年齢は言い訳にならない! 41歳おっさんボクサーの日常~ビジネスパーソンのための言語学㉝

最近、説明や謝罪時の、違和感のある言葉遣いが話題になりがちだ。当コラムでは、実際の発言を例にとり、公私の場で失敗しない言葉の用い方を考える。ビジネスパーソンのための実践言語学講座、いざ開講!


「やっぱりオレはベルトが似合うなと思っています。伝説を作っちゃいました」ーーー41歳2ヵ月の男子日本ボクシング史上最年長王座奪取に成功した野中悠樹

2月24日、王者・細川チャーリー忍を3−0の判定で破り、東洋太平洋、WBCアジア・パシフィック・ミドル級を制した野中悠樹。昭和52年生まれで、デビューは1999年。前世紀から戦ってきた昭和男は、過去にも日本王座や東陽太平洋王座に輝いたこともある。これまでの成績は、33勝10敗3分。日本ボクシングコミッションのライセンスは37歳で失効するが、元王者の特例としてドクターチェックを受けたうえで現役生活を続けている。彼が所属する井岡弘樹ジムの井岡会長も「定年(37歳)を乗り越えて41歳。プロボクサーのお手本ですよ」とその快挙を絶賛する。

年齢を重ねれば肉体は衰える。20歳代の時は不眠不休で働くことができたビジネスパーソンもアラフォーになれば無理がきかなくなる。ビジネスなら積み重ねた経験や知識で失われた体力をカヴァーすることもできるが、アスリートはそうもいかない。野中はその失われゆく体力を努力で補ってきた。普段は清掃業に就きながら、毎日20キロのロードワークを行い、試合前には玄米食で体調を整える。

「衰えたと思っていませんから。(体調の)ピークは同じ。ただ、そこに行くまでの疲れや、時間が多く(長く)なっただけで」

体力とともに気持ちまで落ちた時、そこから衰えが始まる。気持ちが前を向いていて、自らをコントロールし続ければ、若者とも同じ条件で戦い、そして勝つことができるのだ。

「やっぱりオレはベルトが似合うなと思っています。伝説を作っちゃいました。でも、通過点。世界戦をやるまで応援よろしくお願いします」

アメリカからは45歳のイチローが“現役復帰”を目指したキャンプを行っている。43歳の読売巨人軍の上原浩治は、膝の手術を乗り越え、今季50試合登板を目標に掲げている。52歳の三浦知良は、今シーズンも現役を続行し、虎視眈々とゴールを狙っている。彼らは決してファイティングポーズを止めない。齢を重ねても戦い、そして勝つことはできる。年齢に抗い続けるおっさんたちの活躍に期待せずにいられない。


Text=星野三千雄 Photograph=Getty Images