【シリーズ秘書】進化した"秘書"の最先端の働き方に迫る

今、秘書の働き方は劇的に進化した。気がついていない人は、時代に置いていかれるかも!? そんな秘書たちの進化した働き方を、人材のプロフェッショナルたちが解説する。


AIの到来は、秘書の能力を劇的に進化させた

AIの進化やIoTの浸透で、仕事を取り巻く環境が変わったのは、誰しも実感するところ。では何が変わったのか。はっきりしているのは、いわゆる「雑務」が減少したこと。

「私たちも当初は、秘書の仕事はしだいに先細りしていくと予測していました」

秘書に特化した派遣サービスや育成プログラムに携わる、パソナ営業総本部の黒川陵子マネージャーが話す。だが予想に反して、派遣業における秘書の需要は減少しなかった。

「機械的な雑務や事務処理ではなく、仕事を『最適化する』という秘書本来の役割は、いつの時代も求められるべきものだったからです」(黒川さん)

高度な対応力やホスピタリティを有する秘書は、AI時代にも生き残るというわけだ。むしろ雑務から解放された秘書は、法律・会計・語学などの専門知識を身につけ、よりパワーアップし始めている。そう、それこそが「秘書2.0」なのだ。

ホスピタリティを持つ秘書が進化すれば、これほど有益なものはない

スケジュール管理だけを担う存在ではない。これからの秘書は、各種専門知識を持ち、ビジネスに欠かせぬ有為のプレイヤーとして位置づけられることとなってきた。

「近年は秘書検定のみならずCBS(国際秘書検定)の受講者が増えています。語学や法律、会計などを含む高いスキルが求められる検定です。そうした『引きだし』を持ち、積極的にビジネスに関わろうという意欲の表れですね」(黒川さん)

日本秘書協会認定講師で、「秘書リーダー養成コース」などの講義を受け持つ竹内修さんも、同様に秘書の意欲は近年高まる一方だと語る。

「経営幹部の支援が秘書本来の仕事。適切な判断力・実行力が求められる。秘書職を高いレベルでこなせば、自身のキャリアパスにもなりますね」

専門性とホスピタリティ、そして向上心を持つ2.0の秘書たち。その存在感はもうボスの影だけには収まりきらなくなっている。

ステレオタイプの秘書と社長では、やがて企業は滅びるだけ

企業側にも動きがある。社長のアドバイザーや次期リーダー候補としての役割を、秘書に与える事例が増えているのだ。

一方で、意識変革をせずにいまだ「秘書はお茶汲みと書類整理を」との風潮を残す企業も少なからずある。働き方や仕事の領分をアップデートしている企業と、していない企業で二極化が進んでいる状態だ。


「旧態依然とした秘書との関係を好む経営者の方もまだいます。しかしその方に5年後、10年後も秘書はついていられるでしょうか? 前途はあまり明るくなさそうです。組織に頼りきっていてはいけません。秘書は自らの仕事と立場を守るため、進化しなければ」(竹内 修さん)

パソナ・黒川陵子マネージャーも同意する。「秘書は経営幹部の代理人であり、パートナー。そんな意識を持って仕事に臨む人は多くなっています。秘書も数値化できる目標を掲げ、成果を追求し始めているのです」

秘書はパートナー。経営者はまだ活かしきれていない


意識を変えられていないのは、組織や経営者の側なのかもしれない。イマドキの秘書は経営者の傍らですべての知見とノウハウを身につけると、自分のするべき仕事を見極めてフリーランスの立場になったり、自ら起業したり。独立独歩で進み始めている。

優れた「秘書2.0」を使いこなせない経営者は、置いてけぼりを食らうだけだ。秘書2.0を活用できない状態とは、たとえればiPhone Xを手にしていながら、電話としてしか使っていない! そんな、なんとももったいない状態に陥っているようなものなのだ。

経営者の側が今こそ、秘書のあり方とその存在価値について、とくと考え直さねばなるまい。ビジネス面からいえば、秘書とは身近にいる最強の戦力であると、認識し直すべきだ。

Pasona
総合人材サービスのパソナでは、秘書に特化した派遣サービスや育成プログムを開発。最適な仕事マッチングを支援。https://www.pasona.co.jp/feature/desk/
secretary/index.html

Osamu Takeuchi
1950年生まれ。オーティーズ代表。富士ゼロックスをはじめ国内外の企業で秘書のあり方を目にしてきた。その知見を活かし日本秘書協会認定講師を務め、「秘書リーダー養成コース」などの講義を担当。

Text=山内宏泰 Illustration=林田秀一