【インタビュー】井上真央が受け入れた自身の変化とは?

映画『焼肉ドラゴン』で名演を見せる女優・井上真央。子役時代からの長い仕事のキャリアのなかでみつけたものとは――。


悩みを重ねながら、柔軟になってゆく

力強い大きな瞳が、真っ直ぐにカメラを見つめる。井上真央の凛とした佇まいにハッとする。しかし撮影が終わり、「ゲーテ」6月号トレーニング特集のページをめくりながら笑う表情は、やわらかかった。

「キックボクシングって全身を使うから、体幹が鍛えられていいらしいですね。私もずっと興味はあるんですけどなかなかできなくて、知識だけが増えていくんです(笑)」

そんな彼女が出演する映画『焼肉ドラゴン』は高度成長期の関西地方で小さな焼肉店を営む6人家族を描いた作品。演じるのは、三人姉妹の次女・梨花。

「梨花は寂しがり屋で愛されたい願望がストレートに出てしまう子。私は姉も妹もいないので、わからないところもあったんですけど、お父さん役のキムさんが『長女はしっかり者で、三女は自由。父親として心配なのは梨花なんだ』と話してくれたことで、父の優しさをジーンと感じながら演じられました」

父役のキム・サンホと母役のイ・ジョンウンが現場でも常に父母として居続けてたことが、役作りへの助けとなった。

「撮影の合間も役としての思いを常に話してくださいました。お母さんの愛情深くて感情の赴くままに役として生きる姿に、私も気持ちを動かされました」

子役時代から活躍。すでに長いキャリアを持つが、どんな時も仕事に対して楽観視することは決してない。

「撮影が始まる前は、今でも緊張するし、プレッシャーや不安もあります。20代の頃は、そういう自分が嫌だったんですが、最近では、悩むことは悪くない、何事も慎重なのはよいことなんだと考えられるようになってきました」

年齢を重ねることで、自分自身を受け入れることもできるようになってきた。

「失敗や悩みを重ね、少しずつ柔軟になってきたのかもしれません。もともとマイペースでありますが、それが今の私らしいのかなと思っています」

カットソー¥11,000(ソルト プラス ジャパン/ソルトTEL:06・6943・2535)、スカート¥115,000(アンテプリマ/アンテプリマジャパンTEL:0120・03・6962)、イヤリング、シューズ(ともにスタイリスト私物)
Mao Inoue
1987年神奈川県生まれ。ドラマ『花より男子』シリーズ、大河ドラマ『花燃ゆ』(NHK)、映画『八日目の蝉』『白ゆき姫殺人事件』、近年では連続ドラマ『明日の約束』(KTV)などに出演。
『焼肉ドラゴン』
演劇賞を総なめにした舞台を、劇作家で演出家の鄭義信が映画化。1970年、高度成長期の最中に、関西の地方都市で小さな焼肉屋「焼肉ドラゴン」を営む6人家族。次女の結婚、長男のいじめなど彼らの悲喜こもごもの生活を描いた感動の人情作品。
監督:鄭義信
出演:真木よう子、井上真央、大泉 洋ほか
配給:KADOKAWA、ファントム・フィルム
6 月22日より全国公開

Text=高本亜紀 Photograph=大江麻貴 Styling=行定幸治 Hair & Make-up=佐々木恵枝