【才能の正体②】ビリギャル著者・坪田信貴が教える「能力」を「才能」へ変える方法

『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』、通称「ビリギャル」で広く知られる坪田信貴さんの新著は『才能の正体』という。才能とはたしかによく使う言葉だし、「自分には才能がない……」などと、知らずその意味に囚われてしまうが、坪田さんは 「才能は、誰にでもある」と断言する。 才能とは、どういう存在なのか。同書の内容に則しながら、改めて聞いた。


観察をいかに継続できるか

『才能の正体』の第2章は、「『能力』を『才能』へ」と題されている。

能力を才能と呼ばれるものへと磨き上げるには、取り組みを継続して確固たる自分の力にしていく必要があるのだ。

「観察を続けて、ものごとの背景まで踏まえられるようになっていくと、観察は洞察へと進化します。洞察力が備わっていると、人はそれを才能と呼んでくれるのでしょう。

ともかく観察を継続することです。 人間は本質的には習慣で動いています。思考に支えられているというよりも、習慣のほうが勝る。なので自分をどう気づけて、何度でもやろうとすればいいのです。

最初は三日坊主でかまわないと思います。365日分の3日をやれたのですから、そこであきらめずに次は6日やればいい。ちょっとした成功を認めていくのがいいでしょう。周りはそれくらいで褒めてくれたりしないでしょうから、だったら自分で自分のおこないを実況中継しましょう。

僕は長距離走が苦手で、マラソンができる人はすごいと思っています。健康のために走ったりもするのですが、そのときは走りながら自分を褒め続けていますよ。

『次の電柱まで自分、がんばれるか? たどり着けた。すごい、えらい!』

などと。ちょっとした達成を認めていくことを習慣化できると、人にも優しくなれるのでおすすめです」

自分を認められれば、人への寛容さも発揮できる。すると、より自分の才能を引き出せる環境が生まれてくるものだと、坪田さんは言う。

中国アリババ社の創業者にして現会長、ジャック・マーも、講演でこんな話をしていたと、友人から聞いた話を教えてくれた。

「その話はすごくおもしろいんですが、聞いているとジャック・マーのことも、自分のことも好きになれそうな気がしてくるんですよ。というのはふつう経営者って、多少なりともどこか『オレってすごいんだ』という話をするものではないですか。まあ実績を話せば自然とそういうことになるのですが。

でも、ジャック・マーは違います。学生時代に初めてケンタッキーフライドチキンの店ができて、アルバイトに応募したら200人中199人が合格した。落ちたたった一人が自分だった、というような話をどんどん披露するそうです。

経営者や上司という立場にいる人は、とかく自分を大きく見せようとし、強くなければいけないと思い込んでいます。でも本当は、弱みを見せてしまったほうが、周りはこの人を支えようと思うもので、そのほうがチームとして大きな力が出ます。

所詮、一人でできることなんて、限界があるものです。そういえば僕は小学生のころ、図画工作で粘土細工をつくる時間なんかに、いつもほかの人がつくるのを手伝っていました。道具をとって上げたり、かたちをつくるときに手を添えて支えてあげたり。

僕自身は手先が不器用で、こまかいものをつくるのが苦手なんです。でもそうやって手伝ってあげていると、僕がまだ自分のをつくっていないと気づいた人たちが、今度はみんな手伝ってくれるんです。すると、自分だけでつくるよりも明らかにいいものが出来上がってしまう。

これって、チーム運営や会社経営の真髄のような気がします。自分のできることは小さくて、事業でいえば一人のカリスマがいても自分だけでは数億の年商が限界なのでは。100億を超えるような数字は、同じ会社のみんなが手伝ってくれないと無理ですよね。

そう考えると、自分を大きく見せたり強がっていたりする場合なんかじゃないということが、よくわかると思います」

【才能の正体③】に続く


『才能の正体』
坪田信貴
幻冬舎 ¥1,500+税


Nobutaka Tsubota
坪田塾塾長。心理学を駆使した学習法により、これまでに1300人以上の子どもたちを「子別指導」、多くの生徒の偏差値を球に上げてきた。一方で、起業家としての顔も持ち、人材育成、チームビルディングの能力を多くの企業から求められてマネージャー研修、新人研修を行うほか、テレビ、ラジオ、後援会等でも活躍中、『どんな人でも頭が良くなる 世界に一つだけの勉強法』など著書多数。


Text=山内宏泰 Photograph=太田隆生