【小山薫堂×小池アミイゴ】羽田空港で見たあの言葉の意味は? 旅する日本語③「幸先」

今から飛行機に乗ろうと、羽田空港の出発チェックインロビーで頭上を見上げると、 壁面に巨大なアートギャラリーが広がっているのに気づくはず。それは、旅と日本語をテーマにした「旅する日本語」展。放送作家・脚本家の小山薫堂さんが耳慣れないけれど美しい日本語をもとに、旅にまつわる小さな物語を執筆し、 イラストレーターの小池アミイゴさんが絵画を描いたアートプロジェクトだ。このシリーズは、ふたりが作品に込めた想いを綴ったアナーザーストーリー全11集。


幸先

飛行機に乗る時、
座席のリクエストは
いつも窓側と決めている。
右と左、どちらの窓側になるかは
その日の運次第。
席に座って外の様子を見ながら出発を待ち、
やがてゲートが離れて
ついに飛行機が動き出す。と・・・
整備士の人たちが手を振って見送っている
その瞬間が大好き!
そしてその様子が良く見える
ちょうど良い席に座れたなら
私にとっての大吉!
間違いなくいい旅になりそうだ。

【さいさき】
何か事を始める最初に、その事がうまく行きそうな感じを与える出来事。


Kundo's Another Story
よく「幸先いいねって」会話では使うけれど、こうやって改めて幸先という日本語の文字面と意味を考えた時に、すごく素敵だなと思ったんです。空の旅における幸先ってなんだろうと自分の体験に当てはめて考えた時に、こういうことだったっていう……。


Amigo's Another Story
整備士さんたちが手を振って見送ってくれるのは僕も好き。印象深かったのは石垣島。新しくなる前の空港の出発ロービー、というか待合室で島人(しまんちゅ)のおじさんたちがフライト直前までお酒を飲んでいて、飛び立つギリギリで一気に搭乗してくるみたいな、ローカル空港ならではの風景を見せてくれてた。で、窓の外を見ると整備士のおじさんさんたちが大きく手を振って見送ってくれてる。天草空港もそうだけど、小さな空港っていいなと思う。

僕は人が働く姿を見るのが大好で、レストランに入っても厨房の方ばかり見ていたりしてね。

この絵の実際の天気は曇りで、一面グレーの風景だった。グレーって色の中には色んな色が潜んでいて、そこに優しさい色を見つけるときもあれば、突き放されるような冷たさを感じることも。僕は働くおじさんの姿に微笑ましい気持になっていたのだろうね、グレーの中にピンクを見つけて塗り上げていました。


旅する日本語展 2018
国内線第1旅客ターミナル2階南北出発チェックインロビーにて「11」の日本語をテーマにした放送作家・脚本家の小山薫堂による旅の物語と、イラストレーターの小池アミイゴが色鮮やかな絵画を展示中(2019年の3月31日まで)。旅の物語と写真を全国から募集する「旅する日本語投稿キャンペーン」も、7月2日から開始予定。詳しくは公式HPまで。
https://event.tokyo-airport-bldg.co.jp/tabisuru/


Text=加藤久美子(ゲーテWEB編集部)

小山薫堂
小山薫堂
放送作家、脚本家。1964年熊本県生まれ。『料理の鉄人』など多くのTV番組を企画。脚本を手がけた映画『おくりびと』では、アカデミー賞外国語映画賞受賞。名レストランの経営手腕にも注目が集まる。
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