WOWを生みだす遊び心いっぱいのLINEのオフィス ~熱狂オフィス探訪 #2

世の中にはさまざまなオフィスがあるが、究極のオフィスとはどのようなものなのだろうか。創造力を生む工夫、居心地のいい環境、仕事がしたくなる仕掛け……。「ゲーテ」はそんな理想のオフィスを求めてさまざまな企業を取材し、連載形式で紹介していく。 第2回に訪れたのは、急成長中のLINE。社員数の増大に伴い2017年に渋谷から新宿に移転した そのオフィスは、LINEの理念「CLOSING THE DISTANCE」を体現する、心の距離をグッと縮めてくれるような遊び心に溢れるものだった。


自分だけの"ワークスタイル"が見つかるオフィス

JR新宿駅直結のビル。その15階から23階までの9フロアがLINEのオフィスだ。LINEは昨年4月に渋谷からこの新オフィスに移転し、現在約1700人の社員が働いている。移転の理由としては、事業拡大に伴う従業員数増加に対応すると同時に、3ヵ所に分散していた拠点を統合して業務の効率化を図るためだという。同社BX室スペースデザインチームマネージャーの山根脩平さんに案内してもらいながら、オフィスの魅力を紹介する。

まずは、エントランスのある23階へ。西(WEST)と東(EAST)にエリアが分かれているのだが、その西エリアにエントランスがある。

23Fにある受付エントランス。奥に見えるのはLINEのキャラクターの「メガブラウン」。高さが3.3メートルもある。

天井高は4.5メートル、大きな窓から外光も差しこむので非常に開放感のある広々としたエリアになっている。特徴的なのは、LINEの製品情報などを映す235インチの巨大スクリーンと、LINEのキャラクターだろう。

エントランスには、高さ3.3メートルもある「メガブラウン」、新宿の景色を楽しむかのように窓際に座る「ジェームズ」などがいる。これらのキャラクターを置くことで、明るくカジュアルなオフィスの印象を与え、また来客とスタッフとの会話のきっかけにもなるという。

エントランスを通って会議室のエリアへ進む。オフィスの南側を中心としたエリアにあたる。

世界各国の現時間を表す時計と世界地図。

廊下で目に入ったのは、世界地図・世界時計が設置された壁。「CLOSING THE DISTANCE」とはLINEが掲げるミッションで、世界中の人と人、人と情報・サービスの距離を縮めるという思いがこめられている。

23階にある来客用会議室は全22室。LINEの会議室はすべての部屋で椅子が異なるのだが、驚いたのは"会議室の椅子"っぽくないことだ。その理由について山根さんは「オフィス感を出しすぎないように、家でも使いたくなるような椅子を選んでいる。少しでも和んで打ち合わせができると思うから」と話す。

ちなみに、このエリアでも、LINEのキャラクターである「チョコ」や「パンヨ」らの姿があった。ある会議室にはキャラクターの「BOSS」が椅子に座っている部屋があり、社員の間でもとても人気なのだそうだ。

続いてエントランスと反対側、つまりオフィスの東側に位置するカフェエリア。ここは、食事をしたり、談笑したり、仕事をしたり、社員が思い思いに過ごす憩いの場所。グリーンも多く、ほっとひと息つくのにはいい雰囲気だ。

ここでは朝食が無料で振る舞われ、ランチは100円のサラダバー、スープが300円、お弁当もワンコイン以下とかなりリーズナブル。スマホのお財布サービス「LINE Pay」で決済をするシステムだ。

続いて、執務室スペースへ。フリーアドレス制ではなく、あえて社員の固定席を作っており、また執務室の横にはワークラウンジと呼ばれるエリアもある。周囲の視線や音が気にならない個室のスタディルームや、図書館の自習室のようなブースなど、気分を切り替えて仕事ができる工夫がなされていた。

椅子も机も高さが変えられるようになっており、立って仕事をする人もいるそうだ。

ここで改めて、山根さんに話を伺った。

――LINEのオフィスのコンセプトについて教えて下さい。

山根「『WOW(驚きや感動)を生みだすオフィス』です。LINEは常に世の中を驚かせ、感動させるようなサービスを生みだしていかなくてはいけない。また、LINEは社員たちのチームワークを結集して大きくなってきた企業です。職種も国籍も多種多様な人間がいます。そのためオフィスを設計するにあたっても、みんなが同じように働かなければいけない環境ではなく、"力を発揮できる環境は人それぞれである"という考えに基づいて、ワークラウンジやスタディルーム、カフェなど、働き方の柔軟性を高める場所をつくりました。また、仕事とプライベートといった1日を2つにわける従来の考え方ではなく、社内でクリーニングや銀行振り込み、個人の宅配などのプライベートな用事も済ませることができる場所もつくることで、仕事の生産性だけではなく1日の生産性を高めることも意識しました。従業員の1日の生産性が上がるような働きやすいオフィスを用意することで、次なるWOWが生まれてくると思っています」

BX室スペースデザインチームマネージャーの山根脩平さん。

――働くモチベーションを高めるような工夫は何かされていますか?

山根「業務に集中できる環境を整えることはもちろんですが、制度も充実させています。具体的には、自由に取れる夏季休暇などメリハリのある働き方を支援する制度、育児休暇や時短勤務のほか、妊活支援などの家族を支援する制度もあります。社員が何の心配もなく目の前の仕事に集中できるように、全社的にサポートしています」

――理想のオフィス、創造力を生むオフィスとはどのようなものだとお考えですか? オフィスの使い方や働き方における今後の展望も教えてください。

山根「社員が自分にあったワークスタイル、ワークプレイスを見つけられるオフィスでしょうか。仕事をしているといろいろなことがある。もちろん、いいことばかりじゃないですよね。その時々で変わる気分によって自分が集中できる環境を見つけて仕事をすることができる。カフェでリラックスしながら、畳のうえで寝転びながら、スタディルームでストイックに……いろんな場所があってそれを選べる環境。そんなオフィスって素敵だと思います。LINEは個人の裁量が大きい会社。働く場所は自席でもカフェでも好きなところでいいし、働く時間でさえ自分の好きでいい。その人が一番力を発揮できるやり方で仕事をすればいいと思っていますから。一方で、社員同士が考えて、新しい働き方を作りだしていく、そしてそれを認める風土がLINEにはあります。社員から何か声が上がったら、オフィスも柔軟に変えていきたいですね」


Text=五月女菜穂 Photograph=矢野拓実