ロンブー淳の相方への想い  ~ビジネスパーソンの言語学㊿

最近、説明や謝罪時の、違和感のある言葉遣いが話題になりがちだ。当コラムでは、実際の発言を例にとり、公私の場で失敗しない言葉の用い方を考える。ビジネスパーソンのための実践言語学講座、いざ開講!  


「騙されている人達の方が、おまえの何倍も苦しいよ!」ーーー謹慎処分となった相方・田村亮とのやり取りをTwitterで報告したロンドンブーツ1号2号の田村淳

計13人の芸人が謹慎処分となった詐欺グループの忘年会での闇営業問題。全員がコメントを発表するなかで気になったのは、誰一人として詐欺被害者に対する謝罪がなかったことだった。世間がヒートアップしているのは、事務所を通さずに仕事をしたからとか、詐欺の成績優秀者に花束を渡したからとかではない。いったん金銭の授受を否定する虚偽のコメントを出したこと、そして反社会的勢力が反社会的な手段で稼いだ金をギャラとして受け取っていたことに、怒りを感じているのだ。

しかし13人のほとんどが、「(反社会的勢力とは)知らなかったとはいえ」、「間接的ではありますが」としぶしぶ金銭の授受を認め、反省のコメントを出しているものの、この問題の本質をとても理解しているとは思えないものだった。実際、彼らが詐欺グループだと知っていたかどうかは不明だ。さすがにそうと知ってまでパーティに足を運んだとは考えづらい。だから彼らは「ついてなかった」と考えているのかもしれない。もしかすると「半年くらい謹慎すれば戻れる」とどこかでタカをくくっているのかもしれない。

しかし相方の田村亮が謹慎処分となった田村淳は、問題の本質を明確にし、厳しい言葉をTwitterで発表した。

「知らなかったとは言え、詐欺集団のパーティに出て、被害者から騙し取ったお金で支払われたギャラを受け取っておきながら、返金もせず嘘をついて、このままで平気なのか! おまえを軽蔑する!」

「騙されている人達の方が、おまえの何倍も苦しいよ! 昔の正直者で真っ直ぐなところがなくなったらもう亮じゃない!」

そしてこう続ける。

「皆様、どうか亮に厳しい目を向けてください。(中略)僕も誰よりも厳しい目を向けたいと思います」

吉本興業の初期対応のまずさもあって、大炎上となったこの問題。恐らく、鎮火には長い時間がかかるだろう。犯罪の直接的な加害者ではなかったとはいえ、13人の芸人たちは、もう表舞台に立てないかもしれない。もし復帰がかなうとしたら、彼らが完全に反省した姿を示し、世間から「彼らをまた見たい」という声が上がってからだろう。つまり大前提となるのは、彼らが厳しく断罪され、誰もが分かる形でどん底まで落ちることなのだ。

田村淳という人は、そういった嗅覚に優れた人なのだろう。だからこそ問題の本質を明らかにし、誰よりも強い言葉で相方を断罪した。それが田村亮という芸人が復帰するための一番の近道だと理解しているのだ。

SNSが発達した現代では、どんな情報もさらされ、うやむやにするのが難しい。かつてならもみ消すことができたようなことでもどんどん表に出される。だからこそ問題が発生したときは、迅速かつ誠実な対応が重要なのだ。吉本興業は、この問題を最初に田村淳に相談すべきだったのかもしれない。そうすれば、ここまでの大炎上にならなかったのではないだろうか。

Text=星野三千雄 Photograph=Getty Images