いったい誰がリーダーなのか? 顔が見えない政府の新型コロナウイルス対策~ビジネスパーソンの言語学82

最近、説明や謝罪時の、違和感のある言葉遣いが話題になりがちだ。当コラムでは、実際の発言を例にとり、公私の場で失敗しない言葉の用い方を考える。ビジネスパーソンのための実践言語学講座82、いざ開講!   

「新型コロナウイルス感染症は、我が国において、現在、流行が認められている状況ではありません」ーーー内閣官房が発表した「新型コロナウイルス感染症の対応について」のメッセージ

文字通り、息苦しい日々が続いている。新型コロナウイルスは、横浜に停泊している客船「ダイヤモンド・プリンセス号」での集団感染に注目が集まっているが、その対応はまさに後手後手。検査結果発表のたびに感染者数が増えている状況に、船内にとどまっている方々はもちろん、その様子をテレビなどで見守るしかない日本国民にも大きな不安が広まっている。

中国で新型肺炎のヒトからヒトへの感染が確認されたのは12月中旬。日本が水際対策を始めたのは、その約1ヶ月後だ。この間には多くの中国人観光客が日本を訪れており、そこで感染が広まっているであろうことはバスの運転手などのケースで明らかだ。とっくに水際は決壊しているにもかかわらず、1隻の客船への対応すらまともにできず、不安だけが増幅し続けているのがいまの日本の現状だ。

渦中の2月10日、内閣官房が「新型コロナウイルス感染症の対応について」というメッセージを発表した。しかしその内容は、まるで小学校の保健室の張り紙。むしろ「これで大丈夫か?」と不安になるようなメッセージだった。

「新型コロナウイルス感染症は、我が国において、現在、流行が認められている状況ではありません。(中略)お一人お一人の咳エチケットや手洗いなどの実施がとても重要です。感染症対策に努めていただくようお願いいたします」

「イベントや行事等を主催する側においても、会場の入り口にアルコール消毒液を設置するなど、可能な範囲での対応を検討いただけますようお願いいたします」

このまったく具体性のないメッセージから何を感じればいいのだろう。そもそもこの問題に対し、責任を持って対応するのは誰なのか? 総理なのか官房長官なのか厚生労働大臣なのか。そんなことすらハッキリしない。ニュース番組やワイドショーでは、感染症の専門家が毎日登場し、喧々諤々議論している。だが、肝心の国会では相変わらず桜を見る会がどうだ、地方創生大臣がシドロモドロだなんてやり取りに終始している始末だ。そんなことに時間を費やしている間に、国民の不安は増大し、世界からの信頼は失われていく。

おそらくこの問題は、一朝一夕には片付かない。しかしこのままただ手をこまねいているようでは、経済にも大きな打撃を与え、東京五輪どころではなくなるだろう。相手は目に見えないウイルスだ。実態が掴みきれない。今後の予測がつかない。それも理解できる。だが、まずは顔が見えるリーダーを立て、その人間が責任をもって対処すると、国民にアピールすることが肝要だろう。問題をたらい回しにしているだけでは、ウイルスも不安も決してなくならないのだから。

Text=星野三千雄