本田圭佑の経験論「年齢よりも大切なのは、自分を成長させる"経験"」【本田思考。⑩】

本田圭佑は、言葉を使うことで、自らをインスパイアし、世界にサプライズを起こす。その脳にはどんな言葉=「本田思考。」が隠されているのだろうか。


僕のフィジカルは、まったく衰えていない

10月になっても、僕の新しい所属チームは決まらなかった。以前の僕なら焦りもあったかもしれない。でも今の僕は、理想を放棄してまでチーム選びをするつもりはない。妥協するくらいなら、2〜3ヵ月"浪人"するのも悪くないと思っている。

33歳の選手と契約することを馬鹿げたことだと思う人もいるかもしれない。だが、僕のフィジカルは、まったく衰えていない。科学的トレーニングの進化によって、アスリートの寿命は大幅に伸びた。僕自身、この3〜4年でフィジカル的に落ちている数値はない。持久力はむしろ伸びているくらいだ。

さらに経験値も飛躍的に増えている。ビジネスをやり、さらにカンボジアの監督をしていることで、サッカーの見え方も大きく変わってきた。以前は、せいぜい監督の視点しか持つことができなかったが、今はさらに上の視点からサッカーを見ている。GMやチーム経営者、あるいはサッカー協会の視点。なぜこの監督を選ぶのか。予算をどう使うのか。どのくらいの期間でチームを完成させるのか。そういったことまで考えることで、よりチームに貢献するプレーができるようになった。

2014年からの3年半、ACミランで背番号10番を背負ってプレーをした。残念ながら、あの時期の自分に合格点をつけることはできない。それは自分でも認めている。ただひとつだけ言いたいのは、あの頃の僕は常に自分の能力を超えた「一歩前」を目指してプレーしていたということだ。どうしても真ん中でスポットライトを浴びるマイケル・ジャクソンになりたかった。

もし僕がミッドフィルダーやディフェンダーとしてプレーしていたなら、もっと高い評価を受けていただろう。自分の適正が〝そこ〞にあることも分かっていた。でも僕は、その適正に抗い続けた。ロシア時代やW杯では、前に出てそれなりの結果も出したが、ミラノでは成功といえる結果を残すことができなかった。それでもあの頃、反省や悔しさも含めて、意味のある経験ができたのは間違いない。

今の僕は、以前ほど〝個〞を追い求めることがなくなった。でもだからこそ、どんなチームでもいい方向に導けるという自信がある。Twitter経由でマンチェスター・ユナイテッドや古巣のACミランに逆オファーを出したのは、半分ジョークで半分本気。でも僕と契約したら、両チームとも今よりかなり活性化すると100%断言できる。来年の東京オリンピックに出たいと公言しているのも、自分が五輪チームに力を与えることができると自負しているからだ。

若いからとか、若くないからとか、年齢で人を判断すべきではない。大切なのは年齢よりも経験値。だから僕は常に自分を成長させてくれる経験を求めている。サッカーはともかく、人生においては80歳くらいまで最前線を走り続けるつもりだ。

本田思考。⑪に続く

Composition=川上康介


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