女優・佐藤 玲「今はお芝居をするのが何よりも好き」

働かないオジさん行員、いやいや付き合う上司との会食、行内の年中行事への厳しいダメ出し……とある銀行の女子更衣室で繰り広げられる会話を通じ、OLたちの何気ない日常をコミカルに描きだす映画『架空OL日記』(2月28日から公開)。出演の佐藤 玲に撮影の様子を聞いた。

一番の難役を経て、女優としての前進を実感

「決まった台本はありますが、比較的長い時間回しっぱなしで撮っているので、会話もすごくリアルな感じなんですよね。吹きだすギリギリでこらえていることも多いですし、時にはほんとに吹きだしちゃうことも(笑)」

演じるのは、5人の主要な登場人物のうち、場の空気を乱す無邪気な発言を連発する天然キャラの後輩「サエちゃん」だ。

「先輩たちの当たりは結構強いんですが、ふわっと受け止めて聞き流すタイプ。同性に『イラッとするけどしょうがないな』と思ってもらえるギリギリの加減がわからず、当初は悩みすぎて体調を崩したことも。でも皆さんにお詫びして回っている時に、急に視界が開けたんですよね。『こういう時にちゃっかりして悪びれないのがサエちゃんかも』と」

自身は集団のなかで自分を出せず、客観視するタイプ。自分と似た部分のない「サエちゃん」は一番の難役だったが、それを経て明るくめげない役のオファーが増えたという。「女優として前進できている気がする」とその姿勢は生真面目だ。

「映像のお仕事を始めたのは少し遅くて21歳から。私は台本至上主義なのですが、映像では『キャラクターをもっと出して』と言われることもあるし、自分の殻を破っていかなければいけないなとも思います。舞台出身だからかエンジンが入るまでに時間がかかって、例えば泣くシーンを撮る前には、逆算して前日から気持ちのスイッチをいれたり……探り探りですが、そういうやり方も徐々に構築できてきているかなと」

20代後半になり、これまで以上にさまざまな役に挑戦したいが、例えばオーディションなどでは必ずしも思うようにいかないこともある。そのたびに落ちこみはするけれど、それでも続けているのは「今はお芝居をするのが何よりも好き」だから。

「"好きなこと"をやりたい。それは苦手なことや嫌なことはやりたくないという意味ではなく、何でも"好きになろう"と思いながらやりたいんです。そうすることで、好きになれること、楽しめることが増えていくと思うので」  


『架空OL日記』
お笑い芸人・バカリズムが、自身の正体を隠して3年間書き続けたブログを原作に、銀行勤めのOLたちの日常をコミカルに描く。「月曜日の朝はいつもより不機嫌」「更衣室のコンセントの奪い合い」など女性の共感を呼ぶ日常が満載。
原作・脚本・主演:バカリズム
出演:夏帆、臼田あさ美、佐藤 玲、山田真歩ほか
監督:住田 崇
2月28日(金)全国公開  

Ryo Sato
1992年東京都生まれ。学生時代より蜷川幸雄のもとで演技を学び、2012年舞台『日の浦姫物語』でデビュー。’14年に『おばけ』で映画初主演。近作に『泣くな赤鬼』『ドンテンタウン』など。

Text=渥美志保 Photograph=滝川一真