困難に際し責任をなすりつけ合うリーダーたちの情けなさ~ビジネスパーソンの言語学104

各界のトップランナーたちのコメントには、新時代をサバイブするヒントが隠れている。当コラムでは、ビジネスパーソンのための実践言語学講座と題して、注目の発言を独自に解釈していく。104回目、いざ開講!

「この問題は、圧倒的に東京問題と言っても過言ではないほど東京中心の問題になっている」ーーー菅 義偉官房長官が講演にて発言

官房長官といえば、総理大臣の右腕であり、内閣のスポークスマン。会社にたとえるなら社長の側近中の側近の役員、副社長といったところだろうか。その副社長が会社の危機に、責任転嫁とも思えるような発言をした。11日に北海道で行われた講演で菅 義偉(よしひろ)官房長官が新型コロナウイルスの新規感染者が増加している問題についてこう語ったのだ。

「この問題は、圧倒的に東京問題と言っても過言ではないほど東京中心の問題になっている」

営業部で問題が起きたとしても会社には関係ない。「営業部の問題だ」と副社長が言い切っているようなものだ。国と都がまるで別組織のような発言をしているようでは、問題が解決に向かうとは思えない。この官房長官には都民=国民という意識が欠けているのではないだろうか。

この発言に都をあずかる立場の小池百合子都知事も黙ってはいなかった。13日になると、「圧倒的に検査数が多いのが東京」と反論し、国が主導で進めているGo Toキャンペーンを批判。

「冷房(感染予防)と暖房(Go Toキャンペーン)の両方をかけることについて、どう対応していくのか。もちろん、体調不良の方は都外へお出かけにならないでください、ということは伝えているが、無症状の感染者も出ている中で、どう仕切りをつけるのか。これは国の問題だ」

この数カ月、国民は不安の中で生活を続けている。誰もコロナの蔓延を望んでいないし、そのために経済が崩壊していいと思っている人間もいないだろう。このバランスをとり、国民・都民の不安を少しでも軽減するのがリーダーたちの役割だろう。もちろんこの未曾有の事態に誰もが満足する正解を見つけるのは困難だろう。だが少なくともリーダーたちが一致団結する姿を見せてくれなければ、私たちの不安は払拭されるどころか増幅し、不信感へとつながっていく。

副社長と会社の根幹を担う営業部長が責任のなすりつけ合いをしているような会社に未来はない。こんなとき社長が「オレが責任を持つ」と、ビシッと方針を示してくれればいいのだが、どうやらそれも期待できそうにないのが残念で仕方がない。


Text=星野三千雄