

壁際に大型水槽を巡らせたこともあった。あまりに大きかったので、自分で泳いでみたこともあるくらい。そこでサメを飼って水族館みたいにしていた。知り合いを家に呼んだ時、サメに元気がないなと思って水槽に手を入れてみたら、噛まれて血が止まらなくなった。周りがあまりにも心配するから病院に行って、医者に「家でサメに噛まれて……」と説明しても信じてもらえない。

そのうち、家の鍵の暗証番号が仲間内に知れ渡って、家に帰るとすでに誰かがいて、先に盛り上がっている。自分の家なのに「誰?」なんて聞かれることもあった。それが楽しかった。それが僕にとっての「家」。

今でも時々、大きな部屋を借りて、朝まで飲むことがある。業務用のカラオケマシンを入れて、ギターをアンプにつないで弾く。今では、コードの押さえ方ぐらいしか覚えてなく、弾き方なんか忘れているし、お酒が入っているから、めちゃくちゃな弾き方をする。気がついたら、指先が切れて、手が血だらけになっていたりする。それを見て、みんなで大笑いする。

僕は、人が喜んでいる姿を見ることで快感を得るドS体質。SとMの定義はいろいろあると思うけど、Sは人が快感を得ている姿を見て、自分も快感を得る。Mは自分が快感を得ることが大事。そう理解をしている。家では、遊びに来た人が楽しんでいる姿を見て、快感を得ている。仕事では、イベントを見に来た観客が盛り上がっている姿を見て、快感を得ている。だから、この仕事をしている。

Text=牧野武文 Photograph=有高唯之


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