テクニック!? 発想力!? 本当に仕事ができる人間とは?【UUUM鎌田社長×城彰二②】

いまや、子どもたちの将来の夢ランキングで必ず上位に入るのが、ユーチューバー。数年前までなら、「何それ?」と言われたものだが、もうすっかり職業名として市民権を得ている。2013年、動画クリエイターをマネジメントする会社、UUUM(ウーム)を立ち上げ、現在、時価総額900億円を超える企業へと成長させたのが、社長の鎌田和樹氏だ。じつは鎌田氏、ゴルフが大好きで、UUUM GOLFというYouTubeチャンネルを立ち上げているほど。何より、「わずか5時間ほどで、相手の人となりがわかるところが素晴らしい」という。そこで今回、「ゲーテWEB」がオファーしたのが、実際にラウンドしながらの対談連載。記念すべき1人目のゲストとして、日本代表のエースストライカーとして大活躍した、元サッカー選手の城彰二氏をお招きした。今回は、その第2回目。城氏の近況から話は続いていった。【UUUM社長・鎌田和樹×城彰二のゴルフスペシャル対談②】

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「スポーツチームを持ちたい」(鎌田氏)

――サッカー選手引退後、城氏がテレビでサッカー解説をしているのは、多くの人が知るところだが、じつは城氏はほかにも、いろいろな顔を持っている。その一つが、サッカーチームの運営。2017年から社会人チームの十勝FC(現・北海道十勝スカイアース)でスーパーバイザーに就任し、2019年3月からは同チームの統括ゼネラルマネージャー(以下GM)を務めている。

鎌田和樹氏(以下、鎌田):僕は失礼ながら、城さんが北海道(室蘭市)出身ということを全然知りませんでした。

城彰二氏(以下、城):高校(鹿児島実業)時代の鹿児島のイメージが強いですよね。

鎌田:それで、その地元愛といいますか、北海道でチーム運営に携わられているんですよね。現役時代から、北海道というのは、ずっとおっしゃっていたんですか。

城:ずっと、思っていました。最後、現役を辞めるときは北海道で辞めたいという思いがあって、コンサドーレ札幌があるので、ちょっと打診してもみたんです。結局、叶いませんでしたが、何か北海道でできればというのは、ずっと思っていました。そうしたら、たまたまスカイアースのお話をいただいて。いま、スカイアースに関われていることが、本当に幸せですね。

鎌田:いまはどちらかというと、経営寄りのことをやられているんですか。

城:そうですね。僕はいま、統括GMという立場でいるのですが、この統括GMというのは本来、選手回りのことや補強ポイントなどを考えたりする役目です。でも、人がいないので、運営やスポンサー回りなど、すべてをやっている状況です。予算を組んだり、競技場とのやりとりをしたり、予約をしたり、もう、すべてですね。これまで選手しかしたことがなく、クラブ経営はもちろん初めてなので、おもしろいことはおもしろいですが、大変ですね。やっぱり、黒字化しなければいけないですし。

鎌田:黒字化するには、結局のところ、強いチームをつくらなければいけないということなんですよね。

城:そうですね、結果がともなわないと、いろいろなことが難しくなります。いまは社会人リーグなので、観客収入もありません。チケット販売ができませんから。

鎌田:チーム運営は、おもしろそうですが、めちゃくちゃ大変そうですよね。でも、僕もじつは、スポーツチームを持ちたいという思いがすごくあるんです。DeNAの方が言っていたのですが、夕方になると社員がいっせいに、横浜DeNAベイスターズの試合をチェックしはじめるらしいんです。「ベイスターズは、今日はどうかな?」と。それを聞いて、なんか、社員が一丸となってやれることって、すごくいいなと思って。

城:ぜひ、やってください! サッカーチームを(笑)。

「アンダー世代は世界で通用するが、そこから勝てないのはワケがある」(城氏)

――サッカーとビジネスがまったく異なるものであることは、言うまでもない。だがどちらも、みんなで一つの目標に向かって邁進していくという部分は、同じ。話をしていくうちに、いろいろな共通点が見つかってくる。

城:鎌田さんは、会社の経営で悩んだりはされないですか。

鎌田:僕、意外と悩まないんです。仕事は何も緊張しないですし、1000人や2000人の前でプレゼンをしろと言われても、何も気になりません。ティーショットのときのほうが、よっぽど緊張します(笑)。

城:それは、僕もそうですね(笑)。サッカーは、いっさい緊張しません。ワールドカップでも、まったく緊張しなかったですね。サッカーってゾーンに入ると、まったく緊張しないですし、ボールが止まって見えるんですよ。

鎌田:ゾーンに入るという感覚は、僕もちょっとあります。なんか無双モードに入って、なんでも閃くときとか、プレゼンをしていても自分で言っていることを、自分で客観的に見ているような感覚。「いま、ちょっと早く話しているな」とか、そんなことを思いながら、口では全然違うことを言っているとか。そんなモードに入っているときは、楽しいですね。

城:それと似たようなことを、サッカーでも言う選手がいます。試合中、フィールドを上から俯瞰で見ている感じになるのだそうです。そういえば僕も、ゴールに向かう光が見えるときがありました。トラップした瞬間に見えて、シュートを打てば、その軌道でスーッと入っちゃうんです。でもそれは、年に1回か2回でしたけどね。ない年も、もちろんありましたし。最初は高校生のときでした。全国高校サッカー選手権の準々決勝で、35mくらいのロングシュートを打ったんですが、ボールをコントロールして反対を向いた瞬間に、ボーンと光っているんですよ。なんだ、これ? と思ったら、もう自分はシュートを打っているんですね。それで打ってボールが離れた瞬間、入ったと思って、僕はもう走り出しているんですよ。手を挙げて。いや、まだでしょって感じですけどね(笑)。

鎌田:悩まないということでいえば、マネジメントやバランスをとることに関しては、ちょっと得意と言いますか、ステークホルダーがすごく多いなかで、ものごとを進めることに自信があるからということもあります。ユーチューブを見ているユーザーもいますし、ユーチューバーもそうですし、スポンサー企業さんもそうですし、社員の人もそう。この人たちの不平不満を、どううまくポジティブなことに変えていくか。それは慣れなのだと思いますが。

城:慣れるものなんですね。でも、やっぱりサッカーも同様に、マネジメントが大切なんですよね。テクニックといったものは、サッカー選手ならみんな、ある程度持っていますから、出る選手と出ない選手とか、チームをどうまとめていくかが重要なんです。チームがグッと一つになれば、たぶんどんなチームでも強くなると思います。ちょっと話は、ずれるかもしれませんが、いま僕は、スカイアースの仕事とは別に、イタリアのインテル・ミラノがやっている日本のサッカースクール、「インテルアカデミー・ジャパン」でスポーツディレクターを務めています。そこでは、本当に教え方が日本と全然違うんですよ。日本人はどうしてもテクニカルなことばかり教えるのですが、インテルの場合はいっさい教えずに、基本からスタートして、そして楽しんでやるというのが第一なんです。

鎌田:日本人のほうが精神論みたいなものを最初に叩き込むのかと思いきや、逆なんですね。

城:そうなんです。それでいま、インテルアカデミーでは日本の現状分析も出てきていて、ジュニア年代はテクニカルなことをすごくやるので、技術はすごいそうです。世界でも屈指だと。だから、U15からU17くらいまでは世界で通用します。でも、そこからなかなか勝っていけなくて、それはなぜかといったときに、やっぱりサッカーの本質を知らないから、というデータが出ているんです。

鎌田:テクニックはあるのに、点は取れないとか、勝ち方を知らないといったようなことですか。

城:そうですね。11人みんなでどう連動して、どういうパスワークをして、どうやって相手を崩していくか。ヨーロッパでは、そういった戦術面を小さいうちからすごくやっているわけです。

鎌田:なんだか、仕事とも似ていますね。テクニックがある人間が、仕事ができるかといえば、僕はちょっと違う気がするんです。小奇麗な資料をつくる人間はたくさんいますけど、本当にプレゼンがうまい人間は、資料は大きな問題じゃなかったりします。もちろんエンジニアとか、手に職みたいな仕事の場合は別ですけどね。以前、「UUUMのビジネスモデルは、誰でもできたでしょ」みたいなことをよく言われたんです。「俺も思いついてはいたけれど、うまくやったね」といった感じで。でも、思いつくことと、形にすることは、まったく別の問題ですし、できたか、できなかったかというのはテクニックじゃないと思うんです。これはどんな世界であっても、同じような答えに辿りつく気がするんですよね。

第3回に続く

Shoji Jo
1975年北海道室蘭市生まれ。元サッカー日本代表。‘98年フランスW杯メンバー。2006年、現役引退。’17年、現・北海道十勝スカイアースのスーパーバイザーに就任。’19年、北海道十勝スカイアースの統括ゼネラル・マネージャーに就任。
Kazuki Kamada
1983年東京都生まれ。19歳で大手通信会社入社。多岐にわたる分野で実績をあげ、2011年よりイー・モバイル一次代理店の責任者を務める。その後、HIKAKINとの出会いを経て、2013年、UUUMを立ち上げる。


Text=柴トシユキ Photograph=鈴木規仁


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