説明責任はどこへやら! うやむやコメントで逃げる議員たち~ビジネスパーソンの言語学79

最近、説明や謝罪時の、違和感のある言葉遣いが話題になりがちだ。当コラムでは、実際の発言を例にとり、公私の場で失敗しない言葉の用い方を考える。ビジネスパーソンのための実践言語学講座79、いざ開講!   


「今の段階でもちろん私自身がこれまでの事件、今回の事案に対しての内容というものを十分に把握しきれておりません」
―――公職選挙法違反が疑われる中、昨年10月以来の国会活動を再開した河井案里参院議員

年が明けたら禊が済んだと思ったのか、それとも“人の噂も75日”を超えたと思ったのか。選挙カーから支持を呼びかけるうぐいす嬢に対し、法定上限の2倍となる日当3万円を支払ったとして公職選挙法違反の疑いが持たれている河井案里参院議員とその夫である河井克行前法務大臣が、揃って国会活動を再開した。

昨年疑惑が報じられて以来、雲隠れしていた夫妻だがその理由を、法務大臣を辞職した夫の河井克行衆院議員がこう説明する。

「診断書が出ている妻の病気療養に付き添っていた。さらには関係者にご迷惑を掛けることによって国会審議に支障を来すことがあってはならないと考え、所定の手続きにのっとって欠席していた」

なんだか美談チックな説明だが、公職選挙法違反については「既に刑事事件として捜査がはじまっている。捜査に支障を来す、影響を与えるようなことは厳に慎むよう、弁護士からも言われている。私からは控えたい」とコメント。このうやむやコメントはまさに夫唱婦随だ。

「今の段階でもちろん私自身がこれまでの事件、今回の事案に対しての内容というものを十分に把握しきれておりませんので、もちろん世間の皆さまも私のこの不十分な説明しかできないわけでございますので、納得はしてらっしゃらないだろうなと心苦しく思っております」(河井案里参院議員)

2ヵ月以上、給料を受け取りながら“療養”し、その間に自らの対する疑惑について堂々と「内容を十分に把握しきれておりません」というのは、あまりにも無責任がすぎる。夫妻が問われているのは「うぐいす嬢に3万円払ったかどうか」というきわめてシンプルな問題だ。払っていないのであれば即座に否定すればいいし、払ったのであれば選挙違反を認めた上で捜査の成り行きに身を任せればいい。逃げ回りうやむやにすればするほど、「払ったけど、払ってないことにならないか」と考えているようにしか見えなくなってくる。

スポーツでもビジネスでもそこに参加するなら、まずはルールを守るのが大前提だ。ハッキリ言って、ケチな案件だ。この件に限らず秋元司衆院議員が逮捕されたIR問題でも動いた金は数百万単位。過去の数々の疑獄事件からみれば金額はきわめて小さい。こんなこと、こんな議員たちに貴重な国会の時間をつかうのは、本当にバカバカしいと思う。だが、それは1本100円くらいのペンを横領するくらいいいじゃないかというのと同じだ。100円の横領も3億円の銀行強盗も同じドロボー。小さなルールを守れないような人たちに国をたくせるはずもない。小さなうやむやを許していたら、いつの間にか大きな問題もうやむやにされるそんな“うやむやスパイラル”が起きないよう、私たちは彼らの動向を注視していかなければならないだろう。

 
 Text=星野三千雄 Photograph=Getty Images