巨匠・操上和美が捉えた偉人たち②【蜷川幸雄&勝 新太郎】

クロムハーツのノートカバーで作られた“アルバム”は操上が自分自身のために作ったもの。ページをめくると、今は亡き偉人たちの命が輝いていた。

演出家 蜷川幸雄(1935-2016)

 2011年1月8日撮影/舞台カタログ『ミシマダブル』

どんなリクエストにも応える天才演出家とのセッション
2時間前に現場に入った操上だったが、稀代の演出家はすでに待ち構えていた。「娘(写真家の蜷川実花)から操上さんは怖いから早く行けと言われた」と蜷川さん。撮影では病み上がりとは無縁の動きで、演出家としての高い意識を放つ。厳しく温かい指導でも有名だが、操上は「怒ってください」とリクエスト。すると、突然その場にいた助監督を大声で怒鳴りつけた。「あの助監督には、申し訳ないことをしました(笑)」(操上)

俳優 勝 新太郎(1931-1997)

1995年1月30日撮影/雑誌『SWITCH』1995年3月号

「殴られるかもしれない」それでも果敢にリクエストした
豪放磊落(ごうほうらいらく)な性格で知られた俳優には、数々の伝説があった。「もしかしたら殴られるかもしれない」と思いながら、緊張感溢れる撮影の終盤、操上は自ら仕かけた。「『勝さん、パンツ一丁で走ってください』とリクエストしたんです」。勝さんは怒るどころか、その場で服を脱ぎおもむろに走りだしたという。「しかもカメラのフレームから外れないように、その場ですり足で走り続け演じる姿は、さすが! そのひと言でした」(操上)

Photograph=操上和美 Text=川上康介