チョコレートペロペロ女に、私はなりたい ~元NMB48須藤凜々花の「りりぽんのスキスキ委員会」#4~

2017年、第9回AKB48選抜総選挙の際に結婚宣言をおこない、同年8月にNMB48を卒業した須藤凜々花。彼女がテレビや取材では言い切れなかったこと、捻じ曲げられて伝わってしまったこと、そういったものを赤裸々にではなく、丁寧に書いていく連載コラム。


臆病な考えや、
不安なためらいや、
女々しい足ぶみや、
あわれな訴えは、
少しも悲惨を救うことができぬ。
決して君を自由にせぬ。

byゲーテ

私はかつて

「味付け前のかんぴょうのように淡白だ」

と酷評(?)されたことがある。
(詳しくは著書『人生を危険にさらせ!』を読んでください)

それはとても正しかった。

来るもの拒まず、去るもの追わず。

常に新しく来るものに重きを置き、去るものの見送りもしてこなかった。

それは一つのポリシーでもあった。

ジャイアントコーンというアイスクリームがある。

それをうまく開封するのは時の運で(溶けかけているそれを開けるのはさらに至難の業)、三回に一回はアイスクリームの上に乗っているナッツチョコレートが紙蓋とともに引っぺがされてしまうのだ。

私はそのナッツチョコレート付きの紙蓋を、秒で捨ててきた女である。

細心の注意を払っても剥がされてしまったナッツチョコレート。

この途轍もなく理不尽な事実を、あるがままに受け入れること。

そしてその事実を認識してから決断する間のスピードが速ければ速いほど、
私は美しいと思っていた。

つまり、あらゆる執着が醜いと感じていたのだ。

でも、恋愛においてはそういうスタンスは許されなかった。

恋愛における正解は、
蓋にくっついたナッツチョコレートを慌ててペロペロ仔犬のように舐めることだ。

そっちの方がかわいいから。

秒で捨てるのは、美しいが、かわいくないから不正解なのだ。

男の人に、「別れる?」と聞かれて、
「あなたがそう言うならわかった」
と美しく答えてはいけない。

「あなたと別れたら生きていけない」としくしく泣いて、行かないでとしがみついて、
これでもかと執着を見せなければならない。

ダルみざわ。

「好きな人にかわいいと言われたい」

これは三大欲求に勝る願いだと信じている。

「性格最悪だけどかわいいな」

これは私にとってかなり褒め言葉。

だから美しくあるよりもかわいくありたい。

かわいい女の方が敵にしたら怖い。

かわいい女に負けた方が悔しい。

自分が一番かわいくなりたい。

だから私はスーパードライ女から、
チョコペロペロ女に進化(?)した。

嫉妬してもいないのに拗ねてみたり、
そういうことばっかしていると
本当にそういう思考回路に染まってしまうね。

あれだけダサいと思っていた、
恋人が好きな芸能人に嫉妬する女になってしまった。

彼がテレビに出ている芸能人に「かわいい」と言った瞬間、
消えて無くなりたいと思った。

真剣に生命の危機を感じた。

だから私は一旦、
緊急停止していたスーパードライメカニズムを駆使して、
愛に、夫に、結婚生活に冷めてみることにした。

容姿が良いから好きになったと勘違いされるのが嫌だから、
今まで彼の容姿だけを褒めることを意図的にしなかった。

彼そのものがかっこいい。

そんな世界に暮らしていた。

そして今がそんな世界を壊す時!!

「顔面かっこいいね」

と言った。

「顔面だけかよ」

と言われたけれど、にやけてた。

男の人にも容姿を褒めるのは効果があるようだ。

冷静に頭の中でメモしつつ、
容姿の美しさは本当に無意味だと気づいてにやけた。

自分にとっての「かわいい」「かっこいい」はなんとも思ってない人にも言えるただの言葉なのに、
好きな人の口から出ると途端に魔力を持つから厄介だ。

一般的なかわいいを目指して、
あるいは自分の中でのかわいいを目指して平和に暮らしていたのに、
彼のかわいい以外は全て無意味になる焦りと絶望。

そんな(私の)世界を滅ぼすような強力な呪文を、彼は毎日毎日誰かに向かって繰り返す。

私の世界はぼろぼろになる。
でも完全に滅びることはない。

彼が好きだから。

好きだから嫌なことが増えて、嫌なことも好きだから我慢できる。

なんだこれ。

愛って本当に馬鹿馬鹿しい。

くだらないです。

あらゆるものを美化して、
どんなナルシストにも可愛げを無理矢理授ける。

可愛くて美しいなんてチートじゃん。

最後に愛は勝つって、ほんまやん。

でも私は最後まで戦います。

今日からあらゆる人にかっこいいって言うことから始めます。

ここまで読んでくれたあなた、かわいくてかっこいい!


Photograph=斉藤大嗣 Stylist=平みなみ Hair & Make-up=竹中真奈美
衣装=ベルスリーブワンピース¥27,000(HENZA LOS ANGELES/ヘンザ ロサンゼルスTEL03・6721・0566)

須藤凜々花
須藤凜々花
1996年東京都生まれ。2013年「第1回AKB48グループドラフト会議」において、NMB48に加入。NMB48の12thシングル「ドリアン少年」ではセンターを務める。’17年、第9回AKB48選抜総選挙の際に結婚宣言をおこない、同年8月にグループを卒業、現在に至る。著書『人生を危険にさらせ!』(堀内進之介との共著、幻冬舎)。
気になる方はこちらをチェック