【三木谷晴子】料理だけでなく音楽とワインのマリアージュも楽しむ

ワインに魅せられた者たちには、 ある種の共通する熱量がある。 彼らにとって、ワインとはいかなる存在なのか? 楽天・三木谷浩史会長兼社長の晴子夫人は、「牧阿佐美バレヱ団」の常務理事として芸術の振興にも心血をそそぐ人物。晴子さんにとってワインは、音楽と同様、日々の生活に欠かせない存在であり、音楽とワインとのマリアージュも楽しんでいるという。


音楽とワインが織りなす文化のマリアージュ

お稽古事のつもりが、いつしかソムリエの資格まで取ってしまったのは、楽天・三木谷浩史会長兼社長の晴子夫人だ。

「片方に芸術、もう一方にワイン」と話す晴子さんは現在、牧阿佐美バレヱ団常務理事を務めているが、かつては黎明期の楽天を支えた人物。2000年にジャスダック上場を果たし、その記念にと三木谷さんから贈られた生まれ年のシャトー・ディケムは忘れられないという。「何か新たに熱中できることは?」と学生時代から嗜んでいたワインを極めることになったのも、このタイミングだった。

「’01年から10年ほど、ビストロを経営していたので、輸入元を通じて、毎日さまざまなワインを試す機会が持てたのは幸運でした。一度体系立てて勉強すると、ワインの知識も忘れることなく身につきます」

赤 よりレアなシャトー・オー・ブリオンの白は、 三木谷さんもお好み。

もっぱらカリフォルニア党の三木谷さんに対し、晴子さんはブルゴーニュ派。それもジュヴレ・シャンベルタンのようなパワフルなタイプよりも、シャンボール・ミュジニーやヴォーヌ・ロマネなど、デリケートでエレガントなタイプを好む。もっとも三木谷さんの仕事に同行してシリコンヴァレーに滞在した際は、大好きなブルゴーニュが少しも美味しく感じられなかったと困惑顔。

「水や空気、食べ物の違いかしら。これもテロワールのなせる技でしょうか?」

4年前に完成した邸宅には、ウォークインタイプのワインセラーが備えつけられ、そこにおよそ1400本のお宝ワインが寝かされている。棚ごとにボルドー、ブルゴーニュ、イタリア、カリフォルニアなど整然と分類。魔除けはミラノで購入したという3リットル入りと6リットル入りボトルのサッシカイアだ。じつは自宅セラーだけでなく、横浜の倉庫にも、プリムール(先物取り引き)で購入したボルドーが多数眠る。

最上のブルゴーニュ を味わう際は、リーデルのソムリエシリーズ で。

「普段は夕食の料理に合わせて、ワイン選びを楽しんでいます。最近の大ヒットは、鰻の蒲焼きとポムロールのシャトー・クリネ。鰻のコクとタレのマイルドな甘みが、メルロー主体のワインとばっちり合ったんです!」

晴子さんにとって音楽が日々の生活に欠かせないように、ワインもまた不可欠の存在。料理ばかりか音楽とワインとのマリアージュも楽しんでいる。

「例えばチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲ニ長調にシャトー・タルボ。広大な大地を包みこむようなこの曲を聴くと、タルボの畑が目に浮かびます」


三木谷晴子さんセレクトのワイン

■ダラ・ヴァレ マヤ1999(右)
"ツウ"に振る舞う1本として、スクリーミング・イーグルと並ぶ、カリフォルニアを代表するカルトワインをセレクト。カベルネ・フランの比率が高く、優しい味わい。約¥44,000

■ミュジニー・ヴィエイユ・ヴィーニュ2002 コント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエ(左)
名門ヴォギュエ家の特級ミュジニー。15年ほど前、夕焼けに染まる逗子の海
を眺めながら飲み、その香りに酔いしれた。人生で最も印象深い1本。約¥103,000

Haruko Mikitani
1967年岩手県生まれ。上智大学卒業後、日本興業銀行に入行。同行のエースだった三木谷浩史さんとテニス部で知り合い、’91年に結婚。楽天設立後は経理や広報を担当。2001年2月に退社。


Text=柳 忠之 Photograph=滝川一真

※ワインの価格は編集部調べ。「Cellar Watch」( 1 ドル=約¥110[2018年12月30日時点])と「wine-searcher」、ワイン輸入元の価格を参考に算出しています。