「それ、会社病ですよ。」末期を迎えたカイシャ幕藩体制のなかでこの先、サバイブできるのは誰だ?<後編> Vol.38


江戸末期、多くの武士はそれまでと同じ日常を粛々(しゅくしゅく)と送っていました。まさか忠誠を尽くした藩が数年後になくなってしまうなんて、夢にも思わなかった。ところが、世の中はひっくり返ってしまった……。ITの進化による水面下での革命が起きている今、あの時代と似たような状況が始まりつつあると前号でお伝えしました。では、この時代をサバイブするには、どうすればいいのか。
 40代に入ると、人は保守的な未来を欲しがり、変化への適応力がさがっていきます。これを上げるにはどうすればいいか。ひとことで言うと、飽きっぽくなること、好奇心を持ち続けることです。言い換えるなら、人間としての色っぽさでしょうか。シリコンバレーが栄え続けているのは、ひとえに、そこで働く人々にこの要素が大きいから。
 加えて、日本のサラリーマンが求められているのは、自分の競争力を常に労働市場と照らし合わせること。これが圧倒的にできていない。不都合な真実も見つかるでしょうが、「その気になれば何とかなる」と、いい意味での万能感を持つことも必要です。
 例えば、自分が得ている報酬は、本当に正当なものか。年収1000万円の人には、オフィス代や社会保険料なども含めると3000万円ほど稼いでもらう必要があります。1日あたり約10万円。さて、今の自分の仕事ぶりに顧客はそんな対価を払ってくれるのか。報酬に見合った仕事のやり方に変えられなければ、同じ水準の報酬が続く保証はありません。

逆に、「世のため人のためにいい仕事ができた!」と達成感を得たとしましょう。では、それに見合うだけの報酬もきちんと得ることができたのか、というシビアな見極めも必要です。そうしなければ、次の仕事はやってこない。勤めている会社の立ち位置と自分自身の立ち位置を、冷徹に見極めることで、次なる行動のきっかけを作ることができるのです。
 ここで今、重要なのは、世の中の成功や幸福の定義とは別のメジャーで、次なる行動を考えることです。時代の変わり目には、世の中の定義はいとも簡単にひっくり返ってしまう。
 それこそ、出世することが、必ずしも幸せとは限りません。自分の能力以上のポジションを与えられてしまうのは、むしろ不幸なことかもしれない。
 やっかいなことは、そのメジャーメントの作り方を、これまで誰も教えてくれなかったことです。ぼんやりと社会に広がっていた定義や基準を追いかけていればよかったのが、日本だったから。しかし、もうそれはなくなります。これこそが、時代が変わるということなのです。
 将来、自分や家族にいくらお金が必要なのか割り出す。自分が達成感を得られる仕事が何かを整理する。そのメジャーメントができてこそ、自分自身の幸せを作り出せる。こういう人こそが、激動の時代をサバイブできるのです。
 さて、8年間続いた連載もこれで最終回です。厳しい話も敢(あ)えてしてきましたが、少しでも皆さんへのヒントになっていれば幸いです。長い間、ありがとうございました。

Text=上阪 徹 Illustration=macchiro
*本記事の内容は15年12月取材のものに基づきます。価格、商品の有無などは時期により異なりますので予めご了承下さい
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