【サイバーエージェント流】仕事の悩み相談③「スキルが未熟な若手とどうチームを作るのか?」

1998年の創業以来、インターネットに特化した広告事業を展開し、業界最大手に成長したサイバーエージェント。現在は「AbemaTV」をはじめとするメディア事業やゲーム事業などでも、時代に合った有益なサービスを提供している。そんな成長・拡大を続ける日本のIT界を代表する元気な企業、サイバーエージェントのインターネット広告事業部門の若手営業幹部に、多くの企業、管理職が抱える悩みを相談。第3回は若手が多いチームをどう育成し、成果を生み出す組織を作るのかについて聞いた。


回答者:蜷川親将(34歳

サイバーエージェントインターネット広告事業本部統括

個人の実力差が顕著に出やすい領域    

2009年にサイバーエージェントに新卒入社。インターネット広告事業本部にて、人材、メディア、エンタメ、金融など大手広告主企業をアカウントプランナーとして担当。2014年に統括に就任してからは、SEM領域のコンサルタントチームを率いています。

具体的な仕事の内容は、グーグルやヤフーのプラットフォームを活用した運用型広告に関するコンサルティング業務です。運用型広告はインターネット広告市場の中でも最大規模のマーケットゆえ、必然的にクライアントからは大きな広告予算を預かり、予算と比例した大きな成果がシビアに求められます。

加えて運用型広告の特徴として、運用レバーが多岐にわたり日々の広告運用/改善を積み重ねていくことが重要です。クライアントからの期待が大きく、かつ自らのコンサルティング能力によって成果が大きく変わってくるこの領域は、プレッシャーは常にありますが「頑張った分だけ報われる」という点で非常にやりがいのある領域だと思っています。

チームは約100名。男女はほぼ半々で、年齢構成は下が22歳、上が40代中盤。全体の約7割を入社3年未満の社員が占めています。若い世代が多いチームなんです。

若い社員が多い中、どうやってマーケットで勝てる組織を作っていくか、統括就任当時は非常に悩んでいました。個人の実力差が顕著に出やすい領域のため、人の能力によって成果にムラがあり、どうしても“組織としての成果”が安定しない。なので、それを担保する、“仕組み化”が必要でした。

仕組み化のテーマは70点  

仕組み化のテーマは「誰がやっても70点以上とれるサービスレベルを実現すること。仕組みだけで競合エースプレーヤーに勝てる広告効果が出せること」。仕組みだけで100点は難しくても、仕組み化の精度を上げれば最大公約数の70点はとれます。そのために、社内のトッププレーヤーを集め、彼らの仕事内容を徹底的に因数分解して言語化し、オペレーションルールに落とす作業を行いました。そうすることで、100点ではないが、70点のルールを作ることができたのです。

また、決めた仕組が組織へきちんと浸透しなくては意味がありません。そのために、ルール適用度を信号の色に見立て、適用度が高ければ”青”、低ければ”赤”などで判定。毎週可視化することで、次第に浸透していき、それが組織力のボトムアップに大きく寄与していいきました。

加えて、この業界は、変化が非常に激しい業界なので、ルール自体の陳腐化を防ぐことも重要です。そのために、3ヵ月に一度ルールの見直しを継続して行いました、結果、常に組織成果を安定して出せるようになりました。

若手社員の育成スピードを上げていく

入社3年未満の若手社員が7割を占めるチームなので、育成は最も重要視しています。先ほど述べた通り、仕組化のベースを徹底的に整えることが大事です。

“人”でやらなくていい“ルール化できるオペレーショナルな仕事”を、RPAなどを活用し徹底してシステム化することで、新卒若手社員でも成果を出せることが可能となります。それができた上で、個々人の個性をのせていくことで、育成スピードは大幅に向上しています。

育成で最も意識しているのは、「本人の成長機会となるミッションセットができているか」ということ。

そのために、半年に一度、チームのボードメンバーで集まり、「メンバー100人分の成長機会を一人一人本当にセットできているか?」という内容を丸一日かけて議論する場を設けています。ミッション一つで人の成長角度は恐ろしく変わる、ということを自分の経験からも実感しているので、このミッションセットは非常に大事にしています。

加えて、若手であっても積極的に組織創りに関与させる機会を設けることで、視点が上がる機会を意図的に作っています。自分の担当業務以外に、俯瞰して組織貢献を考えアウトプットする機会がある事で普段の仕事では得られない思考の幅や深さが得られるからです。

最近では「ダントツ会議」という組織の課題解決案を提案する合宿を行いました。この合宿は、若手社員をリーダーとしてチームをつくり、若手社員自らが経営課題に対する解決案を出し、良い案は実際にその場で決議し、自分たちで組織をつくっていく機会となっています。

これらの機会を提供することに加え、大事にしているのは、「チームのメンバーを絶えず見ていること」。 若手社員の日々の気持ちの変化や迷い、悩みは、ちょっとした態度やしぐさ、メールの文面などにも表れます。1対1で向き合えば、視線にも違和感が出ます。そういった些細な変化を見逃さず、少しでも何かを感じたら、すぐに話す機会を設けることですね。特に”成長”している点についての変化は注視しています。

人って、できていない点は自分で気づきやすいですが、成長ポイントを客観的に認識するのは苦手なものです。成長ポイントを気付かせてあげることで、本人の自信にもつながり、仕事への迫力も出てきます。成長ポイントもネガティブな点も気づいた事を率直にフィードバックすることで、自分をきちんと見てくれている、という信頼関係にも繋がっていくのだと思っています。
  

Chikamasa Ninagawa
2009年、サイバーエージェント入社。インターネット広告事業本部にて、アカウントプランナーとして、人材、金融、メディア、エンタメなど大手広告主企業を担当。2013年よりSEM領域の専門組織である第2本部を立ち上げ、SEM領域に関わるすべてのプロジェクトに従事。2014年10月より統括。


Text=川岸 徹 Photograph=鈴木拓也

 
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