【小山薫堂×小池アミイゴ】羽田空港で見たあの言葉の意味は? 旅する日本語④「炎節」

今から飛行機に乗ろうと、羽田空港の出発チェックインロビーで頭上を見上げると、 壁面に巨大なアートギャラリーが広がっているのに気づくはず。それは、旅と日本語をテーマにした「旅する日本語」展。放送作家・脚本家の小山薫堂さんが耳慣れないけれど美しい日本語をもとに、旅にまつわる小さな物語を執筆し、 イラストレーターの小池アミイゴさんが絵画を描いたアートプロジェクトだ。このシリーズは、ふたりが作品に込めた想いを綴ったアナーザーストーリー全11集。


炎節

北海道生まれの父と
沖縄生まれの母が
東京で出会い
わたしが生まれた。
そのおかげで、
ふるさとへの旅と言えば・・・
夏休みは涼しい北海道へ。
冬休みはあったかい沖縄へ。
季節というものさしで
日本の広さを実感できた。
わたしの青春は
夏で出来ている。

【えんせつ】
暑い季節の意。夏、盛夏。


Kundo's Another Story
暑い夏にそのまま沖縄に行くだけの話はつまらないなと思って、先に“私の青春は夏で出来ている”っていう言葉を閃いたんです。

常に夏で出来ているってどういうことかなと考えた時に、夏には涼しいところ行って、冬にはあったかいところ行ってっていう物語にしようと。そうしたら、お父さんとお母さんが、それぞれのところにいるのがいいなと思って。後ろから書いていきました。逆算して書いていった作品です。

日本の四季を利用すれば、日本の旅は、どこに行ってもだいたい快適な場所があるということを表現してみました。


Amigo's Another Story
沖縄で那覇空港のある方向を眺めていて出会った風景。「わたしの青春は夏で出来ている」という一節に対して、 “夏色”のイメージは濃い青や緑が一般的かもしれないけれど、それで夏を説明してしまうと、ひとりひとりの夏のイメージを狭めてしまうなあと。

夕方の光がサーっとさしてきて……光が差すと物の輪郭がはっきり見えそうだけど、実はなにもかもフワ〜っとひとつに溶けて見えることもあって、「炎節」の字面の陽炎っぽさに導かれてこの絵が生まれました。

この風景に出会った1週間後に息子が生まれこともあって、文中の「わたしが生まれた」という一節もこの絵が描かれるモチベーションになっています。


旅する日本語展 2018
国内線第1旅客ターミナル2階南北出発チェックインロビーにて「11」の日本語をテーマにした放送作家・脚本家の小山薫堂による旅の物語と、イラストレーターの小池アミイゴが色鮮やかな絵画を展示中(2019年の3月31日まで)。旅の物語と写真を全国から募集する「旅する日本語投稿キャンペーン」も、7月2日から開始予定。詳しくは公式HPまで。
https://event.tokyo-airport-bldg.co.jp/tabisuru/

Text=加藤久美子(ゲーテWEB編集部)