ミクシィ・木村社長はなぜスニーカーを集めるのか?

IT業界きってのスニーカー好きであるミクシィの代表取締役社長、木村弘毅氏。スニーカーを自己表現の一環として楽しみ、クリエイティブな刺激を得る。それはゲームプロデューサー出身の木村氏らしいスニーカーの楽しみ方だ。そこに垣間見える、木村氏ならではの経営的視点とは。


人を驚かせ、ワクワクさせるということ

「ハマったきっかけは大学時代のスニーカーブーム。以来、ピンとくるものに出合ったら購入するようになりましたが、それはコレクションではなく、あくまでファッションとしてです。ファッションとは自己表現であり、いわばセルフプロデュース。元々はSNSやゲームのプロデューサーである私にとって、好きなスニーカーで自分自身をプロデュースすることは、なにより面白くて刺激になることなんです」

そう語るのは、IT業界きってのスニーカー好きであるミクシィの木村弘毅社長だ。

現在は世界的なスニーカーブームの真っ只中。レアなコラボモデルが驚きのプレミアム価格で取引され、ラグジュアリーブランドや高級靴ブランドが挙ってスニーカーをラインナップ。コレクターも世界中に増えている。そうしたブームを背景に盛り上がるスニーカーを自己表現の一環として楽しみ、クリエイティブな刺激を得る。それはゲームプロデューサー出身の木村氏らしいスニーカーの楽しみ方だ。そしてそこには、いまや経営者となった木村氏の経営的視点も垣間見える。

「弊社は“ユーザーサプライズファースト”を行動指針のひとつとしています。それは顧客第一ではなく、顧客の驚きを優先するということ。それを実践するためには、常に新鮮な楽しみや刺激を求め、顧客に提供しなければならないと思っています。私はクルマや家具なども新しいものが好きで、スニーカーも買うのは新作が多いのですが、それは私自身にとっての刺激であり、驚きでもあるからなのです」

驚きとは、人をワクワクさせ、興奮や熱狂を生みだすもの。そして自分自身がワクワクするとはどういうことかを知らなければ、胸が高鳴るような驚きを人に提供することはできないだろう。そう、木村氏にとってスニーカーは、クリエイターと経営者、双方の視点を養う役割を果たしているに違いない。

「レア物などにこだわりはなく、すべて履き潰してしまうので、私自身はコレクターではないですが、現在のスニーカーブームは素晴らしいと思います。行列を作ったり、高額を払ってでも欲しい。それほど強烈な消費欲求をかき立てるものは、いまは少ないですから。近頃の若者は物欲がないといわれますが、スニーカーのような熱狂するものがあると、世の中がホットになる。そういったお祭り状態は個人的にも好きですし、企業にとってありがたいことでもありますね」


一番好きというナイキからグッチやディーゼルなど、ファッションブランドのスニーカーまで幅広く購入するそう。
Koki Kimura
1975年生まれ。2008年ミクシィに入社。スマホゲームアプリ「モンスターストライク」を大ヒットへ導く。’18年より現職。


Text=竹石安宏(シティライツ) Photograph=宮下祐介