【才能の正体④】ビリギャル著者・坪田信貴が考える「才能」と「成功者」、「才能」と「天才」

『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』、通称「ビリギャル」で広く知られる坪田信貴さんの新著は『才能の正体』という。才能とはたしかによく使う言葉だし、「自分には才能がない……」などと、知らずその意味に囚われてしまうが、坪田さんは 「才能は、誰にでもある」と断言する。 才能とは、どういう存在なのか。同書の内容に則しながら、改めて聞いた。


才能は気分が9割

『才能の正体』第4章は、「『才能』と『成功者』、『才能』と『天才』」と題されている。

才能とは特別な人にだけ存在するのではない。誰もが備えているものである。伸ばすか伸ばさないかは自分次第であり、本人の気分によって9割方は決まる。成功者だって普通の人だと坪田さんは話す。

「人を伸ばし、ひいては組織を伸ばす方策を、世の人たちは必死に探しているという印象です。その手立ての第一歩として、企業ではよく報告・連絡・相談の『ホウレンソウ』を徹底させようとしますね。組織を円滑に動かすにはたしかにホウレンソウが大事になりますが、あれは「ホウレンソウをしたくなるような上司になりなさい」というのが言わんとするところです。部下がホウレンソウしないと嘆くなんて間違っています。嫌われてホウレンソウしたくない上司になってはいけないという戒めです。

思えば子どもは小さいころ、ホウレンソウしまくりますよね。なんでも「見て見て!」「あのね、あのね」と言ってくる。それが思春期になると一転、部屋に閉じこもって話してくれなくなる。なぜでしょうか。報告に対するフィードバックが小さいころはなんでも褒めてもらえるのに、大きくなるともっとこうしなさいああしなさいと批判ばかりされるから。だったら情報は出さないようにしようという戦略をとるのは当然ですね。

親子だけでなく、上司と部下でも同じです。いつも批判ばかりでは、いざというときにも報告をしてもらえなくなります。上司が常に肯定的なほうが、まちがいなく部下は伸びるし、組織としての成果も出ます。

これまでの社員教育は、教育といえるようなものではなかったのです。ダメなところを矯正し、結果を出せと強いるだけのものでしたから。それは教え育てるというよりも、単に人をふるいにかけているだけ。

少子高齢化になっていく世の中で、ふるいにかけているばかりでは人は残りません。そうではなく、積み上げていく教育が大事になります。『ビリギャル』は、いかに人材の底上げをするかの一つの実践だったといえます。

人をどう育てるかというニーズがビジネスの世界でも切実になってきているのを感じます。だからこそ僕が経営者に呼ばれてたくさんの人の前でお話をする機会も増えてきているのではないでしょうか。

これまでのやり方では通用しないとなると、では上司は何をしたらいいのか。部下の目指すべき方向性や課題をいっしょに探してあげたりするのです。個人としての相手に関心を示して、何か希望があるなら、じゃあ新規事業でそれをやろうかなどとフォローアップしていく。ティーチングじゃなくて、コーチングに徹するということですね。

そんなのたいへんじゃないかと思われますか? いえ、僕に言わせればちっともたいへんじゃないですよ。ただ自分が変わればいいだけの話です。

そもそも、教育で相手を変えられると思うのが間違いなのです。意味のない説教を2、3時間したって、相手が辞めるきっかけをつくるだけ。その熱量が相手に伝わり、変わるなんてことを期待してはいけない。変われるとしたら、それはいつだって自分だけだということは、肝に銘じておきたいところです」

おわり


『才能の正体』
坪田信貴
幻冬舎 ¥1,500+税


Nobutaka Tsubota
坪田塾塾長。心理学を駆使した学習法により、これまでに1300人以上の子どもたちを「子別指導」、多くの生徒の偏差値を球に上げてきた。一方で、起業家としての顔も持ち、人材育成、チームビルディングの能力を多くの企業から求められてマネージャー研修、新人研修を行うほか、テレビ、ラジオ、後援会等でも活躍中、『どんな人でも頭が良くなる 世界に一つだけの勉強法』など著書多数。


Text=山内宏泰 Photograph=太田隆生


【才能の正体②】


【才能の正体①】