最強企業がつくる衝撃の未来! 新生マイクロソフトの知られざる姿とは?

劇的に変わったマイクロソフトの全貌を描いた書籍『マイクロソフト 再始動する最強企業』が発売された。著者は、多くのベストセラーに携わり、大物経営者など3000人以上のトップランナーをインタビューしてきた上阪徹氏だ。今回、マイクロソフトの全面協力を得て、実際にシアトルの本社を取材。驚異的な生産性を実現する仕組み、AI、MR活用の最前線、働く社員たちのワークスタイル、世界最高峰の研究所「マイクロソフト・リサーチ」……上阪氏が見てきた衝撃の未来とは? 

ビジネスモデルを大きく変えた新生マイクロソフト

創業43年目にして今、アメリカのマイクロソフトが株価の最高値をつけていることをご存じだろうか。PC時代からスマートフォン時代への切り替わりに乗り遅れ、全盛期を過ぎたと見られていた会社が、なんとウォール街で大きな注目を浴びているのだ。

市場からの評価ばかりではない。あるウェブサイトのインタビューで、あのメディアアーティストで研究者の落合陽一氏が「今22歳ならマイクロソフトに行く」と語ったように、優秀なエンジニア、IT関係者たちの間でマイクロソフトの評価はうなぎのぼりだ。

ところが、とりわけ日本のビジネスシーンの間では、このことがまったくと言っていいほど知られていない。GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)は話題になっても、勢いのある企業としてマイクロソフトの名前が日本で上がることはまずない。

注目の背景にあるのが、2014年にCEOが変わったことだ。3代目に選ばれたのは、インド人のサティア・ナデラ氏。私は2015年、日本マイクロソフトの平野拓也社長へのインタビューで驚くべきことを耳にした。本社の新しいCEOは、売上高10兆円、従業員12万人という世界最大のソフトウェア会社を作り替えようとしている、というのである。

実際、その変革は進んだ。例えば、ソフトウェアからクラウドへ、というビジネスモデルの大転換。ドル箱だったWindowsを無償化。組織を大きく作り替えるだけでなく、10兆円規模の会社が、ビジネスモデルを大きく変えてしまったのだ。

それだけではない。Apple、Oracle、セールスフォース・ドットコムなど、長年、激突してきたライバルと手を組み始めた。iPhoneよりいいものを作るのではなく、iPhoneはマイクロソフトのアプリやサービスをたくさん使ってくれる素晴らしいデバイスだ、と言い始めたのである。パソコンのOSで世界の9割のシェアを持つ会社が、長年のライバル企業とのコラボレーションを始めるインパクトは計り知れない。

そして、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)を上回る画期的な技術、物理的現実と仮想現実の2つが融合したまったく新しい世界「MR」(複合現実/Mixed Reality)は、コンピューティングの世界を一変させてしまうのではないか、とささやかれている。独自開発のAIと合わせて、新しい技術を世に打ち出し始めたのだ。

私は書籍『マイクロソフト 再始動する最強企業』の執筆のためにシアトル本社にも取材に行ったが、そこで本社の最高幹部の一人から、驚くべき話を聞いた。改革にあたり、マイクロソフトは企業ミッションすら変えてしまったというのである。ビジネスモデルの変革に伴い、会社のカルチャーも大きく変えた。これだけの大きな企業改革が、この数年のうちに次々に行われたのである。

スマートフォンが未来永劫のデバイスだとはとても思えない。では、次の覇者は誰になるのか。世界最大のソフトウェア会社、マイクロソフトの底力が、これから見えてくることだろう。そしてマイクロソフトの変革は、未来に向けて変革が求められている日本企業に、大いなる示唆を与えてくれるはずだ。


『Microsoft 再始動する最強企業』
上阪徹 著 
ダイヤモンド社 ¥1,600 

Toru Uesaka
1966年兵庫県生まれ。経営、金融、ベンチャー、就職などをテーマに雑誌や書籍などで幅広く執筆やインタビューを手がける。主な媒体に『GOETHE』(幻冬舎)、『AERA』(朝日新聞出版)、『週刊現代』(講談社)など。著書に『成城石井はなぜ安くないのに選ばれるのか?』(あさ出版)、『僕がグーグルで成長できた理由』(日本経済新聞出版)、『成功者3000人の言葉』(飛鳥新社)、『リブセンス』(日経BP)がある。他の著者の本を取材して書き上げるブックライター作品も60冊以上に。累計40万部のベストセラーになった『プロ論。』など、インタビュー集も多数。

Text=上阪 徹