「ゲームに夢中しすぎる子供。どうすればいい?」 ~親子関係はアドラー心理学で解決②

仕事では実績を上げ、高い評価を受けているし、周囲からの信頼も厚い。ところが、相手が我が子となると、努力と成果がどうも見合っていないような……。前回、夫婦関係の悩みを、アドラー心理学をベースにズバリ解決してくれた熊野英一先生が、今度は親子問題をレスキュー! 


ゲームにはもっともっとという魔力がある

外で活発に遊んで欲しい、読書を通じて世界を広げてほしい、絵や工作で創造力を培って欲しい。そんな親の願いは、"ゲーム”という大きな壁の前に、あっさりとくじかれてしまう。しかも、「1日30分と制限したのに、時間が来てもやめない」「親の目を盗んで、やろうとする」など、親子間トラブルの引き金にもなっていて……。

「ゲームは、子供だけでなく、大人ですら、『もっともっと!』という気持ちにさせてしまう。よくできているなと、感心するほどです。だから、子供が際限なくやりたがるのは、ある意味自然なこと。ケジメをつけさせるには、最初にちゃんとルールを決めておきましょう」と、熊野さん。

けれど、「ゲームは1日30分まで」や「宿題をした後で」など、すでにルールは設定している。子供がそれを守らないから、悩んでいるのだけれど?

「そのルール、親が勝手に決めたものではないですか? それでは、子供が守ろうとしないのもムリはありません」

ルールは親が押しつけるのではなく、親子で話し合って決める

アドラーは、「親子といえども、コミュニケーションは対等であるべき」と提唱する。ルールを、親が、自分の基準に照らし合わせて一方的に決めるのはおすすめしない。

「ゲームを与える際に、親子で話し合い、ルールを決めておきましょう。『第一条、ゲームをするのはお父さんが家にいる週末だけにする』『第二条、ゲームをする時間は最長30分』『第三条、以上2つのルールを破った場合、翌週末はゲームを禁止とする』といったぐあいです。もしかしたら、『30分は短すぎるから60分にしてほしい』とか『ペナルティは、1日だけ禁止に緩めて欲しい』といった“交渉”が、子供からなされるかもしれません。それも、おおいに結構。双方でとことん話し合い、『では、間をとって45分に』とか、『1回破ったら1日禁止だけど、2回破ったら次は土日とも禁止に』など、お互いが納得できる着地点を見つけてください。

そして、ルールは親の側も守ること。『持ち帰った仕事を片づけたいから、子供にじゃまされないよう、今日だけはゲーム1時間OKにしよう』など、親の都合でルールを曲げたりしないように。スポーツでも、必ずルールブックがあり、プレイヤーはルールを受け入れた上で試合に参加し、ルールを破ればペナルティが課せられます。その際のジャッジは、審判がルールにのっとって行うべき。審判が、自分の機嫌やその時の都合次第でジャッジを変えてしまっては、プレイヤーだってルールを守る気になりませんからね」

ルールを守った子供にはほめ言葉ではなく感謝を伝える

双方合意して決定したルールを、子供がしっかり守ってくれた。次もルールを守らせるために、「よく守れたね、偉いね。次も守れたら、すごいね!」と、子供のことをほめちぎる。子供のモチベーションを保つために、親がやりがちな行為だが、これもNG。

「ここは、ほめるのではなく、フェアプレーをしてくれたことへの感謝を伝えましょう。『君がきちんとルールを守ってくれるから、お父さんはとても気持ちがいいし、嬉しいよ。お父さんも、君のお手本になれるように、家族のルールをしっかり守ろうという気になったよ』。そんな風に言われたら、子供は、『ルールを守れば感謝されるし、自分の価値を認めてもらえるのだ』と、思うはず。そんな体験を重ねた子供が、いずれ社会に出た時に、どういった振る舞いをするか。自らの意思でルールを守れる人間になるのではないでしょうか」

これは、ゲームに限らず、お手伝いでも習い事でも、昨今問題になるスマホでも同様。

「まずは、親子間でじっくりと話し合い、双方合意のもとでルールやペナルティを決めること。ペナルティは先に決めて合意しておくことが肝心。後出しになると、それはペナルティではなく、罰(パニッシュメント)となり、逆効果です。子供がルールを守ったからといっておおげさにほめる必要も無ければ、破ったからといって怒る必要もなし。ルールにのっとって、粛々と進めるのみです。時には、ルールを変更しても構いません。ただしそれも、親が一方的に通告するのではなく。親子で話し合い、同意した上で行ってください」

Today’s Advice
親子で話し合ってルールを決め、それにのっとって粛々と進める


アドラー心理学とは
ユダヤ系オーストリア人心理学者アルフレッド・アドラー(Alfred Adler、1870-1937)が築き上げた心理学。個人とは分割できない存在であるという理論のもと、現代のさまざまな問題に具体的な解決法を与える実践的な心理学として、臨床現場はもちろん、学校や家庭や企業でも活用されている。


Eiichi Kumano
アドラー心理学に基づく「親と上司の勇気づけ」のプロフェッショナル。日本アドラー心理学会正会員。1972年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業し、メルセデス・ベンツ日本勤務の後、アメリカのインディアナ大学ケリー経営大学院に留学、MBAを取得。帰国後、保育サービス業などを経て、2007年、株式会社子育て支援を創業。著書に、『アドラー式働き方改革 仕事も家庭も充実させたいパパのための本』がある。

『アドラー式子育て 家族を笑顔にしたいパパのための本』
熊野英一
小学館 ¥1,404


Text=村上早苗 Photograph=鈴木克典