【秘書の条件】アルフレックスジャパン保科卓社長が絶大な信頼を寄せる秘書の仕事術とは?

優れた秘書の条件は、スキルの高さだけではない。思いやりに長け、周囲を幸せにする人間力が重要だ。業績好調な企業トップの陰に、優秀な秘書あり。ボスの多動力に物怖じせず、どこまでも対応し尽くす。前輪と後輪のごとく同じ方向を目指す、結束の秘密に迫る。


スーパー秘書の仕事術

1969年の日本上陸以来、「イタリア生まれ、日本育ち」のブランドとして50年にわたって愛され続けてきたアルフレックス。飽きがこないシンプルなデザインと、長く使える高い耐久性は、ライフスタイルに心の豊かさを求める今の時代にフィット。近年は堅調に業績が伸び続けている。

「アルフレックスの家具は傷んだ箇所を修理して、長く使ってくださる方が多い。親から子へと受け継いで使っている、そんな話を聞くと、心から嬉しさが込み上げてきます」と、代表取締役社長の保科卓氏は話す。

流行に左右されないアルフレックスの理念を理解し、実際に身体で感じている秘書の中村美穂さん。商社や金融業などを経て入社し、今年で約4年になる。

オフィスやラウンジも提案する同社の社員用フリーアドレスオフィス。

「以前からアルフレックスの家具に強い憧れがありました。いつか購入したいと思っていましたが、価格的になかなか手が出せない(笑)。でも、先日、思い切って購入しました。家具って、子供の記憶に強く残るもの。私にはふたりの娘がいますが、子供の成長とともに、日々を積み重ねていくのが楽しみです」

中村さんの仕事は、まず保科社長のスケジュール管理。国内外を問わず出張が多い保科社長のスケジュールは分刻み。PC上のスケジュール管理画面は項目ごとに色分けされているが、まるでテトリスのような状態だ。

「彼女のスケジュール管理能力はまさに完璧。というのも、出張では航空便の欠航など思わぬことが起こります。彼女はトラブルのクリア能力がすごい。あらゆる代替ルートを検討したり、日頃から親しくお付き合いしている航空会社や代理店に頼みこむなどして、不可能と思われることを可能にしてしまうのです」(保科社長)

高い秘書スキルとともに、保科社長が絶賛するのが中村さんの人間力。

「彼女の周りには、なぜか人が集まってきます。そして、みんな笑顔になる。彼女には一般的な秘書業務のほか、私が抱える業務にも力を貸してもらっています」(保科社長)

社長直下の主な業務は、社内行事の運営やエコプロジェクトなどさまざま。アルフレックスが家具に使用する生地や革は、バイヤーが毎シーズンイタリアで買いつけてくる最高品質のものばかり。

エコプロジェクトの一環でチャリティー用製品を製作手配するのも中村さんの仕事。「社長と頭を突き合わせて相談する機会が多いですね。お取引先やお客様に贈る手土産も社長と検討。候補の品をずらっと並べ、意見を述べ合います」と中村さん。

可能な限り無駄が出ないよう、コンピューター制御による型取りをするものの、家具の張り地分を取るには足りない残反が生じてしまう。資源を無駄にしないものづくりは、企業に与えられた課題と考える保科社長。その直下プロジェクトでも、中村さんは持ち前の行動力を発揮する。

秘書となってまだ4年足らずだが、保科社長は中村さんに絶大な信頼を寄せる。

「お互い何でも話せる関係で、彼女も自分の意見を述べてくれます。彼女の発案で社長室にもフリーアドレスを導入します。ここ数年ですが、長い時間を共有しているよう。周囲から"25年ぐらい一緒のようだ"と言われたこともありますね(笑)」

秘書・中村美穂さん3つの掟

1.私の必需品。鳩居堂の封筒とあかしやの筆ペン、arflexのブロックメモ
茶道を嗜む等風情を重んじる社長のため鳩居堂とあかしやをセレクト。ひと言添える気持ちを大切にと社長から全社員に配布されたブロックメモを使う。


2.ボスへのおもてなし!インドのお茶

健康のためにコーヒーを控えた社長を気遣い、インドのお茶を用意。カラフルなパッケージもお気に入り


3.座右の銘「常に相手の立場になって考える」
「社長だけの秘書とは考えていません。社員やお取引先など、皆さんのお役に立てたら嬉しい」と中村さん。


アルフレックス ジャパン
1969年創業。従業員数230名(2019年3月現在)。家具インテリア関連用品の企画・製造・販売。東京、名古屋、大阪、河口湖に事業所、旭川にファクトリー、川崎にプロダクト ラボラトリーを持つ。ミラノにもオフィスを構える。 www.arflex.co.jp


Taku Hoshina
1965年京都府生まれ。慶應義塾大学卒業後、’88年にアルフレックスジャパン入社。輸入部門、管理部門などを経て、2008年にMBAを取得。’13年に父の跡を継ぎ、社長に就任。
Miho Nakamura
商社、金融機関勤務などを経て、2016年にアルフレックスジャパン入社。社長秘書として、国内外を飛び回る保科社長とスタッフを結ぶ要として活躍し頼られる存在。


Text=川岸 徹 Photograph=古谷利幸