【メンタル超人】仕事で成果を上げる"心を整える"5つの儀式

あなたが能力を発揮できるかどうか、左右するものは何だろうか? 持っている能力を発揮できる人と発揮できない人、両者の違いは能力そのものの差異よりも心の状態にある。仕事で成果を上げるための"心を整える"儀式とは? 100人規模のプロジェクトを任され、多くのビジネスパーソンを「メンタル超人」へと引き上げてきたメンタルトレーナー西井健一氏が、そのメソッドを伝授する。


毎回繰り返す動作がパフォーマンスを上げる

かの剣豪宮本武蔵は、「心が揺らいでしまったら、人は死ぬ」と言っていたといいます。心の状態が、人の生死を決めてしまうほど重要であるということを戦場で剣を振るい生きていた宮本武蔵は、悟っていたのです。しかし現代の私たちは「仕事で成果を上げよう」「パフォーマンスを向上させよう」と望むときに心の状態に注意を払っていません。

パフォーマンスを上げるためのひとつとして、意識するものに時間があげられます。無駄な時間を削ったり、前もって計画を立てたりすることで時間を確保します。時間をつくることは大切なことです。しかし、時間があるにも関わらず、仕事が進まない、集中できずに時間が過ぎていってしまうといった経験はないでしょうか。また、反対に時間がないなか、集中して一気に仕事が進すむこともあると思います。

なぜなのでしょうか?

それは、心の状態が、時間の質を変えてしまうのです。時間があっても心が整っていなければ、仕事は進みません。しかし、心が整っていれば、短時間でも仕事は進みます。つまり心が整っていれば、時間を有効活用できるのです。仕事で成果を上げるために、これからは心の状態に意識を向けてください。心を整えられるようになると、より高いパフォーマンスを発揮できるようになります。

心を整えるには具体的にどうしたら良いのでしょうか? いかなる時でも何事にも動じない強靭な精神や揺るぎない心、平常心を持つということは一朝一夕ではかないません。では、一時的にならどうでしょうか。「少しの間」や「今集中したい」、そのような時に整えられるだけでも十分効果があります。常に心が整っていないといけないわけではありません。

心の状態を一時的に整え、パフォーマンスを上げるために「儀式」を日々の生活に採り入れることをおすすめします。儀式を行うことで、心を整えパフォーマンスを上げているスポーツ選手がいます。米国で活躍するイチロー選手はバッターボックスに入る前にいつも同じ動作を繰り返しています。また、2015年のラグビーW杯で人気者となった五郎丸選手はキック前には毎回五郎丸ポーズと呼ばれる決まった動作をしていました。彼らが大事な瞬間の前に、毎回繰り返す動作こそ、心を整え、パフォーマンスを上げるための儀式なのです。

儀式を採り入れるうえで重要なことは、日常の中で繰り返し行えるよう定着化させることです。夜、寝る前に歯を磨くように、思考せずとも身体が覚える動作として儀式化することで、自然に心を整えることができます。他の行動や思考が必要だと続かず、諦めてしまいます。小さなエネルギーにも関わらず大きな成果を得られることが儀式化する利点です。

日々の生活で採り入れられる儀式は大きく分けて5種類あります。全部を採り入れるのではなく、自身に合ったものを儀式化してみてください。

1.短時間で集中する儀式

まずは、短時間にスイッチを入れられる儀式をご紹介します。

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●呼吸に集中する1分間
呼吸は、集中力やパフォーマンス向上にとても重要です。リラックスしたいときや気分を入れ替えたいときにゆっくり深く呼吸したり、大きく腕を回したりする経験なら誰しもあるでしょう。それもひとつの儀式と言えます。

呼吸に集中するため、時計を使います。時計の秒針が進むのを見ながら、最初の10秒間で息を吐き切ります。そして、次の5秒間で息を大きく吸い込みます。これを自分自身の呼吸に意識を向けながら1分間繰り返します。この1分間の儀式を、仕事を始める前に行うことでゆっくりとした呼吸のリズムをつくり、集中力を高めます。

●宝の地図を持ち運ぶ
宝地図とは、かなえたい夢や、未来、大切な家族の笑顔など、心をワクワクさせてくれる物を文字や写真で表した一枚の絵のことです。この宝の地図を用意しておき、「がんばりたい時に見る」という行動を儀式にします。見ることで一気にやる気モードに変えるのです。いつでも見られるように肌身離さず持ち運びましょう。

●10秒ジャンプ
大事なプレゼンの前など、気合いを入れたい時は、一度心拍数を上げることも良い方法です。その場で10秒ほど軽くジャンプすると短時間で心拍数を上がります。適度な緊張と同様に、適度な心拍数の上昇はパフォーマンスが高まる効果があり、気合いスイッチを入れることができます。

2.朝の儀式

朝は儀式を行うのにとても効果的な時間と言えます。朝から心の状態を整え、気持ちよく始めることで、1日のパフォーマンス全体を上げることができます。

●運動でパフォーマンスを高める
20分間ほど軽く運動をするだけで、その後2時間から12時間にいたるまで、良い気分で過ごすことができると言われています。成功者の多くが早朝に運動を取り入れていることからもその効果が期待できます。毎日朝早く起きて、筋トレやジョギングをすることも儀式と言えるでしょう。

●人生の目的を確認する
自分自身の人生の目的を紙に書き出すことも、とても効果のある儀式です。人生の目的は何なのか。何をしている時が幸せなのか。どんな人物になりたいのか。誰のためにがんばるのか。紙に書き出して確認する時間を毎朝持ちましょう。この儀式で1日を非常にエネルギッシュに過ごせるようになります。

●瞑想、ヨガ
精神集中やリラックスするために瞑想やヨガを行うことも朝の儀式としておすすめです。「自分の呼吸音を集中して聞く」「自分の足の裏が地面を捉える感覚や、お尻が椅子を捉える感覚に意識を向ける」「普段は気にもとめない周りの小さな物音を聞いてみる」「1、2、3、4、5……と数を数えることに集中する」などの方法は比較的始めやすいと思います。他にもさまざまな方法があるので自分に合った方法を探してみてください。

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3.言葉の儀式

言葉を使い意識を高める方法も儀式におすすめです。

●ポジティブを呼び込む言葉
何か良いことがあったときに「ラッキー!」「ついてる!」「やった!」などポジティブな言葉を発することを儀式化してみましょう。言葉にはとてもエネルギーがあり、ポジティブな言葉はさらなる次のポジティブを呼び込むと言われています。人は良い感情でいる方が、良いパフォーマンスを発揮できます。

●アファメーション
アファメーションとは自己暗示のことです。「私はできる!」「私はアイデアを持っている!」など自分自身を鼓舞する言葉を、自分自身に投げかけましょう。声に出すと、アウトプットした言葉が耳を通じてインプットされます。自己暗示を掛けセルフイメージが高まるので、自分自身の成長のためにもアファメーションを儀式化することは、大変効果的です。

4.休む儀式

人間のパフォーマンスには周期があると言われています。ジャンプする前には、一度ヒザを曲げて溜めをつくるように、一度休むということもその後能力を発揮するための儀式と言えます。

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●シエスタ
シエスタとはスペイン語でお昼寝のことを指します。会社の昼休みに10分程の短い仮眠をとるだけでも、午後のパフォーマンスを格段に上げることができます。職場で昼寝をとるのはまだまだ一般的ではないですが、お昼休みやトイレ休憩などを上手に活用したシエスタを儀式することはパフォーマンス向上に非常に効果的です。

●タイマー法
人間の集中力は、あまり長く続かないものです。そこでタイマーを使った儀式をおすすめします。例えば50分集中したらタイマーを鳴らし、10分休むと決めてリズムをつくってしまうのです。「休むことも仕事」とはよく聞く言葉ですが、10分でもきちんと意識的に休むことでメリハリがつきます。なんとなく休んだり、仕事したりするよりも、遥かに効果的に仕事を行えます。

5.夜眠る前の儀式

人間の脳は眠っている間も情報を整理するなどの役割を担っています。良い眠りは翌日のパフォーマンスにも大きく影響するため、心を整えて気持ち良く眠ることも大切です。眠る前の儀式を取り入れること効果的ですので非常におすすめです。

●感謝を紙に書き出す
あなたが感謝できること、その日に起こったことや、普段から感謝をしていることなどを思いつく限りたくさん紙に書き出しましょう。人、出来事、もの、状態、健康など感謝できることはたくさんあります。感謝することで幸せを感じ、心が整います。

●眠る前のアファメーション
眠る前に自分を勇気付ける言葉を、自分自身に投げ掛けることでセルフイメージを高める自己暗示をかけて気持ちよく眠りにつきましょう。アファメーションは、眠る前の儀式としてとても効果的です。

忙しい時こそ、儀式を行う

これら5種類の儀式が、心を整え、パフォーマンスを存分に発揮するのに非常に役立つはずです。

しかし、忙しい時や時間がない時に、儀式を行うよりも仕事に取り掛かりたいかもしれません。そんな時こそ、少し時間を割いてでも儀式を行うことは大変重要です。急がば回れという言葉があるように、儀式を行うことで心が整えられ、その後のパフォーマンスが高まり、時間を効率的に使えるなど、総合的に見れば早く良い仕事ができるからです。

儀式は単純な動作ばかりです。自分自身に合ったもの取り入れてみてください。心を整え、あなたのパフォーマンスを存分に発揮してください。

Kenichi Nishii
パーソナルビジネスコーチ。1973年大阪府生まれ。大阪大学大学院電子制御機械工学専攻修士課程修了。富士通に勤務後、WEBデザイナーになるため転職。人間中心の設計手法を学び、大企業のWEBサイトの設計やディレクションを多数手掛ける。現在は、これまでの経験を生かしつつ、人のコミュニケーションや能力発揮をテーマに、執筆や教育活動を精力的に行う。

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