【メンタル超人】命令は絶対か? バカ上司と理不尽クライアントからの脱出法

日大アメフト部をはじめ、パワハラがメディアを騒がせているが、こうして話題になる事件は氷山の一角にすぎない。問題の性質上、泣き寝入りも多く、日々耐えて過ごすビジネスパーソンの数は計り知れない。そんなパワハラ丸出しのバカ上司、理不尽クライアントにロックオンされたらどうすればよいのか? 100人規模のプロジェクトを任され、多くのビジネスパーソンを「メンタル超人」へと引き上げてきたメンタルトレーナー西井健一氏が、そのメソッドを伝授する。


バカ上司&理不尽クライアントから逃げないといけない理由

話題になった日体大アメフト部の問題は、とても他人事だと思えません。私もこれまで数多くのバカ上司に出会ってきました。忙しくて仕事を受けられないと言ったらブチ切れられ、怒鳴りつけられたり、業務上のお願いをしたことが気に障り、悪口を言いふらされたり。飲み会を断ったらその後無視され続けたこともあります。その他にも、仕事でミスをすると別室に呼び出されて鉄拳制裁を受ける、ちゃらんぽらんでまったく仕事をしない、失敗の責任を部下になすりつけるなど、挙げればきりがありません。

そんな上司がいると職場の雰囲気は最悪です。自分が標的にならなくても、全員が嫌な気持ちになってしまいます。こうした上司は企業内の強い立場を濫用しているわけですが、取引先や発注者など、いわゆるクライアントにも、強い立場を振りかざして感情をあらわにしたり、無理難題を押し付けたりする人間がいます。

あなたもいつ、バカ上司や理不尽クライアントに出合うか分かりません。もしあなたが「あいつにけがを負わせてこい」といった無理難題を命じられたらどうしますか?

Licensed by Getty Images

「上司の命令だから従わないといけない」「クライアントの言うことは絶対」と思い込み、不条理な命令を実行してしまったら、上司の機嫌は損ねずに済むかもしれませんが、きっと、その後長く後悔の念に苛まれることになります。そして当の上司は、何食わぬ顔をしてあなたに責任をなすりつけるかもしれません。

もちろん明らかに法に触れるようなことなら、多くの人が断るでしょう。でも、ささいなことだと、ついしてしまうかもしれません。本音は「嫌だ」「こんな指示はバカげている」と思っていても、業務命令だと言われたら仕方なく従ってしまうかもしれません。ただ、結果は同じです。気持ちがモヤモヤして嫌な感情を引きずり、仕事をする気も失せてしまいます。そればかりか、家に帰っても頭を離れず、バカな上司や理不尽なクライアントと接している時間の何倍もの長い時間、心をすり減らすことになります。大切な家族と過ごす時間やプライベートな時間まで侵食されるダメージは計り知れません。嫌な感情は想像以上に破壊力があるのです。また一方で、あまりに言うことを聞き過ぎると、周囲からその上司の腰巾着のように思われ、人間関係にキズを付けることにもなりかねません。

さらに「したくないのに仕方なく従う」という行為は、自分の尊厳をも損なう行為です。「私は逆らう力がない、人のいいなりになるしかない人間だ」という強烈なメッセージを自分に向けて突き刺し、自らセルフイメージを下げてしまうことになるのです。

バカ上司&理不尽クライアントから脱出する7つのヒント

では、どうやったらバカ上司や理不尽クライアントから脱出できるのか。7つの掟を紹介します。

1. “奴隷マインド”排除して、従うも逆らうも、自分が決める
まず、マインドセットからです。バカ上司やクライアントに従うのか、逆らうのか、逃げるのか、全部自分の意思で決めることが大切です。「従わなくてはならない」と「従うことに決める」は全然違います。例えば、「あいつにけがを負わせてこい」などのバカ命令をされた時なども、「自分で選べるんだ」というセルフイメージがあれば迷わず断れますが、普段から“奴隷マインド”でいると、従う以外の道が見えなくなります。あなたは奴隷ではありません。誰からも自由な存在です。まずそれを言い聞かせましょう。

2.究極の質問「それは人生でどれくらい重要か?」を自らに問う
バカ上司や理不尽クライアントに関わることは、あなたの人生にとってどれくらい重要でしょうか? もし「重要でない」と感じるならば、時間やエネルギーを割くのは意味のないことです。重要でないと感じることは、できる限りしてはいけません。人生に与えられた時間は有限だからです。「やめる」という選択をすることに、罪悪感を持つ人もいますが、きれいな水が流れ込むと池がきれいになるのと同じで、「やめる」という選択肢が人生の質を高めていくのです。

Licensed by Getty Images

3.「悪いところ」探しはやめ、「どうなりたいか」に目を向ける
バカ上司や理不尽クライアントと関わっていると、どうしても「ここが嫌い」「あそこが嫌い」「◯◯なところが嫌だ」と悪い部分に目が向きがちです。このパターンを変えましょう。「本当はどうなれば良いのか? 」「どんな協力をして欲しいのか? 」「どんな関係が理想なのか? 」など、かなえたい未来をイメージしましょう。それによって建設的な考えが生み出されるようになります。アドラー心理学でいうところの「原因論」よりも「目的論」で考えるのです。そうすると、嫌な人との関係ですら、「こうすれば味方にできるかも」とアイデアも出てきます。

4.戦わず「かわす」
バカ上司と理不尽クライアントから脱出すると言っても、逆らってることに気付かせない方が得策です。真っ向から対立する必要はないのです。粘着質なタイプや、立場が弱い者に向けて自分の力を誇示したがるタイプの人もいます。敵に回すと面倒で、対応するのにまたエネルギーを浪費します。そんな時は敵にするのではなく、上手にかわしましょう。その場は丸く収めたり、話をすり替えたり、とぼけたり。少し時間を空けるのも有効です。また、すぐ終わる命令なら断ったりせずにしてしまうのも手です。いずれにしても、あなたが好戦的になっては損します。

5.堂々と振る舞う
大事なことの一つは、堂々と振る舞うことです。例えば笑顔や余裕のある態度でいるように心掛けてください。「人間関係の力学」という考え方では、こちらが弱く出ると相手は強く出る。逆にこちらが強く出ると、相手は弱気になるという傾向があるとされます。人間には天秤みたいにバランスを取ろうとする性質があるのです。あなたが堂々と振舞っていると、相手はあなたのことを堂々とした人物として扱います。これはバカ上司に限った話ではありません。いろんなシーンで活用できます。

6.あなたの方が格上という意識を持つ
あなたの方が格上というマインドを持つのも有効です。上司だと思うから腹が立つのです。「バカな人だな」と思っていれば、いちいち腹も立ちません。「人間弱いところもあるよね」と寛大な気持ちで相手を思いやるのです。強引で支配的な態度を取る人は承認欲求が強いことが多く、人から認められないと不安で仕方がないのです。だから力ずくで、承認を得ようとするのです。こういうことを知っておくと、「そういう気持ちなんですね」と相手の内面に思いをはせる余裕ができます。立場や役職にこだわりすぎず、あなたが一段階大人になることで有利になります。

7.好かれすぎに注意
人と上手に接していると、相手は自分のことを好意的に見てくれます。バカな上司や理不尽クライアントは、他の人から煙たがられていることが多いので、好意的に接してくれるあなたにプラスの感情を抱いてしまうことが少なくありません。本当はもう少し距離を置きたい相手が、必要以上に関与してくるのは考えものです。適度な距離感が保てるよう注意しましょう。

脱出に失敗したら…
さて、ここまで脱出のヒントをお話してきましたが、それでもどうでもならないとんでも上司やクライアントに対してはどうしたらいいのでしょう。バカの対象が社長、という場合だってあります。こううなってくると最悪シナリオもちらつきます。攻撃対象にされるばかりか、窓際に追いやられる。減給される。退職に追い込まれるなんてことにすらなりかねません……。もちろん避けたい状況ではありますが、大事なのは、失敗しても大したことではないと考えること。大きく考えれば、転職など、環境を変えるチャンスが来ただけかもしれません。違う環境を知らないと不安もありますが、転職して幸せになった人は数多く存在します。あなたが解決できない問題は、あなたに降りかかってこないのです。きっと解決できるし、長い目で見たらきっと良い経験になるはずです。

こうしたバカ上司や理不尽クライアントのパワハラは、あなたのレベルが上がるにつれて、だんだん大した問題ではないと思えるようになってきます。バカに大切な人生を振り回されるなんてもったいないです。脱出方法を身につけて、納得のいく時間を手に入れましょう。

Kenichi Nishii
パーソナルビジネスコーチ。1973年大阪府生まれ。大阪大学大学院電子制御機械工学専攻修士課程修了。富士通株式会社に勤務後、WEBデザイナーになるため転職。人間中心の設計手法を学び、大企業のWEBサイトの設計やディレクションを多数手掛ける。現在は、これまでの経験を生かしつつ、人のコミュニケーションや能力発揮をテーマに、執筆や教育活動を精力的に行う。

Edit =MGT


「メンタル超人」になるための管理職のマインドセット3つの掟


プレッシャーをビジネスの推進力に変える「メンタル超人」への道