起業家で人気YouTuber! div真子就有の野望「テクノロジー教育で世界を変える」

若干30歳にして日本最大級のプログラミングスクールを運営するdiv(ディブ)の代表でありながら、チャンネル登録者数70万人を超える話題のYouTuber。八面六臂(はちめんろっぴ)の活躍を見せる男・真子就有とはーー。

誰かの役に立つという成功体験を積むことで自己肯定感が高まる

社会や企業の急速なIT化が進み、あらゆる産業がテクノロジーと融合していくなか、エンジニアの需要はますます高まり続けている。しかし、一方でその人材不足も深刻であり、優秀なエンジニアは国内外を問わず、多くの企業から引く手数多の状況だ。今やITはビジネスのベースであり、プログラミングを学びITのスキルを身につけることは自身の仕事に役立つだけでなく、将来のキャリアアップにも確実につながる。

そんななか、群雄割拠といえるプログラミング教育ビジネスにおいてひときわ強い存在感を放っている男がいる。日本最大級のプログラミングスクール「テックキャンプ」を運営するベンチャー、divの創業者であり代表の真子就有(まこゆきなり)だ。

「プログラミングがこれからの時代に必要なスキルであることは明白です。しかし、多くの人が独学により挫折しているという現状があります。未経験の人がエンジニアになりたいと思っても難しい。だからこそ、“質問し放題で挫折しない”をコンセプトにするテックキャンプには存在する意義がある。受講生が学習をやり切ることのできる、唯一無二のスクールになっていると自負しています」

真子が話すように、テックキャンプの最大の特徴は“挫折しない環境づくり”にある。講義はいっさいなく、教材に沿ってひたすら手を動かして学習。常に講師が待機しており疑問点には即回答。受講生一人ひとりにパーソナルメンターがつき、学習のアドバイスを行ってくれるなど、徹底的なサポート体制と質の高い教育プログラムが評判となり、2014年のサービスイン以来、2万人を超える卒業生を輩出、現在では全国各地に13教室を構えるまでに規模を拡大している。また、著名な経営者やスポーツ選手も受講するなど、テックキャンプはまさに業界を牽引するスクールとなっている。

人生を決定づけた岡本太郎の言葉​

真子が仲間と会社を立ち上げたのは大学卒業間近だった’12年3月。実は、某ITベンチャーの内定を蹴っての起業だったという。

「Facebookのマーク・ザッカーバーグに影響を受けて、世界を変えるようなサービスを自分も作りたい、と漠然と考えていた学生でした。趣味の範囲で友人と小さなサービスを開発したりもしていたのですが、将来的に起業して成功するためには、まずは社会人としての経験を積み、自分をもっと成長させる必要があると思い、就職する道を選んだんです。とても勢いのある気鋭のベンチャー企業に内定をいただきました」

内定後、学生インターンとして働き、毎日がむしゃらに仕事をこなす日々。しかし、卒業まで数ヵ月を切り、正式な入社日が近づいてくるにつれて、真子の心には迷いが生じてくる。このまま就職していいのだろうか。思い切って起業すべきじゃないのか。自分の進路について悩み、途方に暮れていた時に読んだのが、岡本太郎の著書『自分の中に毒を持て』だった。

「その企業の社長は圧倒的なカリスマ性があって、ここで働けば絶対に自分は成長できると思える環境ではありました。でも同時に、会社にいると他人の評価ばかりを気にする人間になってしまうのではないか、と思い始めていたんです。そんな時、この本にあった『人生における成功とは、自分の信念をいかに貫いたかで決まる』という一節が、心に突き刺さりました。岡本太郎は自分の絵が落書きだと馬鹿にされても、どんなに批判を受けようとも、それに立ち向かっていきました。自己を貫き、燃えるようにして人生を駆け抜けていった岡本太郎みたいに、自分もやりたいことだけをやって死んでいきたい。世間の常識とか他人の価値観なんてどうでもいい。それでいいんだって思えて、起業する決心がついたんです」

サービス終了、チーム解散、どん底からの新たな挑戦

自分のやりたいことだけをやって生きる。その思いを胸に’12年We-b(現div)を起業した真子だったが、順風満帆の船出とはいかなかった。個人の関心事をシェアする「log」、同世代のユーザーで期間限定のコミュニティが形成できる「Class」というふたつのサービスを開発。ともにリリース時はかなりの盛り上がりを見せるも長くは続かず、サービスは終了。資金も底をつき、会社を存続させるためにひたすら受託開発を請け負う毎日。満身創痍のなか、さらに追い打ちをかけるようにひとり、またひとりと仲間が辞めていき、結局、残されたのは真子とインターン生のみになってしまう。

「さすがにこの時期は精神的にキツかったですね。同世代の起業家が手がけたサービスが急激に成長を遂げていたこともあり、自分の不甲斐なさに悔しさも感じていました。でも、失うものがなくなって吹っ切れたというか、一回全部リセットしてゼロから事業を作り直そうとすぐに動き始めました。起業した時に絶対に諦めないと心に決めていたので、立ち止まることはありませんでしたね」

これまでの経験を活かし、真子が事業を企画する際に意識していたのが、自分の得意分野である、今後伸びる市場である、マネタイズしやすい、という3つのポイント。これらをすべて考慮したうえで新たに立ち上げたのが、’14年10月にスタートした“質問し放題”のプログラミングスクール「テックキャンプ」だった。

「私自身、プログラミングを独学していた時に周りに聞けず、とても苦労しました。ひとりでサービスを作れるようになるまで1年半もかかったほどです。一方で、起業してから一緒に働いていたインターンの学生は、まったくの素人からわずか2ヵ月でサービスをリリースできるくらいに成長していました。その差はなんだろうと考えた時に、“疑問点を即解決できる環境”こそが大事なんだと思ったんです。早速ウェブサイトを作って募集をかけたところ、応募が殺到。回を追うごとに、受講生が増えていきました」

すぐにクローズしてしまった前出のサービスと今も成長を続けているテックキャンプを比較して、真子自身はその違いをどのように考えているのだろうか。

「明確なニーズをイメージできたことに尽きると思います。実際私の周りにも、モチベーションを保てずにプログラミングの勉強を挫折してしまった人がたくさんいました。リアルな問題を抱えた人たちに向けて、“学習をやり切る”ということを商品にし、徹底的に先行投資をした。だからこそ、ビジネスとしてうまくいったんだと思います」

YouTubeは間違いなく事業にいい影響を与えている

真子は社長業の傍ら、「マコなり社長」というYouTuberとしても活動をしている。’18年11月にチャンネルを開設すると、仕事や人生に役立つ実践的な内容が多くのビジネスパーソンの心を捉え、今では70万人を超えるチャンネル登録者数を誇る。

「当時、経営者でYouTubeに力を入れている人っていなかったので、だったらそのパイオニアになろうと。ビジネス系YouTuberはブルーオーシャンだったし、自分をもっと成長させたいと思うビジネスパーソンに向けた動画は、間違いなくウケると思いました」

真子自身がネタを決め、約10分の動画1本あたりの原稿準備には4〜5時間ほどかける。また、視聴者を惹きつけるタイトルのつけ方や話し方にも徹底的にこだわり、多忙ながら動画の質を上げるためには手間を惜しまない。

「YouTubeを始めたことは、会社にとっても大きなプラスになっていると感じます。動画を見て人生を変えようと決意し、テックキャンプを受講してくれる人も多い。事業と同じで、私自身が本気でYouTubeに取り組んでいるからこそ、視聴者の心を摑むことができていると思います」

divの基本理念は、「人生にサプライズを」。世界の人々が心から幸せだと感じて生きる世界をつくること。それが真子の夢なのだという。

「私たちが事業を通して提供したいのは、単なるスキルの習得ではありません。身につけたスキルを誰かのために発揮し、喜んでもらう。そんな成功体験をしていただきたいんです。成功体験は自己肯定感を高め、幸せな人生を生きることにつながります。テクノロジー教育を通して世界を幸せにする。そのために走り続けていきます」

【YouTuber“マコなり社長”の人気動画】ビジネスパーソンに向けて、自身のリアルなサクセスストーリーを基にした、仕事や人生に役立つ話を簡潔にわかりやすく配信している。「私の動画を見て、新たな挑戦に向けて一歩を踏みだす勇気を持ってもらえれば嬉しいです」


Text=宮寺拓馬(編集部) Photograph=太田隆生