「それ、会社病ですよ。」過去の優勝国は8カ国しかないワールドカップという総力戦の違った見方 Vol.24


この記事が出ている頃は、日本もワールドカップ一色でしょう。ワンゲームなら、アメリカの「スーパーボウル」が最強コンテンツですが、ワールドカップはリアルタイムドラマが1カ月も続く。これはコンテンツとして圧倒的に最強。数百億円とも言われるスポンサーフィーを払う企業が出てくるのも当然でしょう。
 実は試合そのもののレベルはクラブ対抗の欧州チャンピオンズリーグのほうが上。それでもワールドカップに面白さがあるのは、国別対抗で徹底的に勝ちにこだわり、そこでお国柄がサッカーにも出てくるという“観る楽しさ”があるから。
 ここで、国別対抗だからこそ、ぜひ注目してほしいことがあります。それは、ワールドカップは過去19回行われていますが、優勝チームは限られている、ということです。ウルグアイ、イタリア、ドイツ、ブラジル、イングランド、アルゼンチン、フランス、スペインの8カ国。西欧か南米の有力チーム。しかも決勝戦は、ここに無冠のサッカー大国オランダを加えた常連国同士の“いかにも”な対決になります。
 結局のところ、それなりの伝統の積み重ねを持つ真の「サッカー大国」しか、“勝つことがすべて”の長期総力戦では生き残れないのではないでしょうか。要は、ワールドカップの決勝戦に登場するということは、そんなサッカー大国クラブの一員としての資格証明、いわば高級テニスクラブの正会員のようなもの。一定の実績と経験を積んでやっと入会できるのです。

さて、今年はこれがどうなるか。歴史的に見て、新しい組み合わせが生まれるか。ワールドカップの“正会員資格”を持てる新興国は果たして出てくるか。このあたりも、見所のひとつだと思います。
 では、サッカーの底力とは何なのかというと、やはり選手層の厚さ。国の競技人口の厚み、と言ってもいい。サッカーは消耗の激しいスポーツです。一カ月の間にあれだけの試合数をこなすわけですから、サブのメンバーは重要。実際、フランスが準優勝した時も、エースのジダンは反則退場による出場停止で一部の試合にしか出ていません。彼に匹敵するレベルの選手がベンチにちゃんといた。スーパースターであるマラドーナ時代のアルゼンチンにしても、彼の周りに上手い選手が何人もいました。最近は、ふたつナショナルチームが組めるくらいの厚い選手層があることが、最後の決め手になっている。
 その意味で日本はどうか。サッカー人口は増えてきたとはいえ、身体能力が本当に高い選手は、まだ野球に流れている気がします。その証拠に、アメリカのメジャーリーグで活躍している日本人は、すでに主力級です。サッカーでいえば、メッシやネイマールクラスの仕事を海外でしている。野球のような状態になるには、まだ時間はかかるでしょう。もっとわかりやすく言うと、日本でW杯代表のレギュラーイレブンを選ぶのはわりと簡単ですが、ワールド・ベースボール・クラシック代表のベストナインを選ぶのは難しいと思います。
 ただ、サッカーは体格の面で比較的、日本人でも通用するチャンスのあるスポーツ。チームスポーツとしては、組織的緻密さも生きる。Jリーグの歴史はまだ20年強ですが、これからが楽しみなスポーツであることは、間違いないでしょう。


Text=上阪 徹 Illustration=村田篤司
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