【特集サイバーエージェント】海外部門トップが大切にするのは、語学力よりも突破力!

藤田 晋率いるサイバーエージェントは今年で創業20年。いまや社員数4500人以上、IT業界のリーディング企業だ。サイバーエージェントとはどんな会社か――という問いに対し、多くの人が「人材」の会社だと答える。そこでサイバーエージェントで活躍するキーパーソン8人にインタビュー。第6回目は執行役員で、グローバルビジネス本部 統括の岡田寿代さん。現在、ニューヨークで働くため、オンラインでインタビューを行った。サイバーエージェントの強さとは何なのか――。


サイバーエージェント流海外での戦い方

2014年、広告事業において本格的に海外での営業展開を開始したサイバーエージェントは現在、ニューヨークに支社を持つ。支社長を務めるのは、インターネット広告事業本部グローバルビジネス本部統括にして執行役員の、岡田寿代さん。なぜニューヨークなのか。

「もともと、サンフランシスコや北京、韓国には拠点があり、各地域のクライアントの日本進出を中心にサポートしていたのですが、日本の10倍のデジタル広告マーケットがあるアメリカを本格的に狙おうということで、ニューヨークに支社を置くこととなりました。

投資育成事業は海外展開を相当前から行っていますが、広告事業は4年前から海外展開を本格化させました。FacebookやGoogleといったプラットフォームがグローバルに広がり、またスマートフォンアプリの浸透によって、アプリ事業者の海外展開も活発化しています。

当社は広告事業において、プラットフォームのアルゴリズム理解とそれをもとにした運用力を強みとしています。そこを武器に、国を変えても戦っていける環境が整ったと判断しての進出でした」

では、米国での事業は最初からうまくいったのか?

「さすがに、そう簡単にはいきません。特に米国は企業が自社内で広告枠の仕入れから出稿までの機能を抱えるインハウス文化が根強いので、そこに対してどう切り込んでいくかは難問です。それに何といっても、米国でのサイバーエージェントの知名度はゼロといって等しいので、最初は営業しようにも、びっくりするほどまったくアポイントメントが取れませんでした。

突破口は、サイバーエージェントはゲーム事業も行っており、国内でトップセールスのゲームをいくつも運営しているので、サービスにも精通し運用のアドバイスが的確にできると差別化すること。また、日本のアプリ市場は規模が大きく海外でも注目されているので、日本でアプリのマーケティングに強い代理店ということも強みにアプローチもしていきました。

具体的な営業活動はとにかく地道。アプリのマーケッターが集まるイベントに参加してネットワーキングしていったり、飛び込み営業もよくしました」

日本で支持されているサービスやプロダクトが、そのまま使えるわけでもないのも苦心のしどころとなる。

「当然ながら日本と米国のユーザーは感覚が大きく違います。たとえば『DailyGames』『DailyApps』というアプリのレビューサイトを米国で展開しています。こういったレビューサイトは、日本だとアプリについてしっかりした情報が求められ、ユーザー自身、アプリをよく理解したうえでダウンロードする傾向があります。米国の方は細かい情報よりも、いかにクリエイティブに内容を伝えてくれるかを重視するので、見せ方に工夫が必要。

また、記事の内容も、ただ日本語を翻訳しただけでは伝わらないわけです。例えば、米国人はすごく寒いことを『Colder than Mars(火星よりも寒い)』などと表現します。このようにクリエイティブも各国に合わせてローカライズしていく必要があります。そのため、現地に根付いたクリエイティブや体制構築は、事業を拡大していくうえで重要だと考えています」

現地だからこそつかめる、そうした「肌感覚」を大切にしながら事業を進めるのもサイバーエージェントの特徴だ。

「現地にいる人の声がすべてだと日本にいる経営陣も考えてくれているので、情報共有はこまめにしつつ、こちら主導でものごとを進められるのはサイバーエージェントならではだと感じます。

任されていることをしっかり受け止めて、サイバーエージェントが広告事業を米国市場で成功させ、マーケットでも名を知られるエージェンシーとして成功できるよう今は米国市場に注力しています」

学生時代は「30歳からは第二の人生。それまでに経営者になる!」というビジョンを描いており、それを叶えるためにサイバーエージェントへ就職した。「2年目でマネジャー、3年目で事業責任者、5年目で新事業立ち上げ」と目標を立てて仕事に打ち込み、描いた計画通りにキャリアを積んできた。

「5年目の時に立ち上げに携わったスマホメディアの広告事業で、海外からのニーズが多かったのです。そのような流れもあり、上司から広告事業部門の海外立ち上げの話をもらいました。

じつは海外事業を担当すると決まったとき、英語はまったく話せませんでした。メンバーが優秀だったこともあり、立ち上げ当初はアポ前に事前に日本語で打ち合わせの流れを確認し、必要な場合は日本語で答えて通訳してもらうという進め方をしていました。英語はいまも猛特訓中ですが。

海外展開する際に、英語を話せる人や海外に興味ある人を行かせるよりも、事業を成功させたいとの意欲が強い人を選ぶところは、サイバーエージェントらしさですね。そのほうが成功確率は高くなると考えているんです。英語を仕事に活かしたい人は海外に行くことやグローバルな事業に携わることがゴールになりがちですが、事業を成功させたい人はどうやってもそれを成し遂げようとするので、語学力くらい乗り越えるだろうと信じるんだと思います。

きちんと成果を出してきたうえで、これをやりたい! とみずから手を挙げれば、チャンスをもらえる可能性がかなり高いのは、サイバーエージェントのいいところです。私はこれまでそうやって挑戦したいことをやらせてもらってきました。

その結果、つらかったり追い込まれることだってありますけど、その先には自分の成長という見返りがきっとありますから、ポジティブでいられるんです」

Hisayo Okada
 2008年新卒入社。 インターネット広告事業本部勤務後、'10年株式会社プーぺガールの代表取締役に就任し、 ファッションSNSの企画・運営に携わる。 '12年より、スマートフォンの新規事業にて自社広告のセールス部門の責任者に就任し、 アプリを提供する企業向けの広告事業を展開。 その後'14年に海外事業部を設立。現在はニューヨークで陣頭指揮を執る。

Text=山内宏泰 Photograph=太田隆生


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