【ゴルフ】海洋冒険家・白石康次郎の飛距離380ヤードぶっ飛ばし論

日本が世界に誇る海洋冒険家、白石康次郎─―。ヨットに乗って海を渡れば、その右に出る者はなく、ドライバーをブンと振り回しても、その右に出る者はいない。最高飛距離、なんと380ヤード。そのぶっ飛ばし論を聞く。


真っ直ぐ、より遠くに。それが理想のショット

始めたのは、いつだったかなあ。最初の世界一周が26歳の時で、その少し後だから30歳くらい。ある集まりに参加していた時に、みんなに「ヨットばかりやってないで」と言われたんですよ。当時の僕はまだ修業中の身で、頭の中はヨットで世界一周することばかり。だから、たぶん皆さんが気を遣ってくれたんでしょうね。そうやって誘ってもらったことが、ゴルフを始めるきっかけでした。

もともと野球をやっていたから、ある程度は自信がありました。当時はタイガー・ウッズがすごくカッコよくて、すぐに「俺もやってみようかな」という気になって。そりゃあもう、最初から楽しかったですよ。ゴルフは見渡す限り緑色。最高に気持ちいい。ヨットは真っ青。草一本生えてません(笑)。僕にとっては、それもすごく新鮮な魅力でした。

ただ、当時はまだ、すごく高級なスポーツだったんです。今みたいに「ちょっと行こうか」なんてできなかったから、いつもラウンドの1ヵ月前からソワソワしていた。プレーについては、最初はうまくいかなかったことばかりでしたね。〝野球打ち〞を直すのにものすごく時間がかかったんです。野球は球に向かって打ちにいこうとするから、ゴルフをやるとカットしてしまう。つまり、身体が開く。ヨットをやっていて力があったから、最初からすごく飛びました。でも、いくら強く打っても右に飛ぶ。これを直すためのトレーニングは完全に『巨人の星』でした(笑)。

380ヤード飛ばすための愛用ドライバーは、ピンのG400MAX。

ある大物プロゴルファーの番組に出させてもらった時に、ドライバーをドンと振ったら僕のほうが遠くに飛んだんです。司会のプロゴルファーさんに「ドラコンに出ないんですか?」と言われて、その時に「俺って飛ぶんだ!」と自覚したんですよ。しかも、それがきっかけでスポンサーがついてくれることになって。となると、もう真剣ですよね(笑)。

それからはもう、コーチがつきっきりで、半年間みっちりトレーニングしました。まずは、ドライバーのヘッドに1円玉を乗せて「落とすな」と。その次は、チューブを使ったヘッド位置の最下点を身体で覚えるために、わざとダフる練習。それから、ヘッドにひらひらとなびく紙を貼って、スイングの軌道を修正する練習。その次は〝面〞に当てることを意識するためのテニスラケット打ち。練習場で、コーチがトスをしたボールをひたすらテニスラケットで打つんです。これはもう、いわゆる昭和の猛特訓(笑)。

長さも硬さもオリジナルのシャフトは、三菱ケミカルのクロカゲ。

そのおかげで、たった半年間で見事に野球スイングからゴルフスイングにフルチェンジしました。迎えたドラコン大会では、350ヤード飛ばして全国で9位。それで一気に、ドラコンに目覚めてしまいました。42歳くらいだったと思います。

ドライバーを飛ばすのって、やっぱり気持ちいいですよね。男ってそういう動物だと。完全に本能みたいなものだから、女性に説明しても理解してもらえないかもしれないなあ。

ドラコン時には、シャフトもそれ用に変更して、挑む。海洋力学と同じ思考で、14度の角度に2000回転の球を飛ばし、準優勝を果たす。

キャリアと年齢を重ねていくと、飛ばすことに対する意欲がなくなるという意見もよくわかります。スコアメイクするという意味では、フルスイングはリスクになりますから。僕自身も使い分けているので、フルスイングしないことも、もちろんあります。

でもね、トップレベルのプロの世界では、やっぱり飛ばさないと勝てないんですよね。そこにはロマンがあるし、飛ばしちゃいけないというルールはない。真っ直ぐ、しかもより遠くに飛ばすことがショットの理想ではあるから、そこはあきらめたくない。まあ、僕の場合は、ものすごい距離を打ってもそこから3打かかるから、ギリギリのところでみんなに愛されるんです(笑)。僕が目指しているのはうまいゴルファーじゃなくて愛されるゴルファーですから。


海の上でも、ラウンド時でも、愛用ウェ アは、機能的でシンプルなヘリーハンセンのもの。
KOJIRO SHIRAISHI
1967年5月8日東京都生まれ。海洋冒険家。ヨットで単独世界一周を3度経験し、世界的なヨットマンとして、その世界では誰もが知るカリスマ。歴20年のゴルフは飛距離380y。

次回は、白石康次郎が"真っ直ぐ、380ヤード飛ばす"ためにやっている6つのこと、を解説する。

Text/細江克弥 Photograph/鈴木規仁、矢部洋一(ヨット写真)、Cooperation/リビエラスポーツクラブ